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1月30日(金) 若潮 鷄始乳(とりはじめてとやにつく) 旧暦12月11日
![]() 雪になった。 昼頃から雨に変わり、いまはもう止んでいる。 牡丹雪だったため積もらずにすんだのは幸いだったが、夜道の凍結がこわい。 今日は長靴をはいてあるいて出社したのだが。 くれぐれも滑って転ばないようにしなっくっちゃ。 夜道はとても苦手、(鳥目になってよく見えないのよ)しかも滑らないようにするのって、大変。 仙川あたりをノロノロとブザマな様子で歩いているおばさんがいたらそれはyamaokaである。 くれぐれも無視して欲しい。 新刊句集を紹介したい。 亀田蒼石・亀田紀代子句集『ふたり』(ふたり)。 ![]() 「ふたり」という句集名からもわかるように亀田蒼石・紀代子ご夫妻の合同句集である。句集前半の半分に亀田蒼石句集『田園』、後半半分に亀田紀代子句集『ひだまり』が収録されている。亀田ご夫妻はおふたりとも現在「鷹」(小川軽舟主宰)同人、蒼石さんは昭和12年石川県生まれ、紀代子さんは昭和15年の同じく石川県生まれ、蒼石さんが三年早く「鷹」に入会しご主人に熱心に勧誘された紀代子さんもつづいて入会、藤田湘子の指導の下でご夫婦そろって俳句に励まれるという出発となった。この度の句集『ふたり』に小川軽舟主宰が丁寧な序文をよせている。 ふえる書に妻の不機嫌冷奴 蒼石 アイゼンを研ぎをり豆を煮る匂ひ 〃 水鳥の真中へずずと遠めがね 〃 大海鼠いまはの水をどつと吐く 〃 透明な自問の時間雪降れり 〃 水を得て田螺は腰を浮かせたる 〃 〈水鳥の真中へずずと遠めがね〉 〈この「真中へずずと」というような意表をついた言葉は、既成句の呪文を切って捨ててからでないと浮かんで来ない〉、藤田湘子はそう述べてこの句を褒めた。野鳥観察の句としてユニークだ。水鳥の群を押し分けるようにして望遠鏡の視界が割り込む感覚がリアルに伝わってくる。 野ねずみの穴に日のあり萱枯るる 紀代子 路地の子にテレビの時間蚊喰鳥 〃 虫の死は祈るかたちや冬の草 〃 待つは楽し小鳥来る日の縁拭きて 〃 ひと口の盗み酒なり風邪心地 〃 〈待つは楽し小鳥来る日の縁拭きて〉 季節はめぐってまたやって来る。海の向こうへ渡って行った小鳥たちも、季節になればまた帰ってくる。私たち一人一人の人生は生まれてから死ぬまで後戻りすることもないが、循環する季節の中に暮らすことで毎年新しい自分に出会える気がする。そう思って今日を生きている。(略)蒼石・紀代子夫妻がこれから俳句を通してどんな風景をふたりで見いだしていくのか、楽しみに見守りたい。 石川県出身のご夫妻はいまなお石川県在住である。おふたりの句集名が「田園」「ひだまり」ということから推察されるように、石川県白山市にあるのどかな田園地帯で自然を身近にともに生きて来られたお二人だ。 蒼石句集『田園』より ほほひげは男の仮面葱坊主 村の橋おほかた無名千草の実 清潔を旨とする妻花粉症 蠅も吾も生きる側なり深酒す 男にはるんるんはなし諸葛菜 ゴーギャンの女大足仏桑花 身のうちの鬼におでんを食はせけり 昼火事や蜆はくらき水の中 行間をひとまたぎせり夜の蜘蛛 湯豆腐や晩年もまた忙しく 夕野分つむじきれいな子を寝かす すいつちよん子牛はすぐに名を貰ふ 熱燗や男はいつも背伸びして 紀代子句集『ひだまり』より わがおもひ曲げたくはなし葱坊主 すぐに出ぬ言葉浅蜊は砂を吐く 連れ添ひし夫は堅物ひきがへる みづうみは光の畳鳥渡る 水仙や遺品にかかる躾糸 夫大事われなほ大事雪催 わたしより夫は早起き金魚玉 手の甲に試す口紅春の雪 採寸の朝のひかりやスイトピー 南瓜に刃につちもさつちもゆかぬなり お二人の関係性がわかる句をすこし入れて紹介した。面白いとおもったのは、ご主人の蒼石さんは、男性性幻想があってそのことを実直に句にされている。男であるということで「背伸びして」頑張って来られたのだなあって。一方紀代子夫人はなかなかクールである。頑張っている夫をちょっと冷ややかに見ている、なかなか堂々としているところがカッコいい。 妻は私より三年遅れて入会しました。当時湘子先生が会員を増やすことを提案されて、私も知人の勧誘に努めましたけれど効果ありません。そこで仕方なく妻を口説き落したのです。後日、それを知った湘子先生が、懇親会などで顔を合わせる度に愉快そうに話されるのを、いまでも懐かしく思い出しています。 「ふたり」の題名はすぐに決まりました。二人の合同句集ですから当然といえば当然ですけれど、三人の子がみな故郷を出てしまっての「二人の生活」の意味も含めたつもりです。三人の子もそれぞれ他郷で頑張って生きているのを嬉しく思っている次第です。 おふたりの連名による「あとがき」の言葉である。 この句集『ふたり』は亀田ご夫妻にとってかけがえのなり一冊となることだろう。 この句集の装丁は、和兎さん。 厚い一冊になるのでできるだけ重くれた感じにならずスマートさを心がけたということ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() この句集の担当は千絵さん。 ふえる書に妻の不機嫌冷奴 蒼石 手つかずの蔵書机上の暑さかな 紀代子 「お二人で俳句をされていることからもわかるんですが、お二人とも本がお好きでいらっしゃるんだな、と思い、本にまつわる句をあげてみました。 どちらも身に覚えのある光景だったので、とても楽しく読ませていただきました。」 新婚さんの千絵さんも心覚えのある句なんだろう。 次の世はヒマラヤ越える鶴になる 蒼石 男のロマンを胸にいだいている蒼石さんの最後の方に置かれた句である。 きっとこの鶴には寄り添うようにもう一羽の鶴がいることでしょう。 もちろん紀代子夫人である。 句集『ふたり』は、亀田ご夫妻の合同句集というかたちで刊行された。二冊の句集を一冊として刊行したわけであるが、このように編集することによってよりいっそうの相聞の色合いが濃くなったように思える。 お互いに作品どうしが響き合い呼びかけあっているのだ。 こういう句集のあり方もまた素敵なことであると、わたしは改めて思ったのだった。
by fragie777
| 2015-01-30 20:11
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