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12月7日(水) 大雪(たいせつ) 旧暦11月9日
仙川商店街。 激しく駐輪禁止。 どうやらお腹をこわしてしまったらしい。 こういうときは漢方がいいかなぁと戸棚に首を突っ込んでいろいろと見回し、百草丸を手にとり、それから陀羅尼助を手にとり、結局ビオフェルミンで手を打った(?)。 今は落ちついているが下腹がなんとなーく痛い。 正露丸でも良かったのかなあ。。。。。 すこし疲れが出ているようだ。 しきりに眠い。 インフルエンザや風邪に罹ったりしたらそれこそすべての予定が狂ってしまうので、とにかく健康第一である。 今日も新刊紹介をしたい。 詩集である。 詩人のそらしといろさんの第2詩集である。第1詩集『フラット』(思潮社)で第24回歴程新鋭賞を受賞されている。 彼らは/私たちは、終焉を目指す―― それは、末広がる祭り。 ボーイズラブとは「私たち」の言葉によって紡がれる饗宴。 萌えから生まれる詩、詩から立ち上がる萌えの世界。 帯に記されたキャッチコピーである。 むむっ、「ボーイズラブ」という心震える言葉が記されている。 なんだか、ドキドキするなあ。 本詩集の担当は、Pさん。 「ボーイズラブ」は、Pさんの守備範囲である。 まずは、作品を紹介したい。 Pさんが好きだという詩篇を紹介したい。 末広がる祭り 1 六畳間に同居している百人の、 よき友、よき恋人、よき師匠。 2 紙 ペン インク ホチキス そういう風に 封じられた彼らは むしろ新しい運命をひらく 3 君は西へ進み、 僕は東を目指すと決めて、 何度も確認した、 地図と装備を枕に、 数え続けた夜が、 一斉に白む。 4 心臓より上で 昂る手が 開戦に 似た横顔を 開幕に 装ったら 末広がる祭り 5 去年のヒトは去年と同じ格好のまま 蔓のように這わせた笑顔でからめとる 絶滅を逃れるためのそれは繁殖能力 6 日々の 小さな戦いを 生き延びたあなたから 引き継ぐ最後のカードは 可視化された未来 消滅の瞬間まで 見守る 7 握りしめていたコインを放った両手で抱きしめる、かたちある愛しさ。 8 ぬるむ空気 ゆるむ表情 引き締めろと言うように流れる放送 限りなく灰色の時空を守り抜くため 9 折りたたんだ 机と椅子の数だけ存在する 世界の創造主 壊れやすければ大事にする その世界の住人として 居心地の良さを重視したい 10 曲折して西を 迂回して東を 目指していた 僕たち、こんなところで再会を果たして、 求めていたものは同じ感情だったんだね。 (2015年8月14日 コミックマーケット88を想って) どうだろう。 これは毎年行われる東京ビッグサイトでの通称「コミケ」での風景から触発されて生まれた一篇らしい。 知る人は知る(主に若者ら)有名な「コミケ」という文化空間に行ったことがあります? わたしは一度だけある。もう8年くらい前になろうか。 そりゃあもう、びっくりした。(わたしが行った日は多分ボーイズラブの日だったと思うが) 広い会場いっぱいに若い女子たちが本や絵を売り買いしているのである。コスプレヤーも結構いて、yamaokaおばさんはもう違う次元に足を踏み入れてしまった感があった。「折りたたんだ/机と椅子の数だけ存在する/世界の創造主」とはまさに。。。。 若い女子による若い女子のための祝祭。熱気で会場は溢れていた。 もう少しPさんの好きな詩篇を紹介したい。 溶けかかる午後 3 出てくる言葉は受動的で 能動的な言葉の到来を 待ち焦がれる眼球の 前に突き付けられた 赤い点から糸を 引いて落ちる 発語未然の 9 修正した覚えのない手帳の書き込み 二重線ではなく修正液で 厚く 白く 塗り潰されて かすかに息が漏れている 液晶海(えきしょうかい) スーパーで買った商品(ウリモノ)の 値段シールを腕に貼って ふざける 今の君は398円の塩鮭 今宵限りでこの世と別れる、398円の塩鮭。 たましいレイヤード 3 鏡に映った姿に与えるべきは 生意気な少年らしい高めの声 永遠に勝利する彼は少年だ 俺は彼から あらゆるものを借りている たましいのひとかけらを宿らせた 僕の喉が君のかたちになってゆく 4 それからというもの 「僕」という一人称が薄らぎ 「君」という二人称も揺らぎ 「俺」と「彼」は統合されつつある 10 君から借りた 神聖な左手で 捧げていた僕の 青春の 日々も 君も いつまでも一緒にはいられないから あの頃より大きくなった掌を振るよ (ミュージカル『テニスの王子様』を想って) この「たましいレイヤード」は、ミュージカル『テニスの王子様』を想って、とある。 美しい少年たちが白熱しながらテニスで戦うミュージカル『テニスの王子様』(原作は漫画)を見たことあります? わたしはある。録画でも少し見た。会場はやはり中学性から大人の女子までびっしり埋まっていた。 さて、もう一篇のみPさんおすすめの詩行を記す。 薄目の無防備 10 何も調整されていない状態の眼を 裸眼、 と言いますから、 眼鏡は、 外(はず)す、ではなく、 脱ぐ、 が、正しいかと。 本詩集の装丁は和兎さん。 著者のそらしといろさんのご希望で青井秋(漫画家)さんの繊細なイラストを用いて美しい詩集が出来上がった。 和兎さんは用紙をパール箔の置き方に工夫を凝らした。 扉と帯は透きとおる絹のような用紙をつかう。 「暁を踏み割ってゆく」と言うタイトルは本詩集の詩行よりとったものである。 わたしの心にとまった詩行は、これ。 ほどける朝へ 「理科室はマッチの消えた匂いがしたね。」 「夢の消えた匂いだよ、あれは。」 「じゃあ、これは消えなかった夢の匂いだ。」 これは、作家長野まゆみさんが描く世界に登場する少年たちの会話だって、即思った。 わたしは、長野まゆみさんが好きでいっときよく夢中になって読んだ。 透明感のあるやさしい眼差しの少年たち。 細やかな空気と硬質な光が交錯する世界。 「理科室」は少年たちのものだ。 こんな風に好きな詩行を見つけて読んでいくのも楽しい詩集である。 本詩集について、そらしといろさんがご自身のブログで語っておられます。 興味のある方は是非にアクセスを。 さあてと、ブログを書き終えたし、もう帰ろう。 今日はあったかいものを食べて、早く寝ましょう。 急に寒くなりましたので、皆さまもお気をつけ遊ばされますよう。 では。
by fragie777
| 2016-12-07 19:04
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