ふらんす堂編集日記 By YAMAOKA Kimiko

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小鳥来る

11月6日(木)

小鳥来る_f0071480_1745672.jpg
茨の実。


今年のパンツの流行はすこし丈が短めらしい。
くるぶしを見せてショートブーツではくというのがいいようだ。
で、
黒のパンツはけっこう仰山持っているのだけど(なにしろ物持ちがいいので20年くらい前のものからある)今年の丈に合わせて思い切って一本新調した。
短めの丈に横にベルベットのような光沢のある五センチ幅の生地が継いであるもの。これもどうやら今年の流行らしい。デパートの売り子さんたちが今年はこの様式のパンツをはいているのを見かける。
流行は無視はせずそうかといっておおいに巻き込まれることもせず、すこしは取り入れて楽しみたいというのがわたしのスタイルなのよ。
しかし、今日のわたしの格好ときたら、セーターは10年以上前のもの、黒のパンツもそう、黒のコートもよれよれ、すべてが流行からとりのこされたものであった。
黒のショートブーツなどご丁寧に下駄箱にしまって来たのである。

仕事場に来てから気づいたのだ。
今日はお客さまをおむかえする日であったというのに。

せめては新調した流行のパンツをはいて歓迎をしたかったな……

こういう間のぬけたところがyamaokaスタイルと言ったほうがいいかもしれない。





約束のお客さまは、9月に句集『人は旅人』を上梓された福神規子さんとその句集に栞を寄せてくださった藤本美和子さんのお二人である。藤本美和子さんはついさきごろ、『綾部仁喜の百句』を上梓されたばかりである。

お二人は結社は異なるが、藤本美和子さんはもともと俳誌「惜春」(高田風人子主宰)で俳句を始められたということもあり、福神規子さんは、「惜春」の編集をされていてご縁が深い。
お忙しいお二人であるが、今日は仙川の町をご案内しながらおおいにおしゃべりをしたのだった。

お二人とも主婦であり妻であり母である。
「わたしのまわりの女性俳人であんがいそういう人少ないのよね」と声をそろえておっしゃる。
そういう共通性がお二人をさらに親しくさせているようだ。


小鳥来る_f0071480_18261324.jpg
藤本美和子さん(左)と福神規子さん。


「栞の文章を藤本美和子さんにお願いした理由は?」と福神さんにうかがったところ、

「俳人協会主催の花と緑の吟行会で、藤本さんの俳句については選評を伺ってその的確さに、栞をお願いする人はこの人しかいないって思ったのです。必要以上に褒めることもせずきっと正直な鑑賞を書いてくださるだろうって思いました」ということ。

「句集を刊行されていかがでした?」という問いには、
「自選の第三句集になったわけですが、今回はすごく気持ちがゆったりとして楽になっています。ふわあっと一(いち)に戻れたというか、リセットできた感じです」とにっこりされた福神さんだった。

わたしを含めてほぼ同世代という気楽さからか、それはもう話は弾んでたのしい半日だった。
帰られるときにお互い玄関先で外反母趾を見せ合って大笑いをしていたら、スタッフたちが後ろであきれ果てていたのだった。





今日の「増殖する歳時記」は、三宅やよいさんによって、小枝恵美子句集『ベイサイド』より。

 恋人は美人だけれどブロッコリー

ブロッコリーって年中スーパーに並んでいるけどこれからが筍の冬野菜。煮込んだシチューにブロッコリーを取り合わせると鮮やかな緑が食欲をそそる。ブロッコリーを水っぽくなく茹でるのは易しいようで難しい。メイン料理になれなくとも他を引き立てる名脇役であり、栄養価満点の存在感のある野菜と言えよう。美人な恋人がブロッコリーなのが不満なのか、それとも満足なのか?「だけれど」の接続の仕方が意味深だ。何にでも便利で美味しいブロッコリーだから、美人だけど気取ってなくて味のある彼女なのだろう。友人がこんな言葉を呟いたら「ごちそうさま」と答えるといいんだろうな、きっと。



そして11月1日付けの毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」は、酒井弘司句集『谷戸抄』より。

 小鳥来る日本列島揺れ止まず

季語「小鳥来る」は小鳥が家近くに来ること。俳人のもっとも好む季語の一つだ。以前にも紹介したが、俳人でもある地球物理学者の尾池和夫は、日本列島は揺れることが常態だ、と言う。「地震や噴火や津波とともに動いている」のが、「世界でも珍しい、変動する若い大地」の日本列島なのだ(「日本列島の巨大地震」(岩波書店」。




このところ、朝、鳥のけたたましい鳴き声がする。
となりの造園林の鳥たちが騒いでいる。
ケケケケケケケと鳴く鳥もいて、いったいなんという鳥なんだと思いながら姿が見えないので調べようもない。
ちょっと小鳥来るっていう雰囲気じゃあないな。
雀、目白、四十雀、山鳩、鵯などはわたしの家の狭庭の常連だ。
しかしこの鳥たちはケケケケケケケとは鳴かないと思うのだが……。
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by fragie777 | 2014-11-06 19:04 | Comments(0)


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