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ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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見事な十七字の日本語

10月20日(木)  旧暦9月20日

見事な十七字の日本語_f0071480_18300177.jpg
かりんの実。
ひさしぶりの青空にかがやくかりん。





待望の富安風生精選句集『愛は一如』(鈴木貞雄編・解説)の見本が出来上がってくる。
問い合わせの電話をかなりいただき、お客さまをお待たせしてしまった。
ふらんす堂文庫を新装版にして新句集としてははじめて刊行されるものだ。
新装版としては、久保田万太郎精選句集『こでまり抄』につぐものとなる。精選390句を収録、初句索引、季語索引つきである。「愛は一如」というタイトルは、

 愛は一如草木虫魚人相和し

に拠る。しかもこの句鈴木貞雄氏の解説によると、風生の句の中で唯一の無季俳句であるということ。

無季と知りつつも敢えて句集に掲載したのは、自身の気持をもっともよく表していると思ったからであろう。

と記し、鈴木氏はその無季の句を句集のタイトルに選んだのである。
「愛」という言葉はわたしたち日本人には、なかなか普段着の心で使えないそんな言葉だ。
ちょっと照れながら構えてしまうというか。
ところが風生句集を刊行してみて分かったのだが、風生はこの「愛」という語をつかった句が多いのである。本句集においてもかなりある。

 寵愛のおかめいんこも羽抜鳥
 雨を見て端居顔なる猫可愛
 菜の花といふ平凡を愛しけり
 義理欠きてわが身を愛す秋深し
 刻々を愛(を)しみて生くる日記閉づ
 傘寿わがいと愛づ色に岩菲の朱
 掌上に珠と愛して秋の城
 冬草や黙々たりし父の愛
 空蝉を愛し人間にも飽かず
 愛は一如草木虫魚人相和し
 人を恋ふわらんべ愛(かな)し芹田駆け
 春惜しむ心と別に命愛(を)し
 紙雛と遊び仮寓の日を愛す
 遠い遠い愛しい記憶貝割菜

いろんな愛を詠んでいる。草花や動物への愛もあれば自愛の句もある。しかしつまるところ、句集のタイトルとなった「愛は一如草木虫魚人相和し」が風生の「愛」を集約したものだとわたしも思う。
「愛は一如」いい言葉である。
わたしは、上記の作品では、
 
 菜の花といふ平凡を愛しけり

この句がとっても好き。

嬉しくて見本とちょっと遊んでみた。



見事な十七字の日本語_f0071480_18291745.jpg
ムーミンとともに。


見事な十七字の日本語_f0071480_18294687.jpg
猫たちも喜んでいる。


「たとえば『よろこべばしきりに落つる木の実かな』『まさをなる空よりしだれざくらかな』などの初期の作品から『時雨るると袖うちかざしよろこべる』『端然と坐りて春を惜しみけり』『秋晴の運動会をしてゐるよ』などの戦後の作品に至るまで、一貫して実に見事な十七字の日本語があるばかりでなく、それぞれに、木の実・しだれざくら・時雨・惜春・秋晴という季語の本意のようなものが、もはや揺るぎない一つの典型のごとく、しかも明晰に言いとめられている。一見、もっとも紋切り型の表現に見えながら、しかも完璧な一回性を獲得しているのである」
 
鈴木貞雄氏の解説に引用されている、高柳重信の「風生追悼」の一文である。

10月末には書店に出回る予定。














10月17日付の京都新聞「詩歌の本棚」では南うみをさんによって、ふらんす堂刊行の二冊の句集が紹介されている。常澤俶子句集『探梅』と 永井由紀子句集『周』である。

『探梅』(ふらんす堂)は、常澤俶子の第1句集で平成7年から27年までの句をおさめる。平成元年「天狼」に入会し、山口誓子に師事。誓子亡き後、7年に「狩」の鷹羽狩行に師事し、「狩」同人として現在に至る。

 照らされて火の粉となりぬ牡丹雪
 思ひ草ひしめき合ひて影持たず
 鍬の背も器用に使ひ耕せる
 開きつつ重さ加へて緋の牡丹
 ぶつぶつと土が物言ふ斑雪かな
 木も岩も歩き退場聖夜劇

炎に照らされた「牡丹雪」を「火の粉」に、また「思ひ草」の儚げな立ち姿を「影持たず」と的確に断定する。「鍬の背も器用に使ひ」は体験が紡ぐ言葉であり、「開きつつ重さ加へて」も緋牡丹の鮮やかな大きさなれば納得する。そしてあちこちに覗く「斑雪」の土は、「ぶつぶつと」呟く如く春の訪れを知らせる。人物たちと共に、動かぬ「木も岩も歩き退場」には笑みがこぼれる。総じて言葉のデッサンがしっかりしているので、断定にも頷ける。

 母老いて冬帽にまで名を記す
 猫の子を撫でて嫁いで行きにけり
 乾く間も待てず書初見せに来る
 木枯や背を正さねば老い迫る

「冬帽にまで」に母の老いの深まりを、「猫の子を撫でて」には娘の生活の一端がさりげなく伝わる。「乾く間も待てず」にすくすく育つ孫への眼差しを、「背を正さねば」に自らの老いを見つめ、心を奮い立たす。ここでは作者や家族の姿が率直に描かれる。

『周』(ふらんす堂)は永井由紀子の第3句集で、平成17年から27年までの句をおさめる。昭和40年「夏草」に入会し、山口青邨に師事。のちの師系の斎藤夏風の「屋根」、また有馬朗人の「天為」に入会し、いずれも同人として現在に至る。

 根の国の穴に余りし蛇の丈
 しんしんと暮れて吉野の洗鯉
 自然薯を掘るうやむやの関あたり
 寒波来てマヤの暦に滅びの日
 影ひとつシルクロードの野を焼いて
 口すこしひらきて木乃伊日短か
 
「根の国」から出雲を、「穴に余りし」から神話の八岐大蛇(やまたのおろち)を想像させる。また深山の吉野なればこその「しんしんと暮れて」である。そして陸奥の古関に、まぼろしの如く「自然薯を掘る」人物を配す。更に自らの滅びを予言したマヤ文明。東西文明の道にも今も変わらぬ野焼き。死後も世界の支配者たらんとする木乃伊の口。いずれも旅吟ながら歴史に深く踏み入る表現である。
 
 秋天やこの子嫁がば家系絶ゆ
 産み了へし黒髪を梳く春の雷
 夏立つや嬰にをとこのこの匂ひ
 につこりと「二さい」と立ててゆびに春

嫁ぐ娘の幸せと家系のジレンマを「秋天」に象徴させ、その娘の出産の安堵を「春雪」で示す。また「をとこのこ」の力強さを「夏立つや」で引き立たせ、さらに成長する孫が「二さい」と指を立てる仕草を手放しで喜ぶ。ここには普遍的な家族愛が率直に表現されている。昭和19年産まれ。広島市在住。









プロ野球ファンが多いふらんす堂スタッフたちである。

今日はもっぱらドラフトの話題で盛り上がった。

わたしはある時点より野球から足を洗ったので、話題についていけない。

たとえば広島カープの黒田投手(引退をしたけど)が凄いって言うくらいは分かるのだが、

ドラフト状況なんて少しもわかんない。

お休み時間にそんな話題で盛り上がっているとき、わたしは必死でポケモンゲットに励んでいるのだ。

「カラカラ」を「ガラガラ」に進化できたのは、嬉しかったな。。。。。










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by fragie777 | 2016-10-20 19:59 | Comments(0)


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