ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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宇宙のこえ。

4月7日(木) 旧暦3月1日

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母子草。


今日の栗木京子さんの「短歌日記」には笑った。

今日もまたプードルになっておられるのだろうか、栗木京子さんは。
「短歌日記」の今月の写真はプードルではなくて、柴犬なのは、おあいにくさま。



たった今書店さんより本の注文が電話で入った。

「深見けんツー俳句集成がありますかあ?」

ええっ!! 一瞬たじろいだが、

「けんツー」とは「けん二」のこと。

「はい、ございます」と答え、

皆で笑った。

そう読むか。。。

かつて「山のこゑ」を「山のこざかなありますか?」って。
これも笑った。
「ゑ」を「魚」と読み間違えたのである。
いろんな読みをしてくれる書店さんがいて、その間違いをどうキャッチして変換するか、
楽しい日々である。




新刊紹介をしたい。

菅美緒句集『左京』(さきょう)。

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四六判ハードカバー装。170ページ。

著者の菅美緒(すが・みお)さんは、1935(昭和10)年京都生れ、大学まで京都に在住、神奈川県に教職につき、1995年に定年退職をされ現在神奈川県大和市在住である。1976年に俳誌「杉」に入会し、森澄雄に師事、2006年「晨」同人参加。2011年「梓」創刊に同人参加。現在は「晨」「梓」同人。本句集は、第1句集『諸葛』(1988年牧羊社刊)、第2句集『洛北』(2009年ふらんす堂刊)に次ぐ第3句集となり、平成21年(2008)より平成27年(2015)の夏までの作品を収録している。

私は、京都市左京区下鴨という土地に生まれ育ちました。
私の二階の部屋の東側の窓の正面には、いつも比叡山と大文字山がありました。故郷の山河がなつかしく、集名を「左京」と致しましたが、特に左京区の句が多い訳ではありません。
夫が亡くなって十年が経ち、私も八十歳になりましたので、一応、区切りをつけて、又新しい歩みを始めたいと思います。

「あとがき」を引用した。80歳を迎えられたという。

 緋のカンナ齢八十近づきて

集中にある一句である。「緋のカンナ」ある意味で著者の自画像のようでもあり、これからの志のようでもある。緋色のカンナに照らされながらも、たじろぐことなく身をさらし、挑むような作者の全身像が見えてくる。八十の肉体を緋色のカンナに対峙させているのだ。

 松映る三月の水ひややかに
 太き根に絡む若き根あたたかし
 摑まれし青大将の舌稚(わか)し
 少女らにフライドポテト夏盛ん
 秋晴れや子規のあたまのやうな石
 一枚の葉の滑り来る氷かな
 その先に春あり渚歩きをり
 春の田や鴉歩くを鴉見て
 たんぽぽの絮とぶヒト科亡びしあと
 ほととぎす出来たての塩ぬくし甘し
 枯木山新聞たたむ音すなり
 仰向けに考へてゐる炬燵かな
 
平成二十二年に森澄雄先生が長逝されました。先生は、平成七年に重い脳出血に倒れられ、左半身不随となられ、お言葉も不自由になられました。それまでの十年余りの間、私は、「杉」の「土曜会」という女性だけの教室で指導を受けました。火の玉のような熱意のこもった、厳しい渾身の御指導でした。あの日々を忘れることは出来ません。 

「あとがき」を再び紹介した。
 
 男来て波に乗りけり実朝忌
 お袋と言ふとき男あたたかし
 四五人の地下足袋のゆく牡丹かな
 大吊橋滴る山となりにけり
 たかだかと路地に物干す神の留守
 藁屋根に藁の太さの春氷柱

著者の菅美緒さんの作品にはどこか「ますらをぶり」がある。骨太で構図がしっかりしており、自然と向き合う著者自身のふところの大きさを思わせる。人間的なあたたかさもある人なんだと思う。目の前の景を写し取りながらも著者の詩魂を彷彿とさせるそんな作品である。

