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9月4日(木)
![]() 秋の新色らしい。 シャネルの口紅はそのむかしオレンジ色のやつを気に入って持っていたことがあったなあ……。 知人と待ち合わせをしていたとき「シャネルの化粧品売り場でメークしてもらっているからそこまで来て」と連絡が入った。 某デパートの化粧品売り場だ。 さまざまなブランドの化粧品売り場があるこのコーナーは、わたしにはまぶしすぎて素通りするところである。 美しく化粧をした売り子さんたちが立っていてときどきそこを通る女性客に声をかけている。 自慢じゃないが、いやかなしいことにわたしは声をかけられたことがない。 (こいつに声をかけてもダメだ)っていう彼女らからみるとダサい客にみえるのかもしれない。 あなたたち、その判断は大当たりよ。 でもちょっと声ぐらいかけてくれたっていいんじゃない。 まっ、いいか。 ともかくわたしはその連絡を聞いてシメタって思った。 日頃絶対立ち入ることのできない聖域に足を踏み入れることになる。 その聖域ではいったいどんな会話が交わされどんな人たちがどんな身のこなしで立ち働いているのだろう。 興味津々である。 で、躍る心でたどりついたところ知り合いはまだ化粧中だった。 わたしはその横に腰をかけてあたりをきょろきょろとそれはもうあますことなく見回した。 売り子さんたちはみな黒を着て一様に美しい。 お客さんたちは? とりどりである。若い女の子から老婦人まで、シャネルの化粧品を愛用しているというのが共通するところだ。シャネルというのが、やるわね。ちょっとうらやましい。 そして、みんなしかるべくしてそこにいるという顔をして、そこにいることは、まるで芝居で割り当てられた役割演じているかのようにそこにいることになんら違和感を感じていない。 ひとりわたしのみである。へんないごこちでいる女は。 まるで動物園にはじめてきた子どものようにあたりをキョロキョロと眺めまわし、売り子さんを見たり、お客をみたり、お化粧の様子などを観察したり、やがてわたしひとりが観客であることに気づいたのだった。 そこにいる売り子さんもお客さんもだれもわたしを見ようともしない。 きっと彼女たちからわたしは見えないんだろう。 みな自分に与えられた役割をひたすら演じている。 そう思うことにした。 そして、 美しい色彩が氾濫するこの不思議な空間をわたしは楽しむことにしたのだった。 しばらくして、「お待たせ」っていう声がした。 夢からさめたように、その声のほうを向くと、 美しい眉の婉然とほほえむ顔がそこにあった。 以上、 わたしのはじめてのシャネル化粧品コーナー体験でした。 今日の「増殖する歳時記」は、三宅やよいさんによって、岡本紗矢句集『向日葵の午後』より。 十五夜の覗いてみたき鳥の夢 今年の十五夜は例年より早く来週の月曜9月8日だという。きっとその日は澄み切った中秋の名月が煌々と夜空に上がることだろう。鳥たちは木々に宿りどのような夢を見ているのか。犬などは眠りながら小さくほえていることがある。犬の夢に出てくる犬は昼間すれ違った犬?近所の気になるカワイコちゃんだろうか。鳥の夢は空飛ぶ鳥の視界に入る地上の風景だろうか。掲載句では「覗いてみたき」と鳥の夢の内部に踏み込んでゆく言葉が魅力的。夜空に照る満月が違う世界が見える覗き穴のようにも思えてくる。十五夜の鳥の夢、月を通せばそんな不思議も覗ける気がする。『向日葵の午後』(2014)所収。
by fragie777
| 2014-09-04 18:55
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