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11月4日(金) 旧暦10月5日
今日も遅くなってブログを書いている。 先ほど横須賀から戻ったところである。 今日は、高田風人子句集『四季の巡りに』 の出版のお祝いの会が、横須賀市産業交流プラザであり私が伺った。 京急線というあまり乗ったことがない私鉄に品川から乗って横須賀を目ざす。 わたしには遥か遠いところのように思える。 しかし、遠いところに行く楽しみのようなものがあり、興味しんしんである。 「浦賀」と言えばペリーが黒船を率いてやってきたところである。 吉田松陰など幕末藩士たちが黒船を見るべくやってきた「浦賀」である。 感慨深い。 「浦賀」を思うと、いやそれは関係ないか、ちょっと喉が渇いたので自販機で、水を買う。 水と思って買ったのは、カルピス入りのちょっと甘いヤツだった。(まっ、いいか) 降りる駅は「汐入」という駅名。 この向こうには海が開けているのだ。 海が見たかったが、もう時間がない。 あきらめて会場に向ったのだった。 温かな手作り感があってとても好もしい雰囲気に満ちている。 句集『四季の巡りに』は福神さんの尽力なくしては刊行できなかった句集である。 阿部信さんは、「玉藻」の編集長もされている方ということ。 「雛」でも中心となって頑張っておられる。 風人子先生とは、わたしは20年ぶりにお会いする。 1995年に『現代俳句文庫 高田風人子句集』を刊行された時に、ふらんす堂を訪ねてくださったのだ。 風人子先生とは70年来の句友であるということ。 (これは大変楽しかったので抜粋して紹介したい。) 平尾 先生、奥さま本日はおめでとうございます。 皆さまを代表していくつか先生に質問をさせていただきます。 まず、先生は小さい頃何になりたかったでしょうか。 先生 いまにして思いますと、小学校の頃から箱庭を作ったり庭の手入れをしたり、そんなことが好きだったもので、いまにしておもえば俳句にすこし関係があったのかなあと思います。 平尾 俳句を始められたきっかけをお教えいただけますか。 先生 あの恥ずかしいというか有難いというか、一番につくった句は小学校4年なんです。むかしは師範学校というのがあって、師範学校を卒業した先生がはじめて我々を教えてくれたんです。でその時に俳句を作らされたんです。その最初に出来た句は、〈たき火しておしりをあぶるおばあさん〉(拍手と笑い)というのがわたしの初めての句です。その先生に4,5,6年と教わりました。 中学にはいってから俳句にだんだん深入りしていきました。学校の帰りに本屋さんに行って、俳句の本を捜したら、『俳句のつくりよう』という虚子の本が一円以下で売ってたんです。その隣に水原秋櫻子のちょっと厚い本があったんです。その頃は何も知らなかったので、一円以下の虚子の『俳句のつくりよう』を買いました。それがいまの花鳥諷詠との出合いとなったのです。 平尾 それでは先生ご自身で一番お好きな句はなんですか。 先生 好きな句はいろいろとありますが、想い出の句は、〈犬ふぐりどこにも咲くさみしいから〉の一句です。あの句ができるまでに一人で10数句作ったんです。ホトトギスにはその中で選んで貰えそうなものを投句し、この一句は俳句らしくないので、朝日新聞の虚子選に投句したんです。そうしたその句を虚子先生はとってくれたんです。忘れられない一句です。 平尾 それでは今度は奥さまに質問をしたいと思います。 奥さまにお伺いしますが、風人子先生はお家では奥さまにお優しいですか。 夫人 優しくありません。(会場爆笑) 平尾 それでは風人子先生は奥さまにお優しくしてあげてますか。 先生 男の意地として褒めることはあまりないです。 平尾 奥さまいかがですか? 夫人 今幸せかと言われますと、こんなうるさい人とは知りませんでした。もっと優しい言葉をかけてくれる人かと思っておりました。あまりそれはダメでした。(会場笑い) 平尾 それでは先生、ここで奥さまに優しい言葉をかけてみられませんか。 先生 じゃ、はじめてかけさせていただきます。長い間ありがとうございました。(会場拍手) もうひとつ、〈妻よりも先死ぬ願ひ桜餅〉という句があるのですが、これは40歳代でつくったものです。それでいまはおかげで90歳になりましたけれど、いまでもわたしが先死ななきゃだめだなって思っております。 夫人 わたくしより主人の方が丈夫そうなもので、どうなるかと思いますが、ただわたくしがいないと主人が何にも出来ないものですから、なるべく長く90歳になってすこし欲張りですけれどやはり主人を残して死ぬことはできないかな、と考えております。 先生 いいお言葉を有難うございました。(会場 拍手と笑) なごやかでアットホームな雰囲気のうちに会は進んでいく。 最後は皆で風人子先生がお好きだという「四季の歌」を合唱する。 そして風人子先生のご挨拶。 花も鳥も人も同格と観じて、太陽の恵みに生を営む人達の詠う、潤いのある詩と信じて七十余年。詩の潤いは心のゆとりに通じます。四季の巡りに従って俳句にあそべる幸せから、句集名は「四季の巡りに」としました。 「あとがき」を再び引用した。 俳句は季題を大切にする小さないとおしい詩である。 お話を伺っていると、70年間の俳句生活をこの信念が貫いておられるように思った。 「雛」の皆さま、今日はお世話になりました。 とても楽しい会でした。 高田風人子先生、奥さまと仲良く100歳を目ざして下さい。 皆さまの更なるご健吟を! みかん黄にふと人生はあたたかし 風人子
by fragie777
| 2016-11-04 22:52
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