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1月28日(火) 旧暦12月8日
![]() 馥郁とした香りが漂ってくるようでしょう? 『山田弘子全句集』がよく売れている。全句集というのは、なかなか売れないものであるが、売れ行きが予想以上である。昨日の朝日新聞のみならず毎日新聞紙上や共同通信発信の各新聞で紹介されたということもあるのかもしれないが、定価が一万円以下というのも買いやすいのだろう。しかしそういうこと以上に、山田弘子という俳人の作品が人を引きつける魅力をもっているのだと思う。素直な伸びやかな表現は、はじめて作品を読む人の心にすっきりと抵抗なく入っていく。わたし自身この全句集の編集にあたって全作品を読み通したわけだけれど、読んでいくことが楽しかった。人を飽きさせないものがあった。 新聞に紹介されてからの問い合わせも多いということは、新聞紙上ではじめてその作品に触れたという読者も多いのだと思う。数句に触れて買ってみようと思うのはやはりその作品の力である。 いま手元にある『山田弘子全句集』を開いて思わず眼にとまった作品はつぎの一句。 とれたてのアスパラガスのやうな彼 笑ってしまった。著者の最後の句集『月の雛』収録のものだ。こういう瑞々しさを山田弘子は最後まで失うことがなかった。 作品は作家の体質を表すとよく言われるが、生前の山田弘子さんの鷹揚とした構えのない明るさは人を拒まず人を呼び入れる余裕があった。その余裕ともいうべきものが作品におおらかな格を与えている。そして向き合ったときの眼差しはまっすぐで揺らぎがなかった。結社という枠をを越えて愛されていく俳人であることを願っている。 マスクしてものを一直線に見る くちびるのだんだん愉快草の笛 セーターの闇くぐる間に一決す 昨年11月刊行された『緑陰通信』の著者田沢健次郎さんが山形新聞を送ってくださった。丁寧な手紙が添えられていて、ご友人の黑羽根洋司氏によって紙上で『緑陰通信』が書評されていることをおしえてくださった。一部を抜粋して紹介したい。タイトルは「記者が語る記憶と『いま』」。 幼い頃に患った胸部疾患のために肩を左におとす若き新聞記者・田沢健次郎は、やがて大人の年輪を重ねて、「緑陰通信」という自分史を書き上げた。木漏れ日降る庭を思わせる通信は、人生の一刻を写しながら、読む者に安らぎを与える題名どおりの好編である。さまざまな人を取材するのが仕事とはいえ、彩りを与えるのは、”人が人を呼ぶ”素晴らしい出会いである。日本では6人目のノーベル賞受賞者となった福井謙一、世界的な免疫学者の多田富雄、著名な仏文学者である桑原武夫など、超一流の人物たちの個性が記者らしい切れのよい文章で活写される。(略)幼少期の故郷の思い出も、時代を描き懐かしい。(略)このように、時の層に埋まった記憶のかけらを掘り起こしては、「いま」を語る技術は作者が長年かけて身につけたものであろう。そして、事象を的確に見る力と些細なことを契機に本質を掴む眼は、まぎれもなく科学畑を歩んできた理系の資質に由来する。さらにそれぞれの随筆に得も言われない風味を与えているのが、文末に添えられた俳句である。作者が所属する俳誌「秋麗」に連載されたことにもよるが、内容にいぴったりの句は心地よい読後感を与えてくれる。40年近い新聞記者生活が醸成した佳編の数々に、しばし酔ってみてはいかがだろうか。 『緑陰通信』の魅力を的確に語り尽くしている書評である。 おなじ山形新聞に演出家の蜷川幸雄の「蜷川劇談」という欄があり目にとまった。タイトルは「欧州文化に立ち向かう」 アングラも含めて、いろんなものを批判してきました。その結果、何が残ったのか。考えると、演劇の一番面白いものがちっとも残っていない気がします。これまでの批判の仕方や、自分がやっていることをもう一回、きちっと整理し直さなくてはいけないとの思いがあります。シェークスピアの「ハムレット」を演出するのは今度で8回目ですが、一回も成功していません。ハムレットを演出するということは、シェークスピアに立ち向かうというだけではなく、欧州文化の象徴的なもの、欧州の知性に立ち向かうことを意味します。それが十全にできているかと言ったら、取りこぼしが多い。命があるうちに、それをもう少し修正しておきたいと考えております。(略)ずっと日々が続くと思っていたら、突然「あなたは死ぬかもしれませんよ」と言われた。いつ死ぬか分からない。一秒後に逝ってしまうかもしれない。声高に言いたくはありませんが、それぐらいの覚悟でやっています。(略)1960年代から、客席の一番後ろで、観客に何が届き、何が届かないかを見ながら演出してきました。今までやってきたことをすべてひっくるめて、蜷川幸雄の演劇人生そのものが、「これでいいのか」と問いかけてくるのです。 酸素の管を鼻に通して取材をうける蜷川幸雄さんだ。演劇にかける荒々しいまでの思いが込められた言葉が連ねられている。新たなハムレット演出にかける意気込みを語っている。鬼気迫るものがあり呪縛されたように一気に読んでしまった。
by fragie777
| 2015-01-27 19:12
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