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1月15日(木) 小正月 旧暦11月25日
![]() 寒のただ中であるが、自然はもう確実に春へと動き出しているのを感じる。 今朝、わたしは大きなマスクをして仕事場に向かわず近くにあるクリニックに行った。 そして女医さんに、 「インフルエンザではないでしょうか?」 とおそるおそる尋ねたのだった。 ひととおり診察をした女医さんは、 「インフルエンザではありません。軽い風邪の初期症状です」 とにっこり。 ああ、良かった!! あまりにもほっとしたためか、薬局で薬をもらうために待っていたのだが、持参した本に夢中になっていて呼ばれたことにも気づかなかった。 自分の名前が呼ばれているらしいと気づいた時にはどうやら薬剤師さんはあきらめかけていた時だった。 あわてて飛び上がったわたしに薬剤師さんは笑っている。 そんなに笑わないでくださいな。 実はわたしは20世紀初頭のイギリスの貴族社会の子爵夫人に仕えたメイド・ロジーナになりきっていたのだった。 その家の晩餐会に呼ばれたウインストン・チャーチル氏がテーブルの狭さに気を悪くして供されたディナーに手をつけなかったとか、マハトマ・ガンジー氏が晩餐会に来るときは、食べられないものが多いから料理に気をつけないといけないとか書かれてあって、おおこりゃたいへんだわとおおいに気持をそぞろにさせていたときに、yamaokaさ~ん!と左後頭部あたりから小さな声が聞こえてきたのだった。 はっとして現実社会に引きも戻されたわたしは、咳をとめる薬と喉のいたみをやわらげる薬を5日分をもらって仕事場へと向かったのだった。 すでにウインストン・チャーチルもマハトマ・ガンジーもイギリス貴族社会の絢爛たる社交界はすべて雲散霧消してしまった。 『おだまり、ローズ』(白水社)と題された、この子爵夫人付きメイドの分厚い回想録はメイドの目からみた貴族社会の詳細が書かれていてすこぶる面白い。子爵夫人レディー・アスターと書き手のロジーナ・ハリソンとの35年間にわたる交流が人間と人間とのぶつかり合いとして描かれていて読み出すと止まらなくなってしまう。主従といえども一歩も譲らずという気概がこの書き手にある。 貴族社会に興味ある人にはおすすめの一書だ。 今日はお客さまがひとりお見えになった。 いま句集をおすすめしている鴨下千尋さん。 俳誌「知音」に所属しておられこの度第一句集を刊行されることになった。 すでにゲラは読んでいただいており、今日は句集につかう題簽をご持参くださった。 ご友人の方の書を題簽にお使いになりたいということである。 行方克巳、西村和子の両師のもとでいよいよ俳句に熱心になる日々であるという。 ![]() マダムのなかのマダムといった美しさを漂わせておられるお方である。 句集を待ち望んで昨年の11月に亡くなられたお母さまと、 「俳句をするなら熱心にやりなさい」と勧めてもらったという亡きお義母さまに 句集を捧げたいとおっしゃられたのだった。 今日の「増殖する歳時記」は、大石雄鬼句集『だぶだぶの服』より。 祖父逝きて触れしことなき顔触れる 大寒のころになると「大寒の埃の如く人死ぬる」という高浜虚子の句を思い出す。一年のうちでもっとも寒い時期、虚子の句は非情なようで、自然の摂理に合わせた人の死のあっけなさを俳句の形に掬い取っていて忘れがたい。私の父もこの時期に亡くなった。生前は父とは距離があり、顔どころか手に触れたことすらなかった。しかし亡くなった父の冷たい額に触れ、若かりし頃広くつややかだった額が痩せて衰えてしまったことにあらためて気づかされた。多くの人が掲句のような形で肉親と最後のお別れをするのではないか。掲載句は無季であるが虚子の句とともにこの時期になると胸によみがえってくる。『だぶだぶの服』(2012)所収。 ああ、こういう体験はわたしにもある。 しかし、 …………… 外はまだ雨が降っているのだろうか。 「通信」校了までもう少し。 風邪をこじらせないで頑張らなくては。
by fragie777
| 2015-01-15 19:22
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