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1月20日(火) 大寒 二十日正月 旧暦12月1日
![]() ![]() (しまった! 赤ワインを注文すれば良かった)と思った一瞬。 匂いだけ嗅がしてもらった。 目下風邪薬を服用しているのでここ数日ワインを口にしていない。 ゆえにわたしの細胞群はいまひとつ瑞々しさを欠いている。 新刊紹介をしたい。 鮫島茂利句集『花万朶』(はなまんだ)。 ![]() 著者の鮫島茂利(さめじましげとし)さんは、昭和8年熊本県人吉市生まれ。平成7年の阪神淡路大震災の被災を機に俳句を始められる。俳誌「古志」同人を経て現在「円座」(武藤紀子主宰)同人。平成25年に体験記『阪神淡路大震災・わが心の記録』を上梓。この度の句集は第一句集となる。序文を武藤紀子主宰が寄せている。句集は平成8年から26年までの作品を収録し、ほかに「俳句との出会い」「発心」「『球磨三山』と『人吉』」の三つの小文を収める。この小文は俳句への思いとふるさとへの思いを語ったものだ。句集名は「花万朶」櫻が咲き満ちている様子であるが、「万朶」は正しくは「ばんだ」と読むが著者のご意向であえて「はなまんだ」と。 花万朶遺品に残る弾丸の痕 花万朶眼下の街の先は海 小藩といへど人吉花万朶 「花万朶」の言葉が使われている句が集中三句あるが、最初の句に鮫島さんはとくに思い入れがつよい。それは。陸軍士官学校を卒業後、二十四歳の若さで中国大陸で戦死した義兄の遺品を見て作った句です。満開の桜の花を楽しむこともなく戦場に散った多くの先人たちを悼むものです。と、「あとがき」に書かれていることからもわかる。12歳が終戦の年だったという著者である。 序文を寄せた武藤紀子主宰は、この句集をつらぬくものとして三つのテーマをあげている。「ふるさと」「戦争」「自画像」の三つ。それぞれ句をとりあげて丁寧に解説をされているがここではそれぞれ一句ずつ紹介した。 水明の球磨の山河に帰省せり (ふるさと) 少年も征きし空なり夏燕 (戦争) 学ばんと闘志ふたたび山桜 (自画像) 句集をよむとおのずと律儀で折り目正しい人物像が浮かび上がってくるのだが、 私にとっては鮫島さんという人は、彼のこの句があらわしていると思われてならない。と、武藤主宰がなによりも鮫島さんらしいと書かれているのが次の一句。 あるときは烈しく煽ぐ団扇かな これはおもしろい。鮫島茂利という人物が俄然味わい深さをました人間になって立ち上がった。そんな句だ。 この一句、集中のへそのようにわたしには思えた。武藤主宰が書いているように端正な句群のなかに置かれることによって人間の顔がぬっと表われたそんな感じを起こさせる一句なのだ。わたしも好きな一句である。 ほかに、 春一番世の憂きことは残し去り 今更に急ぐことなし籠枕 ふらここや涙の光る子の笑顔 子羊もマリアも歌ひ降誕祭 薄れゆくものの記憶や柏餅 紅梅の引き寄せて来る深空かな 焚火して闇を動かす農夫かな 特攻といふ昔あり夏の月 熱燗や声大なるは昔より 栄冠も無冠も勇者雲の峰 暑気払ひ正論暴論泡を立て これといふ遺すものなき涼しさよ 憂きことは燃やしてしまへ寒夕焼 へうへうと蒲公英絮の遊行かな 遺影にもカーネーションを供へけり 手を挙げるだけの御慶や車椅子 くれなゐの仏間となりぬ雛祭 十字架の空昇りゆく夏の蝶 こうして平和な時代、俳句を学び、日々を楽しんでいる自分の幸せを嚙みしめながら、生かされている時間を大切に、俳句に向き合う姿勢を正していきたいと思います。 こう「あとがき」に書く鮫島茂利さんである。 装丁は和兎さん。 「桜の図案を使って欲しい」ということと「帯は紺色がいい」というご希望があり「あとはすべてお任せ」ということだった。 ![]() ![]() 和兎さんが注意した点は、女っぽくならないようにということだった。艶麗になりすぎると桜の花が秘めている気迫が削がれてしまう。それと男性の句集であるということ。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 帯の紺が深い色をしている。 桜が散っていく海のようである。 著者の鮫島さんは出来上りに満足くださって句集担当のPさんに何度も喜びのお電話をくださったのである。 この句集のなかで最も好きな一句はやばりさきほどの一句である。 あるときは烈しく煽ぐ団扇かな 今日も最後のひとりとなりそうである。 スタッフのPさんも帰り支度をはじめた。 わたしも帰るわ。 じゃ。
by fragie777
| 2015-01-20 19:42
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Comments(2)
毎日楽しく拝読させていただいてます。
次号、ふらんす堂通信も心待ちにしております。 で、今日のブログに貴社ホームページを勝手にリンクさせていただきました。 事後承諾で申し訳ないのですが、よろしくお願いいたします。 『子規と現代』(著―岩岡中正、編―ふらんす堂)大変面白く、 少しでも多くの方に読んでいただきたいという想いからなので、 ご勘弁ください。
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