ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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コモンセンスに貫かれて。

12月23日(火)

休日の日だまりの猫。

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温そうでしょ。日向子(♀)。
わたしが顔をゴシゴシ押しつけても全然平気。

で、

こっちは、おまけ。


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あはっ。
ヤマト(♀)とわたし。
わたしの恰好スゴイもんでしょ。
このど派手な股引みたいなスパッツ、マジあったかいのである。

えらいもん公開しちゃった……。


ところで、昨夜はしっかと柚子湯をやった。

それはもう大きな柚子があったので包丁で四等分して、さてどうしたもんかと考えて、ネット状のゴミ袋の新しいヤツにそれをいれて口をかたくしばった。

結果、香り豊かな柚子湯を体験することができたのではあるが、湯の表面をよくみると小さなゴミのようなものがあまた浮かんでいる。
どうやら、柚子から出てきたらものらしい。
(ああ、ネットの袋を重ねればよかったな……)と反省し学習したのである。
あらゆることがおおざっぱであるので、これが正し柚子湯であると勘違いをなさらぬように。
きっと正しい柚子湯のありようというものがあるかもしれない。
まずは柚子湯をやったことを自分で褒めてやりたいのである。

そして今朝は驚くべきことにゴミ出しをしたついでにわたしは落葉なぞを掃いていたのである。
これも柚子湯の効用かもしれない。
しかもさらに素晴らしいことにご近所の奥さんがそういう私をみつけて挨拶をしてくれた。
この奥さん、わたしの家のまわりの落葉を掃いてくれているお一人なのよ。
わたしはこれはよい機会と思い、それはもう一所懸命に落葉掃きをやった。(少々アピール気味に)
どこかにお出かけになるそのお方に「お出かけですか?いってらっしゃい」なんて言っちゃってるわたしがいてさ。

これもきっと柚子湯の力であることよ。



新刊紹介をしたい。

朝吹英和著『蝉時雨』(せみしぐれ)。

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四六判ソフトカバー装。260頁。


俳人朝吹英和(あさぶき・ひでかず)さんのエッセイ集である。朝吹英和さんの著書は、句集 青きサーベル、集『光の槍』、句集『夏の鏃』)の三句集と、俳句と音楽を中心とした評論集『時空のクオリア』の四冊がある。すべてふらんす堂刊。この度の『蝉時雨』は、初めてのエッセイ集となる。著者の朝吹さんは、1946年東京生まれ、俳句は磯貝碧蹄館に師事、俳誌「握手」が2012年に終刊になるまで編集長をつとめた。今年刊行された磯貝碧蹄館の遺句集は、朝吹さんによって上梓されたものである。このエッセイ集は、俳人のエッセイ集というより、きわめて広い大人の遊びワールドをもった人間の自在な世界が展開していくものである。その遊びの守備範囲の広さはおどろくべきもので、しかも長い時間をかけて熟成されてきたものであるから広いだけでなく深いのである。朝吹さんはもとより生まれも育ちもよろしい品格のある方なので語られる世界はつねに節度という美質に貫かれており、だから自身のことを語ってもけっして人を不快にさせない。教養に裏づけられたコモンセンスに貫かれた一冊と言ってよい。
遊びワールドを具体的に言うなら、目次を紹介していくのがいい。()内はわたしの勝手な解釈。
「遠き日」(少年時代の思い出など)「交友録」(学生時代や仕事を通しての)「酒肆考」(居酒屋情報、これがすごい)「夏の精」(夏のエッセイ)「音楽」(クラッシックを中心に)「狂言」「俳句」「読者言いたい放題」(文明批評とも)「風遊人」(現代社会への警鐘)という構成である。
興味あるところから読み進めるようになっているというのも著者のさりげない配慮である。たとえば「酒肆考」。
お勧めの居酒屋をその体験のもとに紹介しておられるのだが、その熱の入れ方と実地体験にもとづく情報など、ジェントルマン然とした著者と居酒屋というのがなんとなくミスマッチで意外性があるところも興味ふかいのだ。
先ほど生まれも育ちもよろしいと書いたが、朝吹さんの曾祖父は朝吹英二明治を代表する実業家である。サガンの翻訳者で知られる朝吹登志子、詩人の朝吹亮二、作家の朝吹真理子などはすべて縁筋にあたる方である。お父さまをはじめ親戚筋には実業界で活躍する人も多い、そんな経済的に恵まれた豊かないい時間が朝吹少年には用意されていた。「遠い日」には、そのような環境のなかでのびのびと育った朝吹少年がいる。一篇を紹介したい。タイトルは「60年後の謝罪」。

