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4月11日(水) 旧暦2月26日
風の強い一日となった。 「吹き飛ばされそうです」って言いながら、皆ふらんす堂のドアーを開けて入ってくる。 花は散り、桜蘂も散り、 すっかり葉桜となった仙川駅前の桜の木。 夏になるとこの桜の木の葉影で待ち合わせをする人が多くなる。 澤木くみ子さんから、一通のお手紙をいただいた。 澤木くみ子さんは、俳人の澤木欣一、細見綾子夫妻の著作権者である。 澤木、細見ご夫妻のすでに亡くなられた長男の太郎さん(故人)の奥さまである。 封書をあけると一枚のチラシとお手紙が入っていた。 その手紙の内容は、兵庫県丹波市にある細見綾子の生家を丹波市に寄贈されたとのこと、その生家が改修されて4月1日より見学が可能となったとあり、見学者に渡されるためのチラシを送って下さったということだった。 これがそのチラシ。 ずいぶんと立派な家である。 お手紙には、さらに 生家内には、展示物が置かれ、綾子の書籍も並びます。ふらんす堂さまから出版していただいた『細見綾子精選句集 手織』『綾子の一句』は、見学者の方々にお手に取ってご覧いただけるかたちで展示されるようです。 とある。 それはとても嬉しいこと。 丹波市の方へ出かけられる方は、ぜひにこの「細見綾子 生家」まで足を伸ばしていただきたい。 わたしもいつか行ってみたいなあ。。。。 今日は、ふらんす堂文庫の石田郷子編・解説『細見綾子精選句集手織』の解説より、冒頭の部分を紹介したい。 丹波時代の綾子の作品にふれ解説をしている。 細見綾子の俳句は、どれも温かくもの柔らかい表情をしている。時には字余りや破調、口語などを用い、表現の高みよりもその手触りを大切にして、親しみのあるやさしい言葉で綴られている。誰もが指摘するように、純朴で無造作にさえ見える。このように俳句を作ることを、易しく思う人もいるだろう。しかし、綾子俳句は亜流を寄せつけない。その代表作のいくつかを眺めてみても、綾子の系譜というような俳人すら思い当たらない。 そら豆はまことに青き味したり 『桃は八重』 山晴れが紫苑きるにもひゞくほど 鶏頭を三尺離れもの思ふ 『冬薔薇』 峠見ゆ十一月のむなしさに 山茶花は咲く花よりも散つてゐる 『雉子』 外套をはじめて着し子胸にボタン 郷里・丹波時代の三冊の句集にある作品。当時そら豆を〈青き味〉などと言える人がいたのだろうか。全身に秋晴れを感じながら紫苑を剪り、鶏頭との距離を詠むような俳人はいただろうか。これらの句を見ると私は、まるで、言葉が作者の前にすらすらと立ちあがってきて、形のないはずのものを形にしてみせてしまったような奇妙な印象を受ける。誰にも手を加えることを許さない表現。読者はこれらの句に接してまずは驚くに違いなく、雲の中にふいに青空が覗いたような爽快感を味わえるのではなかろうか。そう、「むなしさ」という言葉で初冬のさびさびとした山容を伝え、理屈ではあり得ない事実を述べて山茶花の本質を言い当て、真新しいボタンの一つにピントが合ったことによって幼子の姿を永遠にとどめてしまう。そんな作者の直感は、芭蕉のいう「ものの見えたる光」のように、厚い雲を割って差し入ってきた一条の光なのかもしれない。 これを天性といい、奇跡といってもいいのかもしれないが、私はやはり、聡明でひたむきな一人の女性を思い、或いはその苦悩にも近づけるのではと考えて作品に向き合っていたいと思う。 細見綾子の本質をよくみすえた解説であると思う。 そして、岩田由美著『綾子の一句』より、二句とその鑑賞をを紹介したい。4月7日と19日分のもの。 紅色につやゝかに蜘蛛の子がゐたり 『桃は八重』 蜘蛛の太鼓(卵嚢)から散って行った蜘蛛の子。その一匹が今目の前にいる。小さいながらちゃんと蜘蛛の形で、紅くつやつやとしている。私も紅い油滴のような蜘蛛の子を見たことがある。花の茎についていた。この句の蜘蛛の子にぴったりだ。「蜘蛛の子よ紅色にしてつややかに」としても意味は同じだろうが、「ゐたり」といえばその存在を発見した喜びがある。季語=蜘蛛の子(夏) 春雷や胸の上なる夜の厚み 『冬薔薇』 深夜春雷に目覚める。春の雷は一度きりだったり間遠だったりすることが多い。確かに春雷で目を覚ましたはずだが、と思い、耳を澄ます。