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5月1日(月)
今日から5月である。 今日はひと月ほど前にお約束をした俳人の津川絵理子さんが、ご夫君の伊藤弘高さんと一緒にふらんす堂にいらしてくださった。 津川さんは、昨日新宿の京王プラザで開催された「文学の森創立10周年&山本健吉文学賞」のお祝の会に出席されるためにご上京されていたのだった。津川さんは、文学の森主催の北斗賞の選考委員もされている。 「では、その時に是非にふらんす堂に遊びにいらしてください」と申し上げて今日の日となったのだった。 仙川駅で待ち合わせをしてお目にかかったとき、 「田中裕明賞、おめでとうございます」と申し上げると、 「ありがとうございます。驚きました!」とにっこりされたのだった。 お二人を武者小路実篤公園にご案内した。 ご夫君の伊藤弘高さんは、短歌誌「塔」(永田和宏主宰)に所属されている歌人である。短歌をつくる前は、結社に入って俳句をつくられていた。20歳頃からおよそ10年以上俳句をつくっていたので俳句歴は長い。芭蕉が好きで、俳句の友人たちと「奥の細道」を熱心に旅したこともあるという。 津川さんは俳句が出来るとまず伊藤さんに見せるということ。信頼できる第一読者である。 竹林にはまだまだ沢山の竹の子があった。(欲しい!) せっかくお目にかかった津川絵理子さんに作句の秘訣を伺ってみたいとおもった。(でしょ!) 「どんな風にして俳句をつくられるのですか? ご自身に課していることはありますか? たとえば写生をこころがけるとか。その場ですぐに五七五でつくるようにするとか……」 「山上(樹実雄)先生にも、鷲谷(七菜子)先生にも写生をしろ、とは一度も言われたことはありませんでした。ものをよく見て作れと言われたことはありますが……。何かを見てメモをとることはありますが、特に五七五ですぐつくるということもありませんけど……」 おっとりとまことに穏やかに返事が返って来る。 「こうしなければいけないという風に俳句をつくることはありません。なんとなくぼんやりとしていると向こうからやってくる、そんな感じでしょうか……」 訥々と語る様子がとてもいい。 するとそばにいた伊藤さんが、 「だけどね、子どもみたいなんですよ。この人と一緒に歩いていると途中で立ち止まってしゃがんでじいっと見ているんです。子どもが何か見つけると夢中で走り寄って行ってじいっと見ているでしょう、そんな感じなんです。この間も子雀を見つけたらもうずうっと見てるんです。だからなかなか目的地に行きつかなくて僕がイライラすることもあるんです。小さな子どもと歩いているようですよ。」 「ああ、そうなんでしょうか。そういえば、この間手をひっぱられました」と誠におっとりと津川さん。 「好きな俳人はいますか?」と伺うと、 「細見綾子や星野立子が好きです。この度「星野立子賞」をいただいたので、星野立子の句集を全部買って、初めから読み直してみたのですが、読み始めたら止まらなくなってしまいました。好きな句ばかりです」 「細見綾子も星野立子も、ブラックボックスというか想定外の句があってそれがいいんですね。どうしてこんな句が出来るんだろう、この人何考えているか分かんない、そういう作品に驚きます。たとえば細見綾子の場合、〈ひし餅のひし形は誰が思ひなる〉とか〈雪解川烏賊を喰ふ時目にあふれ〉、星野立子の場合、〈一月十二日とペンで玉子に書く〉とか〈いつの間にがらりと涼しチョコレート〉とかでしょうか」 (ああ、その句わたしも好き!)と心のなかで叫びながら、もっと沢山のお話を伺いたかったのだが、帰りの新幹線を予約されているということで残念ながらお帰りになった。 「田中裕明賞」の授賞式でご上京されたときにまたゆっくりお目にかかっていろんなお話を伺うつもりである。 津川絵理子さん、伊藤弘高さん、今日はありがとうございました。 お疲れの出ませんように。 明日、新刊句集の紹介をします。
by fragie777
| 2013-05-01 20:55
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Comments(2)
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