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11月22日(火)
どの野菜も葉っぱのいきおいが凄まじかった。 ジョン・ダン(John Donne)という英国の詩人をご存じだろうか……。 16世紀末から17世紀中期の形而上派詩人ということだ。 わたしは昨夜までこの詩人のことを知らなかった。 しかし、その詩行のことばはいろんな形で流布していることを知った。 たとえば本のタトルになっていることばがある。 「死よ、奢るなかれ」あるいは、「誰がために鐘は鳴る」などだ。 わたしがジョン・ダンのことを知ったのは、 昨夜の横澤放川さんと北島大果さんとの話しからだ。 夜も更けゆくころ、横澤放川さんがふっとこの詩行をつぶやいたのだ。 「誰がために鐘は鳴るか」 「汝がために鐘は鳴るなり」 「俳句というのはね、人のためのものじゃなくて、自分のために造るものなんだと思うんです。僕はこのジョン・ダンの詩を思い起こしてはそう思うんです。」と横澤さん。 いいことばだ。 調べたところによると、このことばは宗教家でもあったジョン・ダンの「瞑想録」からのことばであるらしい。ヘミングウエィの小説のタイトルにもなっており、人はこのことばへさまざまな思いを託すのかもしれない。 わたしは昨夜はじめてその存在を意識したこのジョン・ダンという詩人に興味を持った。 若い時は放蕩三昧の限りをつくした詩人、後半生はイングランド教会の司祭、その説教はきわめてすぐれたものだったという。 その詩人のことばに思いを馳せながら、俳句について語る横澤放川さんという俳人もいい。 紹介をしそびれてしまっていたのだが、20日の毎日新聞の岸本尚毅さんの「俳句時評」では、「ベテランの業績」と題して多くのベテラン俳人を紹介している。なかでふらんす堂より句集『夏木』を刊行された山本洋子さんの作品が紹介されている。 満月はのぼり暦は果てにけり いくたびもひつかかりつつ朴落葉 刈萱にすぐに隠れて下校かな その山本洋子句集『夏木』が、今日の讀賣新聞の長谷川櫂さんの「四季」で紹介されている。 いくたびもひつかかりつつ朴落葉 大きな枯れ葉が高みから落ちてくる。途中、枝に当たってガサッガサッと音をたてながら、さびしい山道を歩いていて朴の木を見つけると、なつかしい人に出会ったようにうれしい。白い花といい大きな葉といい、親しみのある木なのだ。 偶然だが岸本尚毅さんと長谷川櫂さんの目にとまった写生の作品だ。 悔しいがわたしは読みとばしていた。 確かにいかにも朴落葉らしいさまだ。 そして同じ毎日新聞で文芸ジャーナリストの酒井佐忠さんが、「詩歌の森へ」の連載で「学園に草田男の句碑」と題して、先日の成蹊学園の句碑除幕式のことに触れている。 句碑には〈空は太初の青さ妻より林檎受く〉の句が刻まれた。終戦直後の1946年、俳誌「萬緑」を創刊した年の作。句には「居所を失ふところとなり、勤先の学校の寮の一室に家族と共に生活す」との詞書(ことばがき)があり、句碑の脇に銘版として添えられた。食料もなく、住宅事情も乏しい時代に草田男は、疎開先から家族を呼び戻し学園の寮で生活を始めたのである。無限に澄んだ空と新鮮なリンゴの香り、さらに家族の愛を力に再出発を決意する精神な緊張感が伝わる。 と記し、ご挨拶をされた鍵和田ゆう子氏、講演をされた中村弓子氏、佐佐木幸綱氏のそれぞれのことばを紹介しながら、ふらんす堂文庫の中村草田男精選句集『炎熱』を紹介して下さった。 また、時を同じくして文庫版の「中村草田男句集・炎熱」が出た。編者の横澤放川さんは長文の解説で、草田男再評価を促している。 今日のねんてんの今日の一句は、高瀬博子句集『氷瀑』(ひょうばく)より。 衿巻の多佳子を探す中の島 俳句で多佳子といえば、「橋本多佳子」。この句、大阪の中之島で多佳子を探している光景だ。多佳子はどんな襟巻をしていたのだろうか。 と坪内さん。わたしはきっとゴージャスな狐などの襟巻をしていたのではないだろうかって思う。その方が絵になる。そういう絢爛さが似合う橋本多佳子だ。 「増殖する歳時記」は、宮澤ゆう子句集『碧玉』(へきぎょく)より。土肥あき子さんの鑑賞だ。 やすませてもらふ切株冬あたたか 座ることができる大きさの切株とは、どれほどの樹齢なのかと調べてみると、松の場合、直径10センチで樹齢50年、40センチで100年~200年が目安という。大きな切株であればさらに樹齢を重ねており、掲句の「やすませてもらふ」に込められた擬人観もたやすく理解できる。大木であった頃に広げていた枝に羽を休める小鳥や、茂る葉陰を走り回っていたリスは消えてしまったが、今では旅人が憩う切株として姿を変えた。本格的な冬を間近に控えた明るい空気のなかで、数百年を過ごした歳月に、今腰掛けているのだという作者の背筋の伸びるような思いが伝わる。(略) 豊かにほっとしている人の姿が浮かんでくる。 わたしも切株に腰をかけて小鳥の声に耳をかたむけながら大空を眺めていたりしたい……。 しかし、 わたしがゆったりと時間を過ごせるような切株はなかなか見当たらない…… なぜって、切株の直径が問題なのよ。 直径がね。 わたしのお尻がはみ出すようじゃ、ほっとできませんもの。 300年以上は必要だな、 きっと。 田中裕明さんの「ブータン」の記事が見つかりました。 いろいろとご連絡をくださいました方々に御礼を申し上げます。 森賀まりさんにもご連絡をすることができ記事を送ることもできました。 まだその記事をご存じないかた、以下にアクセスしてください。 → 「編集手帳」
by fragie777
| 2011-11-22 20:36
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