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12月1日 旧暦10月20日
新装版の久保田万太郎句集『こでまり抄』の見本が出来上がってきた。 発売は12月14日。 Amazonでは予約受付中です。 まっしろなふらんす堂文庫となった。 ブックデザインは、山口信博さん。 本文の組から外回りすべてをデザインしていただいた。 この細かな線はすべてしゅんしゅんさんがフリーハンドで描いたもの。 この装丁も好きだった。。。 ふらんす堂文庫の多くは俳人で篆刻家の千葉皓史さんの装画によるものだ。 ふらんす堂文庫をはじめるときに千葉さんに相談しながら、ふらんす堂文庫を現実化していったことが懐かしい。 ちなみにふらんす堂文庫の第一冊目は、高柳重信句集『夜想曲』である。 今回はグラシンという薄紙をまいていない。 このグラシンをきれいに巻くという職人さんがいまは数少なくなっている。 すべてが手作業である。 新装版は、栞を本文に刷り込み、解説の活字を大きくして組み直しそこに初句索引と季語索引を付加した。 定価=1500円+税 小さいがゆえにコストがかかる造本なので、この価格はすごく頑張った価格です。 小さいから安いって思われてしまうのだが、実はおなじ頁数であれば46判のものの方が安くあがるのである。 ご存じなかったでしょう。 いかにふらんす堂文庫が贅沢なものであるかっていうことを。 ポケットにもハンドバッグにも邪魔にならない瀟洒な句集を、という思いを実現したものがふらんす堂文庫です。 品切れになったふらんす堂文庫で売れ行きのよいものはこの新装版で再版をしていくつもりです。売れ行きがよいといっても採算的にはなかなか苦しいのですが、頑張って刊行し続けたいと改めて思っています。 この見本が出来上がってから、嬉しくて何度も手にとってしまう。 今まで多くの人に愛されてきたふらんす堂文庫であったように、これからも愛されるふらんす堂文庫であって欲しい、yamokanの切なる願いです。 久保田万太郎句集『こでまり抄』は名句集です。 読んでない方は是非にこれを機会に万太郎俳句にふれてみてください。 すでに前の『こでまり抄』をお持ちの方も新しい『こでまり抄』で万太郎を読んでみてください。 ふらんす堂文庫はふらんす堂の顔であり、本作りをするわたしたちのひそやかな誇りです。 昨日の讀賣新聞の夕刊の仁平勝さんによる「時評」は、「情景 新鮮に捉える技」と題して二冊の句集をとりあげている。大高翔句集『帰帆』(角川書店)と藺草慶子句集『櫻翳』である。 抜粋して紹介したい。 大高翔の第四句集『帰帆』は、誰もが出会うありふれた情景を、言葉の妙によって俳句的に再生する。たとえば恋人たちのボートで花見を楽しむ情景が、 花の昼ボートに恋のひとつづつ と詠まれる。「恋のひとつづつ」という言葉で捉えられると、一句は題材になった情景よりもずっつ豊かな世界を再生する。(略) 藺草慶子の第四句集『櫻翳』も、場面を捉える巧みさが光る。句に奥行があるといえばいいだろうか。 早起きの母の引きたる草匂ふ は、自分たちが起きたらもう草取りが終わっていたわけだ。上五中七がその過ぎた時間を表現し、それを「草匂ふ」でリアルタイムに転換させた。たかだか十七音の中に、豊富な時間が流れている。 浮輪ごと母に抱かれてゐたりけり は、「浮輪ごと」が奥行を生んでいる。その言葉から、そこが海水浴場で、抱かれているのは幼子だと分かる。省略の効いた愛らしいスナップだ。 花びらの散りこむ靴をそろへけり は、さしずめ花見の場面だろうか。ビニールシートの脇に脱がれた靴を詠んで、その奥に宴の様子が想像される仕掛けだ。「花びらの散りこむ」には、写生を逸脱したデフォルメがある。(略) 今日の讀賣新聞の長谷川櫂さんによる「四季」は、矢島渚男句集『冬青集』より。 冬の部屋アクロポリスの破片置く 矢島渚男 ギリシャのアクロポリスで拾ってきた石だろうか。いわばギリシャ文明の廃墟のかけらである。片隅の一個の石から冬があたりに広がってゆく。讀賣俳壇選者でもある現代俳人、矢島渚男の新句集『冬青集』よりから冬の十句をだどる。
by fragie777
| 2015-12-01 19:40
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