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10月19日(月) 旧暦9月7日
銀行の前でご主人を待っていた。「こっち向いて」って言うと一瞬向いてくれた。 今日は仕事場まで歩いて出社した。 途中で茶の花が咲いていたので(おお、茶の花か)って近づいたとたん、大きな蜂が飛び出してきた。刺されちゃかなわんと思って一瞬あとじさりしつつ蜂と向き合うかたちになった。 (蜂は黒いものに向かってくるんだな、今日はええっと、白シャツだ、でも黒の編み目模様のベストを着ているぞ、こりゃ、蜂にとってはどうなる。黒と白の割合はどうか、、、大きなレース模様だから白が透けてみえるぞ、ということは白の割合の方が多いぞ、ヨシッ!!) こんな自問自答を3秒間くらいの間にしていたら、蜂はわたしから離れていったのである。 朝の緊張した一瞬だった。 嬉しいお知らせがひとつ。 ふらんす堂より今年の四月に句集『精霊舟』を刊行された瀬戸口靖代さんが、第18回自費出版文化賞の特別賞を受賞された。ご本人もおもいもかけぬご受賞に驚いておられるご様子だ。 「気軽にまとめてみただけでしたのに思わぬ反響にびっくりするばかりです」とお手紙に書かれていた。 瀬戸口靖代さま、この度はおめでとうございました。 心よりお祝い申上げます。 今日の毎日新聞には、ふらんす堂刊行書籍がいろいろと取り上げられていた。 文芸ジャーナリストの酒井佐忠さんによる「詩歌の森へ」は、シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 『和田悟朗』のこと、「和田悟朗の時空間」というタイトルだ。 和田悟朗の俳句には、不思議な感覚の魅力がある。簡単には説明がつかない深い真理がひそむ。とくに晩年に興した同人誌「風来」以降の世界がそうだ。そんな俳人の句の解読に手助けとなる一冊が、「シリーズ自句自解Ⅱ」の「ベスト100・和田悟朗」(ふらんす堂)である。句集『人間律』『風車』『疾走』の後期句集の自解である。 〈水中に水見えており水見えず〉。「純粋の水は、可視光線を吸収も反射もしないから、そのままでは見えず、その容器だけしか見えない。きれいな水を見るということは何も見えないということだ」。ちなみにこの句は無季俳句。 〈瞬間はあらゆる途中蓮ひらく〉「あらゆることは、この瞬く間のつながりで、宇宙に進行してゆく。蓮の花も、宇宙の出来事として瞬く間を通して開いてゆく」。関心は、空間と時間から宇宙へと広がっていく。だが、その時空間と宇宙との関連に、実に覚醒された意識があった。没する直前、今年2月に口述筆記された「私の作句法」から引く。「人間はたまたま赤ん坊から老人まで、誰にでも通用する時間空間という概念を発見した。(略)しかし宇宙はそんなことを考えていない」「人間であるから時間空間という言葉を使わなければならないけれど、はやくその人間的概念から脱出したいと思っている」。物理学者の俳人らしい宇宙への旅立ちである。 同じく毎日新聞の櫂未知子さんによる「俳句月評」は、飯田冬眞句集『時効』と俳句日記2014 小川軽舟句集『掌をかざす』だ。タイトルは「変わりゆく家族へ」。 そう遠くない将来、「『家族』がなくなる」といわれている。「(家の誰かが)亡くなる」のではなく、家族という形そのものが失われるという意味らしい。 飯田冬眞第一句集『時効』(ふらんす堂)が刊行された。 海鳴りや父の帰らぬ雛の家 飯田冬眞 あとがきによると、著者の父親は、戦前、戦中、戦後と異なる名字を名乗ってきたという。〈時効なき父の昭和よ凍てし鶴〉という、書名となった一句を見るに、いろいろと複雑な経緯をたどった家族と思われる。 帰らずの家に咲くらし姫女苑 帰路といふあやふやなもの彼岸花 昭和四十一年生まれの著者が父母を引き取り、介護をしながら仕事を続ける、それは見様によっては悲惨である。しかし今は、そこから再び生まれる珠玉のような作品を期待したい。 毎日俳壇の選者・小川軽舟の『掌をかざす』(ふらんす堂)が刊行された。二〇一四年の三六五日間、同社のHPに載せた俳句日記を一冊にまとめたもので、文字通り日記帳のようなコンパクトな体裁が瀟洒である。 この句集は、関西に単身赴任しながら、週末は横浜の家族のもとに飛ぶようにして帰る、そんな日常が日記部分から感じられる、非常に面白い一冊。たとえば十二月十三日~十四日では、温泉に行こうかと問う夫に対し、家族旅行はどうかと妻が答える。子どもらは今更家族で旅をしたいかこうか、親は少し迷う。ちょっとやり取りがあって、沖縄行きが決まる。その会話の描写がさり気なくてすばらしい。そして句がまたいい。 焚火目に沁む家族とは親子とは (十二月十三日) 家族とは焚火にかざす掌のごとく (十二月十四日) 家族の姿は時代によって変化してきた。大家族から核家族へ。そして、家族など想定しない時代へ。そんな中、人が人をいつくしみ、暮らしてゆく意義を教えて貰った二冊だった。 おなじく毎日新聞の新刊紹介には、俳句日記2014 いすみ二條句集『空へ』がとりあげられている。 冷やかに三面鏡の顔たたむ いすみ二條 1966年生まれの著者の第一句集。20年を超える期間の作品だが、日常の生活圏を出ることなく、身辺に詩を発見しようとする姿勢が一貫している。 今日の東京新聞の「句の本」では、俳句日記2014 小川軽舟句集『掌をかざす』が紹介されている。 著者は創刊五十周年を迎えた結社「鷹」主宰。二〇一四年の一年間、短い日記に毎日一句を添えた。十月二十五日は野球の話題。〈冬物は優勝記念セール待つ〉。暮らしの中からどのように句が生まれるかが垣間見える。 ドサッと出社するやいなや仕事場の机にゲラが置かれた。 「今日中ですよ」とスタッフが言う。 「ええっ!!」とわたし。 「ふらんす堂通信146号」のゲラである。 おかげで今日は何も手がつかずひたすらゲラ読みに徹底した。 でも、読み切れない。。。。 明日まで待ってくれるという特別恩赦がくだった。 アリガテエー
by fragie777
| 2015-10-19 18:59
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