十年前夫が亡くなりました時、私は心身の不調に陥り、何とか元気を出すべく、故郷の地霊に触れたいと思いました。ちょうどその頃、「晨」では毎月関西吟行をしていらっしゃるということを知り、参加したいと思いました。それよりずっと以前に、私は、大峯あきら先生の御高著『花月の思想』(晃洋書房)を手に入れ、哲学的な深さのある、先生の詩論に触れていました。ハイデッガーの詩論と芭蕉の詩論に相通ずるものがある、というくだりに今も感動します。
このような御縁があって、「晨」に入れて頂きました。それ以来、大峯あきら先生、山本洋子先生には、格別の御指導を頂きました。深く感謝申し上げます。又、多くのすぐれた方々との御縁を得ることが出来ました。亡き夫が、このような世界に導いてくれたものと思います。
「梓」では、若い方々にお会いし啓発されました。 
お付き合い下さった結社内外の多くの方々に感謝しつつ、今後も一歩一歩進んで参りたいと思います。


お電話の声は若々しくとてもパワフルである。
評論をよくし、「上野一孝さんには、いろいろと評論を書くように言われ、書いております」ということ。これまでずいぶんと書きためたものもある。
八十歳を超えてなお、俳句への思いやまず、という気骨ある俳人である。


ブックデザインは君嶋真理子さん。
前回の句集『洛北』は赤を主体としたものであったので、今回はすこし色の趣向を変えてもらった。

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花布は赤と白のツートンカラーのもの。

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風格のある一冊となった。

自然界の物の存在の不思議、
言葉の不思議を改めて思う。
その不思議を探って行きたい。

帯に書かれている著者のことばである。

 昼顔や宇宙のこゑを受信せる  菅 美緒

この一句が面白い。
たしかに昼顔って、何かに向かっていつもその顔を向けている。
そうか、「宇宙の声」だったか。
まさに、得心!





今日の増殖する歳時記は、三宅やよいさんによって、村上鞆彦句集『遅日の岸』より。

 クローバーに置く制服の上着かな   村上鞆彦

今日、明日あたり入学式の学校が多いのではないか。真新しい制服に身を包みなじみのない集団に身を投じての学校生活が始まる。この頃はつらいニュースも多いけど思っても見なかった出会いもあり心弾ませて毎日を過ごしてほしいものだ。さて掲載句は新しく萌え出たクローバーの上に腰を下して制服の上着を脱いで置くという簡単なものだが、そこに春の明るい日差しと暖かさ、おそらくは上着を脱いで友と語らう若い人の快活な様子も想像されて好ましい。クローバーはシロツメグサとも言い春になると萌え出る柔らかい若葉が嬉しい。幸せが約束されると四葉のクローバーを探したり、もう少し季節が進むと白い花を摘んでせっせと花冠や首飾りなど編んだ。校庭や野原で外遊びする子供のいい遊び相手であり、初々しい人たちに似合いの植物だ。『遅日の岸』(2015)所収。
 



仙川商店街も制服の生徒たちで沸きかえる。
若さがあふれかえるふらんす堂前の通りである。
すばらしい活気がみなぎる。
そんな通りを歩きながら、
彼らや彼女らからはわたしは精気を奪い取るの。
ふふふふふ……
学生諸君、油断しちゃいけないよ。








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by fragie777 | 2016-04-07 19:55 | Comments(2)
Commented by Daxiongmao at 2016-04-07 20:32
yamaokaさま

私は「MP3」を先に中国語で覚えてしまったので、
ずっと「エムピーサン」と言ってました。
「エムピースリーでしょ?」と言われた時は、赤面モノでした。

さて、今度の日曜日は、教室お休みです。
先生もうっかりされていたので、念のために。
ここで私用連絡して、すみません!


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Commented by fragie777 at 2016-04-08 09:44
玲玲さま

おはようございます。
お休みなんですね。
良かった。というのは、今度も用事があって行けないので、お休みばかりだなあって思っていたのでした。
お教えくださってとてもありがたい。
謝! 謝!

(yamaoka)
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