3月12日(水)
さっそく営業の門田克彦さんが、新宿紀伊国屋本店に行って、ポップの交渉をしてくれたらしく見事ポップが立つ。やはりこうでなくちゃ。ほかの書店も門田さん、この調子で頑張ってくださいな。こういうポップって案外、力を持つことがある。最近、おどろいたことの一つ。それは銀座の教分館というキリスト教系の大きい書店があるのだが、そこで『万太郎の一句』がよく売れ出した。本来、万太郎は銀座近辺に強いのであるが、ここにきてとみによく動く。教分館の書店員さんに話しを聞いてみると、なんと一週間ごとにブログを変えて、「今週の万太郎の」として「一句」を紹介しているということなのである。それをするようになって、よく売れ出したということなのである。これは書店が本を売ろうとして努力をしていることであり、こういう少しの手間ひまで本が売れるということにちょっと勇気づけられる。もっとも久保田万太郎という俳人の作品の力に負うこともあるとは思うけれど…。
『万太郎の一句』はいまほぼ品切れ状態で、著者の小澤實氏に再版のための本文の誤りのお直しをお願いしているところ。もう間もなくそれも終わり小澤氏より連絡があるはず。再版をお待ちいただいている書店も大分ある。こころは急くがもう少し待ちましょう。
ふらんす堂のDTP環境の中心となってくれている渡邊真紀であるが、彼女にはもうひとつの秘かなニックネームがある。それは「ふらんす堂のナウシカ」。コンピュータが据えられた窓際にいて、いつも静かに仕事をしている。静かに仕事をしているのであるが、耳はいつも外界の風の音や、鳥の声を聞いている。そうして窓の外を通る猫たちと交信したりしているのだ。「ときどき、大きなくしゃみをする人がいるんです、私はその人をトドロキさんって呼んでるんですけど」なんて嬉しそうに言う。ふらんす堂でいただいた花や木の鉢物は、いつも彼女がせっせと世話をするので、私たちの知らないうちに成長しているのである。部屋の片隅のパソコンの前が彼女の唯一の居場所。(半畳もない!)でも渡邊の心は風や光に乗ってアイルランドの草原あたりまでつながっている。その渡邊が帰りぎわにニコニコして、「DTP検定の更新試験に今年も受かりました」と報告してくれた。心は草原に踊っていても、仕事はきっちりこなす頼りになる存在なのだ。