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8月23日(水) 処暑(しょしょ) 旧暦7月2日
太宰府八幡宮の麒麟。 福岡に行ったついでに足を伸ばしたのだが、あまりの暑さに早々退散。 ウェブマガジン「スピカ」に掲載された8月12日の「出版社ふらんす堂 インタビュー」をご覧になった森賀まりさんからメールをいただいた。 スピカも拝見しました。 賞はどういう選者がどう選んだかであり 冊子からはいつもそれぞれの選者の誠実が伝わってきますが そこがつぶさに伝えられてきたことが この賞が他とは違うところであると思います。 スピカは若い方の広く読まれる場所と存じます。 ふらんす堂さんという出版社の誠実さも伝わってまいりました。 励まされたメールのお言葉だった。 今日も新刊紹介をしたい。 馬越やす子句集『寒紅』(かんべに)。 A6判(文庫本サイズ)ペーパーバックスタイル 100頁 著者の馬越やす子(まごし・やすこさん)は、愛媛県今治市生まれ、現在は埼玉県狭山市にお住まいである。1995年に俳句を始められ1997年「桑海」(清水舞子主宰)に入会、1997年「桑海」同人、2008年「昌平寺俳句会」(深見けん二指導)に入会し、現在に至っている。本句集は俳句をはじめてよりの20年間の作品のなかからの第1句集である。序文と序句を深見けん二氏が寄せている。 金婚や更科に住み月に酌む けん二 雪まるく解けて紫蕗の薹 蕗の薹」は、春、それも早春の季題です。都会でも畑に作って売っていますが、雪国では、雪解けとともに、苞(ほう)の先が紫になって現れます。実際に見たことのある人でなければ、こんな美しい句は詠めません。 海の色空の色して犬ふぐり 寒が明ける頃になりますと、野原や道端に、瑠璃色の可憐なこまかいいぬふぐりが、地に低く鮮かに咲きます。「空の色」とはよく云いますが、「海の色」と重ねて詠んだことで、読者にいぬふぐりが新鮮に伝わります。 この句集には、日常のこと、家族のこと、旅のことが沢山詠まれており、読む方お一人お一人が、この句集を通し、やす子さんの来し方を思い、金婚を祝って下さると思います。 序文を抜粋して紹介した。金婚を記念されてのこの度の刊行である。「寒紅」という句集名はお母さまへの思いからつけられたという。 本句集の担当は、文己さん。 踏むまじく踏むまじく摘む土筆かな 喪の服に花散りかかり散りかかり 爽やかに地中海よりエアメール 二階から夫の呼ぶ声大夕焼 枯菊を束ねたる手に香の残る ほととぎす啼きしところに又戻る 疎開せし記憶の中の桐の花 姥捨に我も旅人月渉る 夢二の絵ぬけて黒猫庭うらら 冬帽子父在すごとに夫の居て 初蝶の低くひくくと飛びつづけ 梅雨空にとどまつてゐる観覧車 あたたかや角曲がるまで見送られ わたしももちろん拝読したのだが、いいなと思う句が文己さんと大分だぶった。達者な方だと思う。 喪の服に花散りかかり散りかかり 「花散りかかり散りかかり」が巧みであると思う。悲しみの喪服の静、そこへ止むこともなく散りつづける花の動、黒へ散りかかるピンクの色、まるで映画の一こまのように映像的で美しい。喪服を着ているのは命ある生者であって華やかな色をまとっているのは散りゆく花。際だった対比と深淵。映画の美しいワンシーンのような一句だが、生きとし生けるものの逃れられない摂理を暗示しているかのようだ。 私が俳句を始めてから、今年で二十年になります。ちょうど金婚、喜寿とも重なりましたので、思い切ってこれまでの句をまとめて句集を上梓しようと思い立ちました。収める句は「桑海」(主宰 清水舞子先生)と昌平寺俳句会(指導 深見けん二先生)の選に入った句の中から自選することとし、句に詠んだその時の情景が、あとから日記を読み返す様に懐かしく甦ってくる、その様な句に絞りました。ですから句数も少なく拙い 句ではありますが、どの句も私にとっては忘れられない大切なものです。ご笑覧いただければ幸に存じます。(略) 序文ならびに序句は、深見けん二先生から頂きました。これは私には身に余る喜びとなりました。心より厚くお礼申し上げます。 これからも先生のご指導に従って、花鳥諷詠の心を大事に俳句を続けてまいりたいと思っております。 「あとがき」の言葉である。 本句集の装丁は君嶋真理子さん。 文庫判の小さな一冊である。 こんな感じ。 扉。 すっきりとした仕上がり。 刊行日の8月21日はお誕生日であるということ。 馬越やす子さま。 ご上梓、そしてお誕生日、おめでとうございます。 冬帽子父在すごとに夫の居て 馬越さんのご主人は序文によると、建築の精密な模型をつくる技術者で、いまも現役で模型の仕事をされておられるという。まさにプロフェッショナルな仕事人である。そのご主人にお父さまの気配をふっと感じたのだ。「冬帽子」が知的であたたかなお二人を象徴している。そして、お二人とも冬帽子の愛用者なのだろう、きっと。父と夫をこのようにやすらかに詠める馬越やす子さんは、まことにお幸せなお方である。 今日はおひとりお客さまが見えられた。 大葉二良(おおば・じろう)さん。 英語俳句の句集を出版されたいということである。 まず英語で俳句をつくり、日本語でも表現されているものである・ ふらんす堂刊行の見本をご覧になって造本などをお決めになられた。 お仕事でアメリカには滞在されていたこともあり、英語は馴染みの言葉ではあったが、英語で俳句をつくるのはそれほどたやすいことではない。 ここ数年その勉強もされ、英語俳句の賞をいただいたこともあって一冊にまとめられることを決められたのだ。 大葉二良さん。 すでに第一句集は2008年に上梓されておられ、いまは英語句集に力を注がれている。 俳人の金子敦さんとはお親しく、今日は句集『音符』を持ってご来社下さったのだった。 「僕のまわりでは、ふらんす堂さんから刊行されている人が多いです」とおっしゃってくださったのはとても嬉しかった。。。 (自己満足って言う勿れ!)
by fragie777
| 2017-08-23 20:24
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