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10月17日(月) 旧暦9月17日
東京郊外を歩くと、まだこんな風景に出くわす。 季語である。 稲架の道朝夕きよくなりにけり 大野林火 月明に稲架の襖の裏表 清崎敏郎 母の胸の広さに籾を押し拡げ 今瀬剛一 総出で働いている。 勢いよく吐き出された籾殻があたりをけぶらせるほど。 籾殻の煙もどりくる棚田道 櫻井博道 案山子だけがなぜかくつろいでのんびりしている。 おやおやと案山子の顔に近づけり 茨木和生 さて、15日にホテルニューオータニで行われた「野の会」の鈴木明主宰の出版のお祝いの会について紹介したい。 当日参加したスタッフのPさんのレポートによります。 胸にコサージュをつけたり、若い方からお花をいただいたりしてものすごく上がっております。 自分自身を失っております。 本日はかくも多くの方々にお集まりいただきまして、大変嬉しく存じます。 ご来賓の高橋睦郎先生をはじめ、諸先生方、今回出版を祝う会を立ち上げ、支援してくださった発起人の皆さん 、ありがとうございました。心より厚く御礼申し上げます。 第五句集の『甕』でございますが、先ほどちょっとご紹介があったとおり、6年前の大震災があったあの年の一月に第四句集を出版しました。 今年傘寿を過ぎました私はこれが最後の句集ではないかなと思っております。そのように心づもりはしておりますけれども、俳句は毎日毎日作り続けております。来る2020年のオリンピックまでは生きたいという望みも持っておりまして、ですからこのことについてはまだ分からないと言っておいた方が正しいかも知れません。 先ほどご挨拶いただきました高橋睦郎先生は、前句集の『遊行』に続く、新刊句集『十年』を角川書店さんから出されました。おめでとうございます。内容については改めて申し上げることはないのですが、優れた言葉選びといいますか卓越した極限の句集と言ってもいいほど洗練された句集でございました。この素晴らしい句集なんですが、僕が一番やられたなと思ったのは、題名の『十年』という言葉でした。全句集からの十年と言う歳月をシンプルに直裁に題名にされた。このような題をつけるのは難しいんですね。『十年』という題はいいなという思いがしました。ひるがえって私の句集『甕』は、僕はなんとなく焼酎の甕からつけたんですけれども、それでは絵になりませんから、あとがきであのようにいろいろと書いたんですけれどもね。この『甕』という漢字を使ったために、何人かの方から「あれはなんとお読みになるんですか」と聞かれたんです。僕もビックリして、ああそうか。これは昔の字の甕だなと。その時やっぱりもっとわかりやすい親しみやすい題にするべきだったなと思いました。 私の句に〈立ち位置を考えている崖椿〉という句があります。私は一俳人として、壁以前、そしてその後時代の中でいかなる考えで俳句に対峙して自分の立ち位置を定めるかという、これは私自身のことだけではなく、この「野の会」という結社、結社の主宰ですから、やはりしっかりした方向性というものを確認しておかなければいけない、そして進まねばならないという風に考えておりました。 ご来賓の中にいらっしゃる関悦史氏は既刊句集『六十億本の回転する曲がった棒』で心ある俳人から非常に高い評価を得ております。私も今最も注目する数少ない信頼できる精鋭俳人だと思っております。関氏の持つ、鋭い現代に対する批判、問題意識を私も恒に持ち続けてそして、それを目途として自分の今後の立ち位置を決めていきたい、そう思っております。 このお祝いの会は、敦子夫人のこころづくしのものであった。 句集に栞の文章を寄せられた高山れおな氏(左前列)、跋を寄せられた高橋睦郎氏(前列中央)、栞の文章を寄せられた筑紫磐井氏(右前列)、楠本憲吉主宰時代より「野の会」とご縁のあった行方克巳氏(左後列)、関悦史氏(後列中央)。 あらためまして、 鈴木明主宰、句集のご上梓おめでとうございました。 ふらんす堂で刊行させていただきましたことを、心より御礼を申し上げます。 鈴木主宰をはじめとして、「野の会」の皆さまのご健勝とご健吟をお祈り申し上げます。 ちょっとしたふらんす堂ニュースがある。 ふらんす堂に小さなテレビが入った。 わたしが所望したの。 遅くまで仕事をしたり、休日出勤をしたりしているとなかなか見たい番組も見られないときがある。 録画しておいたりもするんだけど、録画するほどでなくて、ニュースや情報などその時間に見て知っておきたいってこと、あるじゃない。 わたしは基本的にはながら仕事は不得手でどっちかに集中してしまうのだけど、ながら仕事が得意なPさんなどもテレビの設置を強くすすめたのである。 「地震が起こったときなど、テレビがあった方がいい」とも。 そんなわけで小さなテレビが据えられた。 パソコンの画面より小さいくらい。 ふらんす堂にテレビがあるなんて、かつてクーラーも冷蔵庫もなかったふらんす堂においてはすごい出来事である。
by fragie777
| 2016-10-17 19:58
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