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1月6日(土) 芹乃栄(せりすなわちさかう) 旧暦11月20日
向ヶ丘遊園という駅が小田急線にある。 かつては遊園地があって、メリーゴーランドやジェットコースターなどがあり子どもを遊ばせに来たこともあった。 それもすでに取り壊されてしまって、駅名のみが子どもたちが遊び興じる幻影をふっと呼び起こす。 しかしあたりを見回せばそんな夢のかけらなどあとかたもないことに気づかされる。 その北口にはときどき用があって、降りることがある。 今日は用事をすませてその反対側の南口を生田緑地の方に向かってあるいてみた。 ここはもう東京都ではなくて、神奈川県川崎市となる。 比較的にぎやかな大きな通りに沿ってあるく。 まだかすかに正月の気分が残っている街の表情である。 今日は高柳克弘著『芭蕉の一句』より、1月6日の句を紹介したい。 幾霜に心ばせをの松飾り 『あつめ句』 いくたびの降霜を経てなお緑を失わない松にあやかろうと、年頭にあたって立てる松飾り。わが粗末な庵では、そんな松の気骨ある心の働きのことで、ここでは「ばせを」と言い掛けてある。芭蕉は、本来霜に弱い植物のはず。そんな「ばせを」を「松飾り」とするのは、俳諧ならではの新年の祝い方といえる。言い掛けの言葉遊びの中に、年頭にあたっての決意が、たしかに盛り込まれている。季語=松飾り(新年) もっか、高柳克弘さんの「蕉門の一句」が、ホームページで連載されているが、この連載は本著『芭蕉の一句』の姉妹編とも呼ぶべきものである。 俳人の西村麒麟さんより第2句集『鴨』(文學の森刊)を送っていただく。 西村麒麟さんは、第5回田中裕明賞を榮猿丸さんと共に受賞されている。 また、本句集は第7回北斗賞受賞記念として刊行されたものである。 大変面白い句集である。 やさしい言葉を使って無理がなく、しかし、一句に人を立ち止まらせる何かがある。 なかなか人をくっているようで、俳諧味がたっぷりとある。 ちょうど新年の句からはじまっているので、いくつか紹介したい。 見えてゐて京都が遠し絵双六 初雀鈴の如きが七八羽 平たくて大きな家や飾臼 獅子舞が縦に暴れてゐるところ 侍の格好でする鏡餅 読んでいるとこちらの心拍数が落ち着いてくるようなゆったり感(ゆるい感覚)も魅力だ。 次から次へと読めてしまう、そんな一冊である。
by fragie777
| 2018-01-06 21:44
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