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3月28日(木)
道すがらPさんに「この桜はね、わたしが丹田パワーをおくっておいたから、当分散らないよ」って自慢しておいた。 昨晩は己を反省することなどとんと忘れ、Pさんとおおいに喋り楽しくワインを飲んだのは良かったが、調子に乗って飲みすぎたせいかわたしもPさんも二日酔い状態で午前中は頭がふらふらとしてお互い飲みすぎたことをふか~く反省したのだった。 新刊句集を紹介したい。 清水まもる句集『古式』(こしき)。 タイトルの「古式(こしき)」とは、いったい何か。 広辞苑によれば、「古来の法式。昔のかた」とある。 この度の句集の場合はつぎの句に拠る。 悠々と古式で泳ぐ生身魂 まもるさんの泳法の師小堀平七氏のことだが、まもる先生ご自身のことに重なる。 とは、清水まもるさんが所属する俳誌「童子」の辻桃子主宰の序文のことばだ。「古式」とは泳法のの法式のことを言っているらしいが、それだけでなく著者にも関わってくる。この句集は、著者略歴がなかなか面白い。「古式」について清水まもるさんは略歴に懇切に記している。 句集名「古式」は桃子師の命名。十歳から八年間、毎年夏季合宿で二週間の遊泳訓練が行われ、始祖小堀平七の指導で日本の武技ともいえる「古式泳法」の数々を習得した。小堀師は七十歳を超える高齢、瘦身四十キロに充たぬ身体で、潜泳・甲冑遊泳・遠泳・鉄砲発射など数々の妙技を披露、指導されたことは忘れ得ぬ体験であった。特に師の「生身魂」そのものの風貌と「気合」は現在卒寿を超える吾身にも貴重な記憶である。今は二つの句会に欠かさず出席。そろそろ「楽吟」の境地がみえてきた気分だ。再度「大正生れ頑張れ」と気合をかけている。 味わいのある略歴である。さらに序文によると、 清水まもるさんは内科のお医者様だ。九十二歳のいまも矍鑠として、週に一回、ご自分が生まれた土地にあるクリニックで、三十人ほどの患者を診ている。それだけでも畏敬の念にうたれるが、そのうえに背が高く気品があり、しかも女性にやさしい。結社の仲間はみな「まもる先生」と呼ぶ。 92歳で現役のお医者さまというのがすごい。この句集ができあがるころはちょっと体調をくずされて入院されていたのが少し心配である。 暑き日のなにゆゑ冷ゆる足の裏 キューピーよもう手を挙げて浮いてこい 口元の笑みをこらへて秋団扇 蒔き終へて花の名前を忘れたり 若き日の写真選びぬ業平忌 あたたかし忘れし帽子届けられ 泉殿しぶきかかりて騒がしく 流灯の三たびめぐれり遊び杭 三つ目のゴーヤ黄ばみて子規忌かな 碁敵の来ると報せや居待月 湯ざめしてなほ推敲のままならず ヘルメット被りしままに花の下 昼寝覚万物の色しばし失せ 晩学をめげずに硯洗ひけり 満開を待ちて用意の花衣 「あとがきに代えて」として「桜」と題したエッセイを寄せている。 「さまざまな事思ひ出す桜かな 松尾芭蕉」と「花にゆく老の歩みの遅くとも 高濱虚子」の二句をかかげて著者の思いを述懐した趣のある文章である。著者の長い人生を桜が照らしている。 世に飽くも句はなほ捨てず西行忌 よくぞ「西行忌」をつけたと、改めて舌を巻く。西行のように、俳句の世界を自在にますます悠々と、遊行されるよう祈ってやまない。 と、主宰の辻桃子さんは序文に書かれている。 この句集の装画は著者の清水さん自身の手による。鬼子母神内で売られている「すすきみみずく」であるということ。題簽は辻桃子主宰。 わたしがこの句集でぐっと来たのは、 バレンタインチョコのリボンに想ひかな この感性の初々しさが好き。 「リボン」へ想いをよせるおじいさまなんて、なんて可愛らしいのでしょう。そしてリボンを俳句に詠むということも……。 わたしのような荒削りの女にはぜったい出来ないことだ。 あまりないことだがリボンのかかったプレゼントをいただいたとしても、(おお、リボンか……)と即座にそれをはずし物(ブツ)まで速攻だね……。 そう思ったら、 そういうガサツな自分が見えてきて、ああ、ほんと恥ずかしくなった…… じゃ。
by fragie777
| 2013-03-28 21:18
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