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12月4日(火)
ひと月ほどわたしの机にあって、手がつけられなかったゲラを読む。 読み始めると面白くて熱中してしまい、クックックッとときどき声に出して笑ったりしていると、スタッフの愛さんが 「yamaokaさん、そんなに楽しそうに何を読んでいるのですか?」と聞いてきた。 「いや、実はね、やっと第三回田中裕明賞のゲラを読み始めているのだけど、すごく面白いのよね」と答えたのだった。 選考委員会や句会や授賞式、そしてお祝いの会がすべて活字になって目の前にある。当日は緊張していたこともあり、ただ無我夢中だった。 しかし、こうしてゲラになってすべてのことが活字を通して再現されるとその時の緊張感が伝わってくるのと同時にそこに関わってくださったお一人お一人のことが生き生きと蘇ってきて、たとえばお祝いの会がこんなに楽しい会だったのとか……改めて気づかされたりしている。 わたしたちが引用句のチェックなどひと通り校正をしたあと、関わってくださった皆さんにゲラを送って校正をしていただくことになる。 12月30日の田中裕明さんの忌日までには刊行したいと思っていたが、ウーン、すこし苦しいかもしれない。 なにしろ分量が多い。 今週中にはゲラを整えて皆さんにお送りしたいと思っている。 このゲラにあまり手をいれずに刊行できたら、この冊子を読むだけで皆さんも授賞式やお祝いの会にともに臨席しているような気持になるのではないだろうか……。 当日はこちらの不手際もあって反省点ばかりが目立ったが、いやいやなかなか楽しいいい会だったのではないかと嬉しくなっているyamaokaである。 冊子「第3回田中裕明賞」刊行にむけて頑張ります。 今日の「増殖する歳時記」は、土肥あき子さんによって片山由美子句集『香雨』より。 初雪や積木を三つ積めば家 今年の初雪の知らせは北海道では記録的に遅いとされる11月18日。これから長い雪の日々となるが、「初」の文字は苦労や困難を超えて、今年も季節が巡ってきた喜びを感じさせる。雪の季節になれば、子どもの遊びも屋外から室内へと移動する。現代のように個室が確立してなかった時代には、大人も子どもも茶の間で多くの時間を費やしていた。あやとり、お手玉、おはじき、塗り絵など、どれも大人の邪魔にならないおとなしい室内の遊びを家庭は育んできた。掲句の積み木にも、家族の目が届くあたたかい居間の空気をまとっている。おそらくそれはふたつの四角の上に三角を慎重に乗せたかたち。四角柱は車になったり、円柱は人間になったりもする。人は誰にも教わることなく見立てをやってのけるのだ。初雪の静けさにふっくらとした幼な子の手の動きが美しい。『香雨』(2012)所収。 今日はちょっと急用ができてブログを書くのが遅くなってしまった。 今家でブログを書いているのだが、積み木三個でいえば、ちょうど三角形の底辺あたりである。 わたしの膝の上にはたったいま白猫がやってきて丸くなったばかり。 聞こえるのはストーブが燃える音のみだ。
by fragie777
| 2012-12-04 22:35
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