ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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因達の里

7月19日(火) 土用  旧暦6月16日

因達の里_f0071480_18355498.jpg
国立・谷保に咲いていたブーゲンビリア。



「ふらんす堂通信149号」の校了に向っている。
わたしの机の上に最終ゲラがドサッと置かれた。
午後三時より読み始めて、まだ半ばである。
明日中に校了にしなくてはならない。
が、ブログも書かなくてはならないので、中断してパソコンに向った。



新刊紹介をしたい。

砥田隆次句集『因達の里(三)』(いだてのさと3)


因達の里_f0071480_18360899.jpg
四六判ペーパーバックスタイル。126ページ。私家版

「因達の里」と題した三冊目の句集である。
著者の戸田隆次(とだ・たかつぐ)さんは、1939年、島根県松江市に生まれ、現在は姫路市西新在家にお住まいである。この西新在家がすなわち「因達の里」なのである。
第1句集『因達の里』のあとがきにはこう記されている。

句集名「因達(いだて)の里は、播磨風土記の「因達の里 土は中の中なり」から取った。その注釈には、因達の里は八丈岩山の南麓の平野地とある。また、八丈岩山は「因達の神山」と出ている。私の住んでいる姫路市西新在家も、その里の中にある。家の北に八丈岩山があり、北極星が山頂に見える。ここに住んで三十年近くになる。

「三十年近くになる」と書かれたのが、平成9年(1997)だから、砥田さんはすでにほぼ50年をこの「因達の里」で暮らしておられる。第1句集を上梓されてから約20年が経った。20年の間に第1句集『因達の里』に次ぐ、第2句集『因達の里(二)』、第3句集『因達の里(三)』を刊行されたのである。


因達の里_f0071480_18363238.jpg


20年間以上のご縁であるが、遠くに住む著者砥田隆次さんのことは殆ど存じ上げない。「俳句はまったくの我流で、五七五の形式と季語だけを意識して日記に書いている」と、第1句集の「あとがき」にあるように、日記として書かれた俳句をとおして、砥田さんの日常を階間見るのみである。1939年生まれの砥田さんは、今年77歳。喜寿である。あるいは喜寿の記念としての句集上梓かもしれないが、そういうことも語られず淡々としておられる。ただ、分ることはご自身の生活の場の「因達の里」をこよなく愛しておられるということだ。

毎日登っている八丈岩山は因達の神山として播磨国風土記に出ている。(略)八丈岩山の頂上からは平成二七年三月に修復された白い姫路城も見える。山は今、つつじと山桜が満開である。

本句集の「あとがき」である。77歳の今も八丈岩山、つまり「因達の神山」に毎日登られているという。本句集が出来上がったら、高校の同窓会で友人たちに配りたいとお手紙にあった。ご友人たちにとってもここで詠まれた景色は親しいものであることだろう。
俳句をいくつか紹介したい。

 風蘭のにおいを運ぶ今朝の山
 初版本展示を終えて冬日差す
 子かまきりつかまんとしてつかまれず
 山頂のラジオ体操盆の風
 人形の浄瑠璃見るや柿熟れる
 割り勘のたった二人の年忘れ
 今からだ春の機の窓いざ生きん
 仰臥して日は沈むなり万愚節
 山道の溝の水はけ針供養
 ふかふかとこころ耕し春終る
 七時間手術を終えし初夏の粥
 ひぐらしは悲(かな)· 哀(かな)· 愛(かな)と朝と夕
 まんまるの餅のごとくに雪残る
 ターナーの絵のするどさよ二月尽
 ただ一人筍掘りて音もなし
 晩秋の能登の潮騒月あかり

句集を出そうと思ったのは、自分の生きてきた証として何かを残せたらと思ったからである。また、この句集は、私が何に心を動かされていたかの記録でもある。
 
第1句集の「あとがき」の言葉である。
上記に紹介の俳句で、「七時間」におよぶ手術をされたとあるが、もうご回復はされたのだろうか。しかし、その後も淡々と句を作られている著者である。
上の書影写真を見てもわかるように、装幀もまた著者の意向を反映したものとなった。
色は紺、タイトルは砥田隆次さんの手によるもの、造本も同じ。
今回の紺色はいままで以上に深い色となった。

因達の里_f0071480_18362340.jpg

因達の里_f0071480_19401340.jpg
用紙も既刊句集と同じものを用いた。


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扉。

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紺と白の対比が美しい一冊となった。

 夕餉には山の平茸いただけり

掉尾の1句である。
なにかホッとする1句だ。
山の平茸とはきっと近くのあるいは砥田さんが毎日登る山から採集された平茸かもしれない。
山に向ってくつろぐ著者の充足の表情がみえてくる。

砥田隆次さま、喜寿を迎えられおめでとうございます。
ますますのご健吟をお祈り申し上げております。





7月14日の讀賣新聞の長谷川櫂さんによる「四季」は、秋篠光広句集『心月』より。

 梅雨深む鯰は己濁しつつ   秋篠光広

ぬるりとした姿に長い髭。鯰は得体の知れぬ風貌をしている。地震の震源と濡れ衣を着せられてきたのもそのゆえだろう。この句、梅雨の濁りの底深く沈む一匹の大鯰。己を濁すなど鯰以外のどの魚にできようか。句集『心月』から。




7月17日の毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、コダマキョウコ句集『CẢM ƠN』より。

 バタフライして海の日の海の音   コダマキョウコ

「海の日の海の音」のリズムが快い。バタフライをしたい気分だが、無理は禁物、せめて足だけでも海につけて、足湯ならぬ足海を明日の「海の日」に楽しみたい。キョウコは京都市に住む。句集『CẢM ƠN』からもう1句引こう。句集の題名はありがとうの意味のベトナム語。「ソフトクリームのてっぺんは快晴」






今日の「増殖する歳時記」 は、土肥あき子さんによって片山由美子句集『俳句日記2015 昨日の花 今日の花』より。

 丑の日や鰻ぎらひを通しをり   片山由美子

本日土用丑。本日ばかりは鰻屋に長蛇の列ができる。以前鰻屋のご主人と話したとき「鰻はハレの日の食べものだから、おなじみさんがなかなかできない」と嘆いていたことを思い出す。できたら月に一度は食べたいと願う筆者からすると、鰻嫌いな人が存在に「あれほどおいしいものがなぜ…」と首を傾げるばかり。掲句は『昨日の花 今日の花』(2016)に所載された一句。作品に続く小文には「鰻の蒲焼きが食べられない。昔は穴子も食べなかったが、天ぷらや白焼きは美味しいと思うようになった。ということは苦手なのは蒲焼きかも。皮や小骨が舌に触りそうでダメ」とあり(衝撃のあまり全文引いてしまった…)、苦手の根本が蒲焼きであることに二度驚く。そういえば、学生時代に「蒲焼きが裏向きになると皮が蛇みたいに見えるので、絶対に裏にならないように食べる」と言っていた友人がいたことを思い出した。裏返しにならないように気を抜くことなく進める箸では、おそらく味どころではなかっただろう。鰻を苦手とする各位が本日をつつがなく過ごせることを祈るばかりである。




今日は「丑の日」なのか。
鰻食べたいな。
しかし、今日のわが家の夕食はパクチーをたっぷり使ったフォーである。
鰻じゃない。
もう決めたんだから、フォーでいく。





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by fragie777 | 2016-07-19 20:23 | 本紹介 | Comments(0)


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