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5月28日(月) 旧暦4月14日
木曽路を歩いていて見つけた紅輪蒲公英(こうりんたんぽぽ)。 別名絵筆蒲公英、絵筆菊とも。 珍しいものらしい。 ヨーロッパが原産で、明治の半ばに渡来して、北海道には多く帰化しているという。 「紅輪蒲公英」と偉そうにわたしは書いているが、道を常にぼんやり歩いているわたしに植物に詳しい友人が教えてくれたのだ。 まったくのにわか知識。 持つべきものは友である。 こういう時わたしは教えることなどおおかたなくて、いつも教えてもらうばかり。 しかも、すぐ忘れる。 つまり処置なし。 よく目に焼きつけておこう。 今度出会ったら、 「ほら、紅輪蒲公英よ」って胸をはって言えるように。。。。。 楽しかった木曽路の旅の記憶もどんどん遠ざかっていく。 26日(土)に北上市の詩歌文學館で行われた第33回詩歌文學館賞について、すこし紹介したい。 受賞者方々は以下のとおり。 【詩】 若松英輔 『見えない涙』(亜紀書房) 【短歌】 伊藤一彦 『遠音よし遠見よし』(現代短歌社) 【俳句】 岩淵喜代子 『穀象』(ふらんす堂) 記念撮影。(赤のリボンをつけている方が受賞者である) 右より岩淵喜代子氏、伊藤一彦氏、若松英輔氏。 ピンクのリボンが選者の方々。 ご受賞の皆さま、おめとうございます。 こころよりお祝いを申しあげます。 ご挨拶をされる岩淵喜代子氏。 岩淵喜代子です。今日はどうもありがとうございました。 私はあまりこの「詩歌文学館賞」という賞を認識しておりませんでしので、賞を頂いた時に驚きました。 どんな方が受賞されているのかホームページで調べてみました。 平畑静塔とか加藤楸邨とか、私にとっては伝説的な作家達だったんですね。 詩人はどんな人かなと思ったら、まだ健在でいらっしゃる清水哲男さんが第一回だったんですね。 ここに来るにあたって、清水さんとメールのやりとりをした際に、「北上は今が一番良い季節ですからどうぞおもいっきり楽しんで来て下さい。」とお言葉を頂いて、今日はそのつもりでやってきました。 賞を頂きました『穀象』ですが、先ほど選考委員の高野さんが充分にいろいろなお話をしてくださったので、私としては穀象をなぜ詠んだというお話をしたいと思います。 本当にことを申し上げると、私は「穀象」を見たことがないんです。 なぜ、穀象を見たこともないのに詠むのかなというと、この穀象っていう文字面をご覧になったらおわかり頂けると思うんですけど、すごく魅力的な文字ですよね。どんな虫かしら、というその興味で詠んだのが「穀象に或る日母船のやうな影」の句です。 私はときどき見てない物を作る癖があるんですけれど、例えば「夜光虫」もこの句集には出てくるんですが、それも見てないんです。夜に海で泳いだなんて経験もないものですから。それで「夜光虫の水をのばして見せにけり」見たいなという思いで作りました。 「狐火」というのもあります。見てみたいと思います。「狐火のために鏡を据ゑにけり」という一句にして、その見たいという気持ちを表しました。 たぶん「見たい」という気持ちが作らせるんですけど、詩的なかっこいい言葉にすると「憧れを詠む」のかなと思っております。 ただし、これだけお話すると、「じゃあ、見た物も見ない物もざくざくと作れるのではないか」と思われてしまうのですが、本当は毎日毎日、私は「明日は俳句は作れるのかな」という思いでおります。「明日また違うものが作れるのか」という不安があって、それはこれからも変わらないと思います。ですけれどもそういう中でこの賞をいただいたということを大きな私の節目としたいと思います。また、前と同じように1から始めるのかなと思います。 これからも皆さんどうぞよろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ご挨拶を紹介した。 岩淵さんは、穀象を見たことがない、とおっしゃっている。 わたしは、小さい頃多分見ている。 じゃ、どういう虫だった?と聞かれれば、答えに窮するのだけど、親戚の農家に遊びにいって大人同士の会話のなかに穀象という言葉が度々出てきたような、そして「これがその虫」って教えてもらったような、小さな小さな虫、だったような記憶のみが残っている。