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5月31日(土)
![]() 一日を横浜ですごす。 いま「神奈川近代文学館」で 装幀=菊地信義とある 「著者50人の本」展 が開かれているのだ。 ![]() 「装幀ライブ『ページ=本』の誕生」 いったいそれはどういうことなのか。 詩人の稲川方人さんの作品をそのままその場で一冊の本に仕上げるというものらしい。 先日ご来社くださった稲川さんより是非にとお声をかけていただいたのだった。 会場についたときはたくさんの人で会場はあふれていてわたしたちは立ち見となった。(途中でわたしは運よく座れたが……) 稲川方人さんはテキストで書かれた詩を菊地信義さんにわたし、菊地さんはそれを読み、連分けの作業をしページにレイアウトをしていく。本来なら詩人がすべきところの作業を装幀家がやることになる。 このへんの詩人と装幀する人間とのことばのやりとりはたいへん面白かった。お二人のやりとりは言葉と解釈(装幀)の問題にスリリングに収斂していく。菊地さんは「言葉はものである。言葉に裏と表があり、言葉の裏を考えること、それが言葉の物質理解なのである」。そして「解釈(装幀)とは言葉の物質化である」ということ、それを「装幀ライブ」という目の前で一篇の詩を本にしていくという行為をとおして見せてくれたのだった。 稲川方人さんの詩は「はなぎれのうた」と題された作品である。序章のように次のことばがおかれている。 爾後、二〇一一年三月十一日 郷里から私の許に届いた三通の葉書には 血縁たちのどんな状況も記されてはいない 私はそこに一言二言の静かな声を聞こうと 癒し難い歳月に耐え切れず震えるばかりだ 命の安否はいつも死者たちの声のよ うに届く…… 稲川方人 なにゆえ「はなぎれのうた」と題したか。 はなぎれとは本の「花布」のことである。 稲川さんは語る。「震災で津波で水が襲い、多くのものが壊れた。書物も流された、流された書物の風景を見たとき書物には花布がありそこでかろうじて書物は破壊されずにすんだ。花布は津波のシンボルとなった」 この後、菊地さんによって書物について興味深いことが語られるのだが、そのなかで「花布は書物のなかで唯一ロマンチックなパーツである」という言葉が印象深かった。 さらに、インターネット普及によって物としての書物が人間の生活から追いやられつつある今の時代に、もっと物としての本に意識をもって欲しい、言葉に裏と表があるようにページに、紙に、裏と表がある。裏があるということに気づくということ、そして世界には裏と表がある、紙の本の重要さはそこにを気づかせてくれる。 この「装幀ライブ」で菊地さんが本を作りながら一挙に語ったことは、今という時代への痛烈な非難をこめたメッセージでもあった。 ふらんす堂の本つくりへの思いにもつながるものが大いにあった「装幀ライブ」だった。 ![]() ![]() 花布がはってある。 ![]() ![]() ![]() ここでつくられた本は今日の参加者すべてに渡される予定だったらしいのだが、あまりにも多くの人たちが来て、すべてに対応できなくなってしまったらしい。 わたしたちは遅く入場したのでこの本をいただくのはあきらめて、稲川方人さんよりその本を見せていただいたのだった。 会場を出たところで作家の古井由吉氏のお姿があった。 (今日のイベントにいらしていたのだ) ![]() 簡単に自己紹介をすると、「ああ、」って言って「あの中村真一郎さんや芥川龍之介の……」とにっこりされたので、「そうです。小さな詩歌の出版社です」ってわたしもにっこりしたのだった。 かつて一度古井由吉氏には、「ふらんす堂通信」の「一句の風景」で原稿をいただいていたのだった。 この会のあと、もうひとつぜひ行きたいところがあった。 横浜のそごうデパートの「そごう美術館」で今日より開催されている「SIMONDOLL四ツ谷シモン」である。 四ツ谷シモンの人形には興味があり、かつて渋谷の西部デパートだったかしら、そこで展示されていた四ツ谷シモンの人形を見て魅了されて以来である。そういえば、詩人の高橋睦郎さんの家には大きな四ツ谷シモンの少年の人形が飾られていた。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 特に少年がはいている革靴は素敵。 専門の靴職人さんに特注されるらしい。 会場にしばらくいると人形たちが発散するものによってこちらがわの肉体と精神が侵食されてしまうような、そんな危うさを感じた。 しかし、 美しい。 わたしは大好きである。 わたしはクリアファイルなど、そばにおいておきたいものをいくつか購入したのだった。 人形も、 お金があったら そりゃ 買いたいところだわ。
by fragie777
| 2014-05-31 22:40
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