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11月29日(水) 旧暦10月12日
茶の花。 明け方に怖い夢をみた。 何かの会に出席していて地震に襲われた。 しかし、どうにかそこを脱出してわたしは山の手線で新宿に向かった。(電車はかろうじて動いていたのだ) 新宿駅で降りようとしたら、提げていた紙袋が破れて本や食べ物がドサドサと足元に落ちていく。人は後からわたしを押してくるので、拾えるものだけを拾ってまずは降りる。 人波をはずれて改札口をでるといつも知っている新宿駅ではない。 男子学生がふたり、わたしの前を歩いていく。 わたしは破れた紙袋を抱え直しながら出口をさがす。 前にいるふたりの学生が慌てたように、どこかに走り去ってしまう。 倉庫のような建物が目の前にあり、その建物の何処を抜けて外に出たらよいのかわからない。 ウロウロとしていると凄まじい爆発音がして倉庫から人間が何人か走り出てきた。 そのうちの一人が、まだ少女だ、わたしにぶつかってきてやおらわたしの腕をぐいとつかみ、 「見たな、殺すところを」と凄まじい形相で言う。そして、 「おまえを殺す」と睨んだ。 (ひえ~~!! 見てない-!) と叫ぼうとして目が覚めた。 目が覚めて、夢であることを知り、わたしはつくづくと嬉しかった。 殺されそうになる夢は、始めてである。 誰かに恨まれているのかなあ。。。 (ウラマナイデヨ) さっ、 新刊紹介をしたい。 著者の兼久ちわき(かねひさ・ちわき)さんは、1944年福岡生まれ、宇部市在住。1987年「早苗」に初投句をすることから俳句をはじめ、1989年「馬酔木」に投句。1993年「早苗菖」を受賞、現在「早苗」「馬酔木」同人。2005年第1句集『風聲』を上梓され 本句集は第2句集となる。 句集名となった「甘雨」について、著者の兼久さんは、「あとがき」で次のように書いている。紹介したい。 句集名とした「甘雨」は、草木を潤して育てる慈雨のことであり、集中の句〈英彦山の甘雨余さず稲実る〉に拠るもの。 英彦山は、福岡県と大分県にまたがる、標高千二百メートルの山。修験者の道場として知られ、その信仰圏は九州一円に及び、全盛期には坊舎も優に五百を超えていた。 この山で平成二十四年、「早苗」の一泊鍛錬会が実施されたが、昔父や兄とも登ったし、更には私自身の病気平癒祈願のため夫と登ったところでもあり、思い出はつきない。 その豊かな山よりの雨水が筑豊一帯を潤して、輝くばかりの稲を実らせていた。そんな英彦山の甘雨は、畢竟、私をここまで慈しみ育んでくれた母であり、また、初心から温かく見守り、導いて下さった春郎先生そのものなのである。 本句集は著者のたってのご希望により、俳句のすべてにひらがなで読みをほどこしてある。漢字にルビをふるのではなくて、俳句にすこし離れて小さくひらがなで記している。本文を二色刷りにして、その平仮名を帯の刷り色でもある淡紫で印刷しているので読むにはじゃまにならない。俳句の用語は独特のものがあるので、これは俳句を知らない人には親切かもしれない。 たとえば、集名となった 英彦山の甘雨余さず稲実る は、「ひこさんのかんうあまさずいねみのる」というように。英彦山を知らない人は「ひこさん」とは読みがたい。句集を俳句をつくらない一般読者に身近なものにするための兼久さんの配慮である。ルビという一般的なかたちもあるが、読める人はルビは煩わしいので、いっそこのスタイルの方が、スマートかもしれないと思った次第である。 さて、本句集の担当は、文己さん。 枯れてなほ蟷螂の眼に夢の色 豆打つて心の座標立て直す 流し索麺待つ真みどりの風の中 路地好む夫に蹤きゆく冬うらら 湯はぬるめ燗は熱めの寝正月 自販機の缶吐く音も涼新た 手を添へて母にも踏ます霜柱 大鍋や山形の秋ぶち込んで 夜は爪を切るな切るなと蛙鳴く 空箱より猫の顔出す師走かな ペリカンの嘴よりこぼれ春の色 野分去る一番星を磨きあげ 張り通す意地も三日や冷し汁 亀鳴くや縁切寺と知らず来て 喜雨浴びていよよ老松姿よき 読初の大言海を遊泳す 文己さんの好きな句を挙げたのだが、わたしの好きな句と重複しているものについてすこし紹介したい。 枯れてなほ蟷螂の眼に夢の色 夢の色とは、いったいどんな色をしていたのだろうか。生気をなくして枯れていく蟷螂である。しかし、生の名残がその眼だけには残っていてそれを夢の色と詠んだところに詩情が生まれた。だからその色は限定されなくていいのだ。緑に見えたかもしれないし、あるいは黄色、白かもしれないが、それを著者は「夢の色」と判じたのである。「死」という虚無にささやかな救いを与えたいという著者の願望がそこから夢の色を掬いとったとも。あはれなる救いではあるが。 大鍋や山形の秋ぶち込んで 「山形の秋ぶち込んで」という表現に大鍋にぶち込まれた具材の豊かさが目にみえてくるようだ。「秋をぶち込む」という思いきった表現が面白い。山形という土地への素晴らしい挨拶句でもある。ともかくも美味そうな鍋である。 文己さんは選んでいなかったが、 なんぢやもんぢや枯るるもここは東大ぞ という句も面白かった。思わず笑ってしまった。天下の東大(?)へのユーモラスな挨拶句である。一挙に読み下していく勢いもいい。 掉尾の句、 天よりの喝采と花浴びにけり について、「あとがき」に書かれている兼久ちわきさんの言葉を紹介したい。 今は亡き母や春郎先生に対する感謝の意を込めて、この句集の掉尾に、〈天よりの喝采と花浴びにけり〉をおこがましくも据えることとした。もちろん、この「喝采」は「今までよく頑張ったね」という意味、またそれだけでなく、これからも精進を怠らずに頑張れという激励とも。更に、これからは誰の支えがなくても進んでゆかねばという決意をも込めたつもりだ。 本句集の装釘は君嶋真理子さん。 「甘雨」をどうデザイン化するか、君嶋さんにはいろいろと試みて貰った。 タイトルは金箔。 カバー用紙にはうっすらと綺羅が入っている。 表紙はやや濃い紫色。日本の伝統色でいえば、「中紫(なかむらさき)」という色だ。 シックであるが暗すぎなくていい。 花切れは紫と白のツートンのもの。 栞紐は白。 見返しは金銀の箔が刷り込まれているもの。 扉。 とても品のいい仕上がりの一冊となった。 茶が咲いて日溜りといふよきところ 今日のブログの写真は、「茶の花」。「日溜まり」に一番似合うのが茶の花であると思う。そして茶の花の咲くところは「ぽかぽか」としている。小さな花であるといういことも、豊かな金色の蕊をもっているということも、温かな気持にさせる。 兼久さんはご自身でブログを書いておられる。 本句集についても書かれているのでご紹介したい。 お写真もあるので、ご本人にもお目にかかれた気分になります。 スタッフのPさんは、夕方より「件の会」の集まりに出かけた。 午後6時より、山の上ホテルにてである。 今日の「件の会」は、「吉岡幸雄さんとの夕べ」である。 吉岡幸雄(よしおか・さちお)さんは、染織家であり、京都の「染司 よしおか」の五代目当主である。 「紫のゆかり」←ホームサイト 興味を持たれた方は是非にアクセスを。
by fragie777
| 2017-11-29 20:17
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