幼い頃の「悪戯」についての思い出の抽斗を開けてみる。最も古い思い出は、「弁当事件」である。家に仕事で来ていた職人さん(大工さんだったか)が昼時になって弁当の蓋を開けたところ、半分しか残っていなかった。
早弁の犯人は何と3歳位の私であった。前日に弁当を使っていた様子を見て興味を覚えたのかも知れないが、何の躊躇もなく弁当の蓋を取っていた。弁当箱はアルマイト製で、おかずの鮭の塩焼きがとても美味しかったことを鮮明に記憶している。吃驚した職人さんからの申告で、犯人は即刻現行犯逮捕され、狼狽した母は電話で出前のかつ丼か何かを注文して、職人さんに平謝りであった。
同い年のいとこで活発な女の子Mとは家が隣同士で、幼稚園も一緒だったので、良く一緒に遊んだ。探検と称して隣家との境界の急斜面を登ってお隣の大きな屋敷の庭に忍び込んだり、通行人の頭を目がけて松葉爆弾(尖った先を下にして)を投下したりの悪戯でスリルを味わった。2人でお伽話の主人公に変装して写っている写真を見ると、60年以上も前の懐かしい思い出が蘇る。
祖父母と同居していた頃、祖父の家の一部を間借りしていた米国の軍人一家にバービーという男の子(弟と同じ位の年)がいて、よく一緒に遊んだ。父は1953年にテレビ放送が開始された直後にテレビを購入したので、近所に住むいとこ達が良く見に来ていた。バービーもその仲間で、ミッキーマウスなどの漫画番組を楽しみにしていた。そこに登場するのが悪戯好きのH。ソファに座って漫画を見ているバービーの前に被さったりして度々の妨害行為。我慢し切れなくなったバービーは「わーっ」と大声で泣きながら家に走り帰ってしまった。泣き声に気付いた母はバービーチャンのお母さんの所にお詫びに飛んで行ったようである。母から厳しく叱責を受けたHは前科三犯には至らずに改心した。
職人さん、通行人の皆様、そしてバービーチャン、その時は本当にごめんなさい。


あの素敵な紳士の朝吹さんが、人のお弁当を食べてしまうというそんな過去があったなんて。
このエッセイ集の内容はあまりにも多彩でその豊富さを紹介しきれないのが残念である。
多方面における朝吹さんの豊かな交友が語られているのであるが、わたしが思わず、朝吹さんお見事と思ったのはそのさまざまな趣味を手がかりに句会をされていることである。まさに俳人魂とも呼ぶべきか。
たとえばここには、「クラシック句会」「オペラ句会」「狂言句会」「美術展句会」「酒場句会」「ハナマル句会」(なんだ?)などなどいろいろあり、その句会にはわたしも存じ上げている俳人の方々のお名前がある。、たとえば、【フランス音楽を聴く】という句会では、八田木枯さんも参加されていて、「春や熟す指揮者のうごきとまるとき」という句を出されている。
先にも書いたように興味のあるところから読んでいける楽しい一書である。

「蟬時雨」というタイトルは、かの藤沢周平の小説「蟬しぐれ」をすぐに思い起こさせるが、はたしてその関連を問えばそういうことではなく、それは「あとがき」に記された一文によってわたしたちはその命名の由来を知ることになる。「あとがき」の一部を紹介したい。

遠き日の夏休みに浴びた蟬時雨のシャワー。一途な蟬の鳴き声によって幼かった私の心に強く印象付けられた生命の尊さと一回限りの生への思い。
巡り合った自然の美しさ、芸術から受けた感動の数々、そして何よりも血縁に始まり様々な場面で出逢った人々との「ご縁」によって私は多くの精神的に豊かな時間を持つことが出来た。(略
同時代に生を授かり、それぞれに歩んで来た人生の中で、出逢いによって結ばれた皆様との「ご縁」に心から感謝しつつ、本書を謹呈仕る次第である。



この本の装丁は朝吹さんの希望によって君嶋真理子さん。
朝吹さんのこれまでの本はすべて君嶋さんの装丁によるものである。

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タイトルはつや有りの銀。

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表紙。

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見返し。カバー、表紙、見返しはどれも同じ材質の用紙を使った。

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扉。

『蟬時雨』には、10葉の美しいカラー写真による口絵が挿入されている。この写真はすべて朝吹さんの美意識に貫かれている。

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友人の画家久住三郎による「Waterlily」と題する絵。
エッセイにも登場し、高校時代の同級生で親交を結ぶが、2000年に53歳で亡くなった。

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「酒肆考」のところで語られるている「バーI……」の店主が、朝吹さんのためにつくったオリジナル・カクテル「青きサーベル」。
句集『青きサーベル』刊行記念である。
わたしは、朝吹さんがご本を上梓されるたびにこの「バーI……」に連れて行っていただきおいしいカクテルをご馳走になっている。もちろんこの「青きサーベル」もいただいた。美味かった!!

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「装丁がとても評判がよくて、ぼくの友人たちの間では、君嶋さんは有名人です。」と出来上りをとても喜んでくださった朝吹英和さんだった。

この本の担当は、千絵さん。

「好きな話は『昔の遊び』です。
わたしも懐かしい遊びの名前がたくさん出てきて、最近ではこういう遊びをあまり見かけないなと思って懐かしい気分になりました。
わたしの友人でも、負けず嫌いでゲームは勝つまでやる!という人がいて、親近感を覚えました。」

このエッセイ、わたしも面白く読んだ。
意外な発見は、朝吹さんが「ゲームは勝つまでやる」というものすごい勝気な方であったこと。
もの静かでおっとりとしておられジェントルマンの朝吹さんが、そんな勝気とは。

いたずらっ子だったり勝気だったり、日本酒大好きの居酒屋好きだったり、意外な朝吹さんにお会いすることができました。
ワインを飲みながらお父さまの建てた軽井沢の別荘でクラシック音楽を聴いておられるものとばかりわたしは思っておりました。


わたしたちは確実に死に向かっている。

どう老いていくか、

大きな命題だ。



楽しく豊かに老いるとはどういうことか、


この一書はさりげなく語っている。


(朝吹さんはあえて意図していないかもしれないと思いますけど……)




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by fragie777 | 2014-12-23 19:12 | Comments(0)


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