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12月22日(日) 冬至
んちゃ。 今日は冬至である。 今日お目にかかった片山由美子さんは、 「もちろん柚子湯に入るわよ」っておっしゃっていたことを今思い出し、あわててて冷蔵庫の片隅にあった柚子をとりだしてみた。 なんとも惨めな柚子の顔が現れた。 しなびていて、黒ずみはじめ、鼻を近づけても匂いもしない。 (こりゃだめだ……) コンビニにはたして柚子は売っているか。 いや売っていないな……。 おお、 そういえば、柚子の入浴剤があったことを思いだした。 あれを代わりにして「柚子湯」ということにしよう。 というわけで、わが家は、「柚子風風呂」ということでごまかします。 皆さまは、ちゃんと柚子湯におはいりになるんでしょ。 電車に乗った。 成城学園から向ヶ丘遊園までのほんのわずかな時間である。 混んでいたのでわたしは立っていた。 すると後方の座席から元気のいいおばさまたちの声が聞こえてくる。 人垣で姿は見えないのだが、声はいやがおうでも耳に入ってくるのだ。 するとその中のお一人が、 「ねえ、ねえ、ちょっと見てよ。この帽子。……980円だったのよ。それにしては可愛いでしょ」とほぼ叫ぶような状態で話している。 (むむ、なに! 980円、それは安い!) 実はわたしも帽子をかぶっていた。マニッシュなスカシタ中折帽だ。 仙川の帽子屋さんで作ってもらったもので、夏用の麦藁帽子をおなじ型で秋冬用に仕立ててもらったもの。 似合うか似合わないか知っちゃこっちゃないが、わたしは気に入っている。 どんなに冷酷な視線に出会おうとも、ヘイチャラでどうよってすましているのだ。 しょせんファッションなんて気合だわよ。 で、わたしの帽子は残念ながら980円よりは若干高かった。 しかしである。 その980円の帽子がわたしのと張り合うくらい素敵だったら、わたしは複雑な気持がする。 で、 そうっと人垣からそのマダムの帽子を覗き見た。 う~~~む。 可愛らしい帽子であった。 毛糸で編まれたあったかそうな帽子だ。 バイオリンケースをかかえたそのマダムにはよく似合っていた。 自慢するだけのことはある。 しかし、 である。 わたしの帽子もまた素晴らしかったのである。 わたしの精神性をはるかに凌駕し、シックで深みがありその上エレガントだ。 黒のフェルト地にグレーと黒の横縞の細身のリボンを巻き、ブルーの色の小さな小さな米粒くらいの鳥が止まっている。(おそらくこの鳥の存在は帽子の仕立て屋さんとわたし位しか地球上では知らないだろう)(←この恥じらいのない自慢モードを許されよ) 帽子をのっけている人物のお粗末さをおおいにカバーしている。 毛糸の帽子をかぶったそのご婦人はどうだろう。 帽子がその人と一体となってそれはもう肉体の一部であるかのような帽子だった。 (こりゃ、わたしの完敗だわ) 向ヶ丘遊園の駅についた。 降りるときわたしはその帽子のご婦人にむかって、 「本当に素敵な帽子ですね」 と声にはださずに心から申しあげたのだった。
by fragie777
| 2013-12-22 22:08
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