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5月9日(木)
家の玄関のドアーを開けるとまず出会うのがこのアオハダの木。 「あら、おはよう」といつもいる。 だからこのアオハダの木は家中の誰よりも(いや愛猫のヤマトをのぞいて)わたしのことを知っていると思う。 わたしの暗い顔も明るい顔もコンチクショウっていう顔も知っているし、何よりもわたしが出かけるときに忘れ物やらで絶対いっぺんじゃすまないことをようく知っている木なのである。きっとあきれ果てていると思う。もう15年以上の付き合いだ。 外皮をはがすと中の木肌が青いことから「青肌」と名付けられたらしいが、わたしのいい加減さと粗忽さと荒っぽさで青ざめているからではないから、そこはよろしく知っておいてほしい。 しかし、わが家のアオハダの青ざめ方は尋常ではないかもしれない。 「株立ち」がよく似合う美しい山の木だ。 今日はお客さまがふたりいらした。 午前中は吉野秀彦(しゅうげん)氏。 俳誌「小熊座」(高野ムツオ主宰)に所属するお方で今日は句集のうち合わせにお見えになった。 吉野さんは、足立区六月にあるお寺のご住職である。名刺に「幡勝山 成就院 炎天寺」とあり、一茶の句が印刷されている。 蝉なくや六月村の炎天寺 一茶 一茶に詠まれた炎天時であり、どうやらお話をうかがうと一茶がかつて住んでいた近辺らしい。 この炎天寺では50年以上「子ども俳句大会」を主催しており、吉野さんは小さい頃から出句をして俳句を作られて来られたということだ。その選者に楠本献吉がいてその縁で「野の会」に所属しかなりの期間をそこで俳句つくりつづけて来られた。事情があって「野の会」を退会しその後西東三鬼の句に魅かれそこから佐藤鬼房の「小熊座」を知ったのだが、鬼房はもうこの世におらず高野ムツオ主宰の「小熊座」で学ぶようになったという。そして高野ムツオ主宰のすすめで第一句集を上梓することになったのだ。 「この度の句集には「小熊座」以前の作品も収録されているのですか」と伺うと、 「全部「小熊座」以降のものです」ときっぱりした返答である。 炎天寺の「こども俳句大会」には主宰の高野ムツオ氏もご多忙のなか率先してご尽力されているということである。 ところでこの炎天寺(真言宗)のある六月は一茶ゆかりの地であると書いたが、 やせ蛙負けるな一茶これにあり の句が作られた場所でもあるということ。そこで秀彦住職は、蛙のご縁を大切に蛙コレクターとして世界中の蛙の置物を集め出したのである。いまでは600ほどの蛙の置物があるということ。そのなかにはハンガリーの名窯ヘレンドの蛙もあるという。とても美しいものらしい。 わたしの机の上にある京都の雑貨店で買った蛙も一緒に記念撮影。 「これは東南アジアのものですね」とすぐにわかるところがさすが蛙コレクター。 担当の愛さんは、この吉野さんの福耳に感激し、 「わたしがこれまで見たなかで一番すばらしい福耳でした!」と。 午後には小泉洋一氏。 やはり句集の打ち合わせである。 ふらんす堂にいらしていただくのは、15年ぶり。 15年前にふらんす堂から句集『夏座敷』を上梓しておられる。 第二句集を15年ぶりに刊行される。 「花鳥来」(深見けん二主宰)に所属し、「ホトトギス」(稲畑汀子主宰)同人である。 句集『夏座敷』は、フランス装のすっきりした出来上がりで内容も充実したいい句集だった。 しやぼん玉吹く子に風の生まれけり 母の背に子のかくれゐる夏座敷 太陽の讃歌みんみん声そろへ 初蝶の風に驚く高さかな コスモスの中から子供一人づづ 夏休み終る子供に蜻蛉増え 序文で深見けん二氏が書かれているように子どもを詠んだ句がすばらしい。今度の作品にはどんな句があるのか楽しみである。担当は愛さん。 「季題とひとつになれ」「常に季題と心がひとつになっていれば思い切ったことをやってもいい」 「深見先生の季題に対する真剣な姿勢は凄いです。」と小泉洋一さん。 すこし前にお母さまの散骨をすまされたということ。 「その時に、自分なりに季題のなかで母を詠むということができたような気がし、この度の句集上梓へのきっかけになりました」ということである。 師も弟子もまことに俳句に対して真摯であられるのだ。
by fragie777
| 2013-05-09 20:19
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