むしろ穀象と聞くと虫よりも、土間におかれた袋のなかのお米の匂いと土間の暗さと冷たさが蘇る。 今日の毎日新聞の岩岡中正氏による「俳句月評」は、「花鳥諷詠」の現在と題して、深見けん二句集『夕茜』と今年の1月に急逝された大峯あきら氏について書かれている。 ことばの崩壊から人間と自然、人間と人間、自我と身体の間などのさまざまな関係の崩壊が言われる今日、俳句でも虚子の花鳥諷詠の生命的な世界観や「存問」の思想が再評価されている。 句集『夕茜』は、十代の終わりから直接虚子に師事した、文字通り「モットーや言葉だけ」ではない客観写生と花鳥諷詠の実践者・深見けん二氏の最新句集。氏の俳句の魅力は何といっても、主観と客観の均衡のとれた静謐で高雅な世界にある。対象への凝視の時間の長さと深さ、客観写生の徹底とその底に秘められた主観や詩情に、今回はさらに内省や感謝という自他への存問の世界が加わる。氏の創作意欲は、九十六歳の今も衰えない。 穴を出し蟻一匹に庭動く けん二 悟ることなくて信心彼岸来る 〃 何時しかに長き縁や年忘 〃 この花鳥諷詠思想を、哲学者・宗教家・俳人の三位一体の一身を身をもって実作し証明したのが、今年1月、八十八歳で逝去された大峯あきら氏である。氏は専門にフィヒテ等のドイツ観念論やロマン派の生の哲学と、親鸞の絶対帰依による安心(あんじん)の信仰世界とを総合して、生動する宇宙論(コスモロジー)としての花鳥諷詠論を提示された。これは、花鳥諷詠論への新しい今日的哲学的基礎づけである。知を愛し、詩を愛し続けた、このすぐれた哲学者の死をあらためて悼みたい。 花咲けば命一つといふことを あきら 人は死に竹は皮脱ぐまひるかな 〃 これら二人は実作と理論での生命論的な花鳥諷詠の現在の到達点を示しているが、このような花鳥諷詠への再評価は、1968年を起点とする「脱近代」的な価値観への世界史的転換のひとつのあらはれである。歴史は螺旋状に展開するものだから、花鳥諷詠を「俳壇の保守化」と決めつけることも、他方でこれをただ墨守して深化を怠ることも、時代とその思潮に目を閉ざすことになりはしないだろうか。 午後よりお客さまがひとり見えられた。 俳人の佐藤郁良さん。 第3句集のご相談に見えられた。 佐藤郁良さんは、ふらんす堂より第1句集『海図』を上梓され、第31回俳人協会新人賞を受賞されている。 第2句集『星の呼吸』(角川書店刊)よりすでに6年が経っているということである。 句集名は、「しなてるや」 意味わかります? 伺うと「枕詞」であるとのこと。 何の「枕詞」かは、内緒。 興味のある方は、調べてみてください。 「へえー」って思うのでは、きっと。。。 佐藤郁良さんは、開成高校の教師でいらっしゃる。 また、俳句甲子園では開成高校を何度も優勝に導いた優秀な指導者である。 「銀化」同人、「群青」代表。 佐藤郁良氏。 国語の先生である。 『俳句のための文語文法入門』(角川学芸出版刊)と 『俳句のための文語文法 実作編』(KADOKAWA)の二冊の文法書を出されている。 文法は難しい。 担当のPさんとyamaokaは、ここぞとばかり文法について目下かかえている疑問点を問うてみたところ、 佐藤郁良さんからは、それこそ明快なお返事がポンポンと返ってきた。 「それは間違いですね。よく誤用されますが……」と語る佐藤郁良さんに、わたしたちは、「そうなのですかあ、なるほど。」と逐一頷きなら教えを乞うたのだった。 きっと傍で見ている人がいたら、先生の教えにうなづく生徒のようであったと思う。 今年の「田中裕明賞」を句集『毫』で受賞された小野あらたさんは、開成高校の教え子である。 田中裕明賞の受賞を心から喜んばれていた。 小野あらたさんと句集『自生地』(東京四季出版刊)で田中裕明賞を争って惜しくも敗れた福田若之さんも開成高校の教え子である。 「二人とも人の真似することのできない俳句をつくる、力のある俳人です」と嬉しそうにおっしゃって帰られたのだった。
by fragie777
| 2018-05-28 19:18
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