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7月8日(日) 温風至(あつかぜいたる) 旧暦5月25日
![]() 渋谷・東急文化村入り口に咲いていた白百日紅。 西日本を襲った集中豪雨は、多くの犠牲者を出しいまだに身元不明の方々が100人近くいる。 なんということだろう。。。 東京も昨夜の地震でひやりとしたが、幸いにその後は大地は落ち着いているようだ。 でもいつ何時っていう不安がどこかにあるが、しかし、咽喉元過ぎればわたしなどすぐに能天気さを取り戻してしまう。 被害に遭わないとなかなかその大変さが実感されない。 今日はしばらくサボっていた太極拳に行き、身体から力をぬいて宇宙に遊泳するように見えない敵と戦ってきた。 太極拳は基本的には武術であるので、いつも敵がいるのである。 筋肉をつかいながら身体をゆるめるというのは、なかなか気持ちがいいものだ。 その後、猛スピードで仙川に戻って、予約を変更してもらった美容室で髪をカットする。 夕方の予約だったのだが、見たい映画が渋谷で夕方からしかやらないことがわかり、カットをあきらめようかと思ったのだが、今週末には田中裕明賞の授賞式があることに今ごろ気がついて、(なにしろ目先5ミリのことしか考えていないyamaokaであるので)、いくらななんでもライオンのような髪形では式にはのぞめない、いやそんなことを言うとライオンに失礼か、しかしこの髪をなんとかせにゃあと映画をあきらめようかと思ったけれど、やはりどうしても観たい映画なので、美容室に急遽時間の変更をお願いしたところ受けてもらえたのだった。 いつもより早めにカットをしてもらって久しぶりに渋谷の街に出かけた。 髪形の出来? まずまずかな。。 ![]() ![]() 映画館は、「ユーロスペース」。 なかなか渋い映画をやっており、むかしはけっこう通ったが、いまは年に数えるほどしか行かない。 見たかった映画は、「モリのいる場所」。 画家・熊谷守一のことを映画化したものだ。 熊谷守一についてはまあ人並みくらいには知識があるかもしれないが、その自叙伝を読んでいたこともあって人物がすこぶる面白そうなので、どんな映画に仕上がっているのだろうかと興味があった。 映画については予備知識がほとんどなくて、実は守一を山崎努が、その妻を樹木希林が演じていることもよく知らなかったのだった。というか誰が演じているかあまり興味がなかったのだが、二人とも好演をしておりまた脇をかためる役者たちもみな活き活きとして、すこしおふざけが過ぎるところもあったけれど映画としてとても面白く楽しめた。 おすすめの映画だ。 途中からこの映画はたった一日のことを描いているのだということに気づき、いやはや人間やら鳥やら虫やら木々の葉音やら何とも賑やかでいろんな音にあふれていて、濃密で豊かな時間はわたしたちを飽きさせず、しかし、守一はその中にあってほとんどしゃべらないのだが、実は一番雄弁な存在であることに映画を観終わって気づくのである。 あーあ、楽しかった。 ![]() 観客はあっとうてきに女子が多く、年齢は本当にさまざまである。 「蟻は左の二番目の肢から歩きだす」 と守一は言う。 そう言われて、言われた人間は土に顔をつけて蟻を観察するのだが、誰もそれがわからない。 「よく見るんだ」と守一は言う。 蟻をみつめる守一の顔が映しだされたとき、わたしは深見先生のことをふっと思いだした。 そういえば、熊谷守一が好きだとおっしゃっていた。 デッサンの蟻百態のノートあり 深見けん二 止りし蟻の思案のすぐ終り 足もとの蟻の話の聞えさう 蟻走る時には風に飛ばされて 大蟻の走る小蟻の群るる上 杖ついて人は歩くや蟻走り こまごまと大河の如く蟻の列 全部ではないが、蟻を詠まれた深見先生の「蟻」を抄出した。 「よく見た」人の俳句である。
by fragie777
| 2018-07-08 23:07
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Comments(2)
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