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11月26日(水)
この日たくさんの冬苺をみた。 昨日の夜の仕事帰りのこと。 すでに時計は9時半をまわっていた。 前方を男子高校生のかたまりがダラダラと歩いていく。 こういう男子高校生のダラダラ歩きはきらいじゃない。 わたしも歩をゆるめて彼らに歩調をあわせダラダラと歩く。 できるだけ彼らのそばにいき、彼らの精気を吸い取ってしまおうっていう寸法なの。 その中のひとりがもうひとりにむかって聞いた。 「ねえ、〇〇、カノジョいるの?」 すると、 「いるよ」 とはずんだ答え。 「ええっ、マジで」 「うん、」 「こころの中に」 「2,3人」 と、すこし間をあけながら答えて彼はふっと笑った。 これを聞いてわたしは、 おお、おお、やるじゃん。 なかなかイカシタ答えだ。 君のことが気に入ったよ。 「わたしのカレシにしてあげてもよくってよ」 と彼に向かって言い放ったのだった。 こころの中でね。 さてと新刊紹介をしたい。 安部川翔句集『今と決め』(いまときめ)。 著者の安部川翔(あべかわ・しょう)さんは、昭和23年生まれ、平成4年に俳句をはじめ、平成8年俳誌「知音」(行方克巳・西村和子代表)へ投句、平成21年に「知音」同人となる。この度の句集『今と決め』は、平成4年から25年までの20年余の作品を収録してある。帯文は西村和子、序文は行方克巳とそれぞれの代表が寄せている。句集名となった「今と決め」の句について西村和子代表の帯文を紹介したい。 熱燗や女盛りを今と決め この一句に翔さんの心意気と潔い決断力がこめられている。句集出版は、その「今」の記念だ。今を大切に見のがさず、聞きのがさず把えた人生のひと駒は、私たちの五感を大いに刺激してくれる。 西村代表が安部川さんの「心意気と潔い決断力」に注目した一方、行方克巳代表は安部川さんのまた違う側面をすくい上げてみせる。 手弱女かはた噓つきか夏椿 はたと膝を打った。「夏椿=たおやか」という常識を覆したところが、この句にはある。少し離れていて夏椿を眺めていたとき私もまさに「手弱女」というイメージを持っていた。ところがある時、楚々と咲いている夏椿の花弁に素手で触れてみて、意外にもごわごわとしたその感触に驚かされたのである。この句は、その間の事情をうまく一句に仕立てたものと思われる。あるいは翔さんの女性観かも知れないとも思う。 女性というものの複雑なありようを安部川翔さんは認識しておられるのかもしれない。そして行方代表は、安部川さんが、「様々な年齢、職業の男性を詠んだ句」が多いと、それらを紹介している。いくつかあげると、 門前の老写真師の夏帽子 和蠟燭作りの爺の残暑かな 赤とんぼ肩にとまつてベルボーイ 身に沁むや老医の机書の積まれ 漁終へし港の男氷菓食ぶ あどけなさ残しだぼシャツ三尺寝 ぼそぼそと車掌検札汗まみれ ターレットの銜へ煙草も師走かな 介護士のポロシャツピンク春隣 男性諸氏が安部川さんの前を通り過ぎるだけでさっと一句に仕立ててしまう技をもっておられるのかもしれない。そんなことを思わせる一瞬の景だ。著者の安部川翔さんは句集が出来上がるまでに何度もふらんす堂へ足をお運びくださった。都会の匂いのする颯爽とした女性で、ご自身の意見は明確にあるが、しかしどこまでも清楚が失われていない、という素敵な方でいらっしゃった。外国暮らしを何度か経験されている、そんな雰囲気がこちらがわにも伝わってくる、意志的な部分と柔軟性がスマートにミックスされた方である。 十七音という短い言葉の中にその時々の情景や心情を込めることが出来る俳句の魅力。その魅力というか魔力にひかれて、思うように詠めないもどかしさを感じつつも、ここまで続けることができたのだと思う。 同時に、「知音」のお仲間との吟行や句会の楽しさは、今の私には何物にも代えがたいものとなっている。句集などまだまだ先のこと、他人事と思っていたが、西村先生の「体力気力のあるうちに纏めておくのも大事なこと」とのお言葉で、ふと、今かも知れないと思い立ちぼつぼつと作業を始めた。案の定、日々の生活の中でもいろいろなことが起きて手に付かない状況が続いたりもしたが、ようやく纏めることができた。 「あとがき」の一部を紹介した。以下作品をもう少し紹介したい。 すれ違ふマーガレットにふれながら 外灯に透けて守宮の動かざる 手袋をはめて区切りをつけにけり 浅蜊飯相席女客ばかり 子規庵の濡れ縁に夏来たりけり かき氷ブルーハワイといふブルー ウインドウの魔女の服欲し九月尽 着ぶくれて凭れて少し夢をみる 花嫁のヴェール巻上げ木の芽風 黒南風や阿弥陀のごとき母ゴリラ 芋虫のまだ食べてゐる食べてゐる 秋草を輪ゴムで束ね珈琲店 この句集の装丁は、和兎さん。 装丁については、安部川翔さんにはそれなりの思いがおありになられた。 色は紫がかった臙脂色がお好きとのことで、その色はいかにもこの著者にふさわしく出来上がったものは、安部川さんそのもののような静かな華やぎのある句集となった。 この句集の担当は、Pさん。Pさんの好きな句は、 秩父夜祭少女は火照る頬をもて 泣き止まぬ子の重たさよ冬木の芽 「装丁の打ち合わせにいらっしゃったときに、紫色の綺麗なアイシャドウをしていたのがとても印象的で、装丁も都会的な華やかさのある赤紫がポイント になりました。」とのこと。 まさに「紫色のアイシャドウ」がよくお似合いのマダムであられた。 不機嫌な唇薄きサングラス わたしの気にいった一句はこれ。これはきっと女性を詠んだ句であると思う。 「サングラス」には「不機嫌な唇」がよく似合う。 「不機嫌な唇」で思い出すのは、フランスの女優ジャンヌ・モローだ。好きな女優だ。あのへの字の口。男に媚びずしかしコケティッシュだ。フンとしながらどこか男を挑発している。カッコいいよなあ。(←こころからの羨望) この一句、わたしにはちょっとうらやましい「サングラス」スタイルだ。 どうやら本格的に風邪をひいてしまったらしい。 仙川にある耳鼻咽喉科に行き、象さん先生に診てもらってきた。 「今週末、ちょっと出かけるのでどうしても直したいんです」って訴えた。 象さん先生、「うん、うん」と聞いて、「長引いたらこの薬を」といろいろと処方してくれた。 これから早く帰って夕食をたべたらお薬をのんで早めに寝るつもり。 じゃ、皆さまの風邪にはお気をつけくださいませ。
by fragie777
| 2014-11-26 19:42
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