闇が深く、分厚く感じられる。「夜の厚み」とは闇の深さのことだろう。胸に覆いかぶさるような圧迫感もある。目を開けても、開けていなくても、からだ中に、とりわけ胸の上に夜の厚みが感じられる。遠くからまた雷の音。季語=春雷(春) 岩田由美さんもまた、細見綾子作品のすぐれた鑑賞者である。 綾子の生家に二冊の小さな本が置かれ、そこに収められた作品が、多くの人たちの心に刻まれていくことを願ってやまない。 余談であるが、さきほど仕事場にA生命保険の生保レディー(?)のWさんが訪ねて着た。 契約の確認である。 わたしはこの生命保険と契約をしているのであるが、なんとこの契約は、母の友人が生保レディー(つまりは営業さん)をしている時に、母に頼まれて契約をしたもので20代のときからずっと続けているものだ。 母も亡くなり、その友人も亡くなり、担当の生保レディーの方も何人か交替をした。 Wさん、席にすわるやいなや、 「はい、yamaokaさんの大好物のおせんべいを買ってきました」と袋を差し出す。 みると大好物の煎餅「匠の心 二度揚げ餅」である。 「ええっ、なんでご存じなの!?」と言うと、 「実はわたし、yamaokaさんのブログを見てるんです」と。 「ええっ!!」とこれまたさらに驚く。 「ブログでこれが大好物って書かれていたでしょう」 「あらら、そうだったかしら。」もう覚えていない。 しかし、嬉しい。じつはこの大好物、わたしの机の横にあるなんでも呑み込んでしまう引きだしに最近常備してあって、夕方になるとそれを知っているスタッフのPさんから「そろそろお煎餅を……」と催促されるのである。 「もう、わたしが秘かに食べようとおもって買ってあるのに」などとぶつぶつ言いながら、一本ずつ配給する。 ちょうど昨日で切らしてしまってまだ買ってなかったのだ。 だから、わたしはうきうきとしてそれをいただいたのだった。 そしてさっきそれをスタッフたちに配って、みんなで「美味しいねえ」と言いながら、ボリボリと食べたところ。 Wさん、ご自身も写真を撮られることが多いようで、ブログの写真についていろいろと感想を言ってくださったことも嬉しかった。 ところで、 最近おもわぬ方から、ブログ見てますよっていわれて、ちょっとギョッとすることの多いyamaokaである。 普通のおばさんが、まあ、がんばって仕事をしているわけであるが、そういうところに皆さん親しみを覚えてくださるようだ。 しかし、 である。 これが全部yamaokaなんて思わないでね。 もっとミステリアスな部分があるわよ、 って言いたいところだが、 いったいどこが! なのよね。。。。
by fragie777
| 2018-04-11 19:57
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Comments(4)
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at 2018-04-12 00:11
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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fragie777 at 2018-04-13 10:01
澤木くみ子さま
コメントを有り難うございます。 子どもたちに俳句が伝えられていくことは、なによりであると思います。 細見綾子賞、いいですね。 太郎さんは、素晴らしい人と結婚されたと思います。 ご両親孝行を澤木くみ子さんをとおしてされてますね。 (yamaoka)
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at 2019-04-15 18:56
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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fragie777 at 2019-04-15 19:38
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