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4月13日(金) 嵯峨十三詣 旧暦2月29日 八重桜。 家のなかからみる外は明るい日差しである。 コートをまとわずに飛び出したが、やはり寒い。 すぐに戻ってコートを着て出社。 筍ご飯を炊いたので、スタッフたちにも食べてもらおうと、ガラスの四角い容器につめる。 初筍である。 筍ご飯は、筍を一センチ角くらいに切って、出汁のみで炊くのが好き。(好みによって塩をほんの少し) スタッフたちの口にあっただろうか。 さっき、「ご馳走さまでした。美味しかったです」と次々に言われて、ああ、良かった!! 俳句総合誌「俳壇」5月号で、俳人の櫂未知子さんがインタビューされている。 ちょうど、句集『カムイ』の再版もできあがり「俳人協会賞」と「小野市詩歌文学賞」のふたつの賞を受賞されたばかりのグッドタイミングな記事である。 抜粋して紹介したい。 ー『カムイ』の俳人協会賞受賞おめでとうございます。前句集から十七年という長い年月が経っています。 (略)それまではどちらかというと跳ねっ返りな句を作ってたんですけどね。笑いをとろうと思って(笑)。それからよく「述べて」ました。自分を語るっていうかね。短歌の癖ですね、これは。もともと短歌やってたんで。いかに述べていたか、語っていたかというのに気づきまして。そうじゃなくて、俳句というのは述べるんじゃなくて描写することなんだなっていうことにやっとその時点で気づいたわけなんですね。それでもうこりゃだめだ、と。しばらく句集は出せないぞと思ったんです。それで十七年が経ってしまったんですよ。 ー『カムイ』の風土性も高く評価されました。 (略)母も大分高齢になりましたし、けっこう入退院を繰り返してたものですから、心配で、定期的に母を見守りに行くというのかな、あるいはそれを看取っている姉を労うために北海道に数回帰るっていうふうに決めたんですね。三泊四日くらいしたいられませんけど。 ただ帰るのももったいなくて、じゃあ結社を超えて、北海道の俳人たちに集まってもらうような句会(蝦夷句会)をつくろうといきなり思い立ちまして、皆さんに声かけて。(略)いまだに十一年間続いていますよ。年に四回か五回ですね。 その中で北海道の風土というものがやっとわかってきた。あるいは季語によって、この地では絶対通用しない季語があるんだなって。例えば曼珠沙華、北海道に無いし、甲虫いないし、とかね。桜は一ヶ月以上ずれているし。(略)梅は早春だというイメージを我々は持ってますけど、北海道では桜より後に咲くことが多いのです。季語や風土というものを考えるきっかけができて、定期的に続けていく中で自分が生まれたところを見直すきっかけになったのかな。 ー今後、どのような俳人を目指されていくのでしょうか。 今後目指すのは「円熟期・櫂未知子」みたいな感じですね。円熟味を獲得しながらも元気さのある俳人になりたい。若い人たちに厳しく接しながらも、彼等らの刺戟を受けてですね、なんていうのかな、正しく意地悪なばあさんになりたいなあと思ってますね。句の上でも、句に向かう態度についても、皆に嫌がれながらね、あいつうるさいんだよなって言われながらも、どっかで敬意を持たれるっていうのかな、尊敬されるっていうのかな。あの人が言うんだからしょうがないよねって思われるようにやっていきたい。 それから、作品は季語に敬意を持ってですね、これからも取り組んでいきたいということ、あくまでも自分一人で作ったものではないということをですね、それを常に考えていきたいなと思いますね。季語の助けを借りて、あるいはその句を見いだしてくれた仲間や後輩たちのお陰でできるんだなあという気持ちをいつも持っていたいと思うんですね。他者がいてこその自分だということですね。(略) 「正しく意地悪なばあさんになりたい」 とてもいいじゃあないですか。 櫂未知子さま。 ちゃんと聞き届けました! さて、さきごろ、句集『銀』を上梓された西山春文さんは、明治大学の商学部で日本文学をおしえておられるのだが、わたしの大学時代の同級生でやはり同大学で教鞭をとっておられるフランス文学者の高遠弘美さんとは仕事の同僚である。 高遠さんから、西山春文さんのことは前もって伺っていたので、今日はお二人を仙川にお招きしささやかに出版のお祝いをしたのだった。 仙川駅で待ち合わせをして歩き出すやいなや高遠弘美さん、西山さんの句集『銀』収録の句を、口ずさむ。 それこそ、一歩あるくごとにと言っても言いすぎではないくらい。 思わず、西山さんとわたしは顔を見合わせるほど、つぎつぎの俳句が飛び出してくる。 「高遠さん、すばらしい。記憶力半端ないですね」と聞けば、 高遠さん、にっこりとして、 「ええ、いい方かもしれません。大学時代にある教師から渡されたボードレールの「パリの憂鬱」を原文で全部暗記しました」といともあっさりと言うではないか。 (ええっと、たしかその授業、わたしもとってたぞ、言わなくてもわかってると思うけど、彼は優等生、わたしは劣等生ね) 「でも大分記憶力は衰えました」と、ふたたびにっこり。 しかし、数日前に渡された一冊の句集について、多忙な時間を合間によくこれだけの句を記憶したかと、忘れ去ることが特技であyamaokaにとっては驚愕すべきことだ。 西山さんは、ニコニコしてそれを聞きながら、 「なんだか恥ずかしいなあ…」とおっしゃるがまんざらでもなさそうなお顔。 それはもうたくさんの句を記憶されている高遠弘美さんであるが、あえて好きな三句を選んでもらった。 をちこちに風を配して夏景色 家族かくあるべし箱のさくらんぼ 端正に足をたたみて青蛙 「この青蛙の句、青蛙がこちらをみているその姿が浮かんできます」と。 それぞれの著書や訳書を持って。 西山春文さん(右)と高遠弘美さん。 高遠さんが手にしているのは、 高遠弘美著『乳いろの花の庭から』(ふらんす堂刊)とマルセル・プルースト「失われた時を求めて④第二篇」『花咲く乙女たちのかげにⅡ』(高遠弘美訳 光文社古典新訳文庫)。 プルーストの「失われた時を求めて」については、この7月に6巻が出るということ、目標の全部を訳しきるまでにはあと8巻。 ライフワークである。 西山春文さま。 高遠弘美さま。 今日はお疲れさまでございました。 西山さま、第2句集刊行を機に更なる俳句の深耕を期待しております。 高遠さま、プルーストの完全訳を目指して、頑張ってください。応援してます。
by fragie777
| 2018-04-13 19:54
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Comments(1)
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by
romitak at 2018-04-13 20:40
山岡喜美子様 ここには詳しく書きませんが、本日はほんたうにありがたうございました。すばらしい時間でした。心より感謝してをります。
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