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6月3日(金)
![]() 久しぶりで晴れる。 今日は佐藤文香さんが遊びに来てくれることになっている。 文香さん、今日がお誕生日ということ。 何年かぶりだけど変わってるかなあ……。 まず新刊詩集を紹介したい。 柴田絵津・井上鷹洋詩集『光ったこころで』。 これはご夫婦の相聞詩集でもある。ご主人の井上鷹洋さんはもうすでに亡くなっている。お二人が出会ったころにやりとりをした詩を中心に、奥さまの柴田絵津さんがその頃書き溜めた詩の作品を加えて一冊とした。 まず、末尾におかれた「おわりに」の全文を引用しよう。 あの香港から赤目への道をたどったのは、寒い晩秋の一日でした。だが何となく心ははずんでいました。誰からも邪魔されない気楽さが私を思い切りたのしくさせたのかもしれません。お茶目と我がままとちょっぴり気の弱さとが入りまじった若い若い私の世界でしたでしょう。 あなたの優しい心と温かさが山の澄んだ空気の中を流れて私に伝わってくる。病後はじめてのハイキングでした。私は平気だがまだ化学療法を継続中のあなたの体が気遣われる。肌寒い秋の山中を歩きながら私の中にはあなたがあり、そして私の心は光っていました。 清流のように美しく輝きながら私の心は流れはじめたのです。 生きてゆくということを始めていいのだ。それを教えてくれたあなたの追憶のために。そうしてもう一度光ったこころでひとり歩むために、私はこのあなたとの遠い日のことばの小筐を遺しておこうと思ったのです。 この「おわりに」の若き日の澄みきった思い出のことばがとても美しいとわたしは思う。 「あなたとの追憶のために」そして「もう一度光ったこころでひとり歩むために」この詩集の刊行を思い立ったとある。 作品を紹介したい。 まず奥さまの柴田絵津さんの作品より。 無題 絵津・一九五八年一月一日 先ずあなたに新年の御挨拶をしよう 今日からの道が明るく希望に満ち満ちている あせらずに心を落着けて健康に磨きをかけよう 新しい生活設計はまず健康からである そして誠実に日々を歩むことだ 少しづづでもお互いのアムールをかためてゆこう Mr.TAKAHIRO にアムールをおくられて 私はこの上なく幸せである 現実の非情さに負けずに堪え忍んで立派に生活を築 こう あなたの為にそして私の為に 私達のアムールで。 * 祈り 鷹洋・一九五八年一月七日 ー病気と 貧乏だけはいややなァー ネオンの瞬きはじめた 内宮の懐の街 お腹が空いたと入った 店の中 ほっそりした手で ソバをすくいあげながら ーボクを見た 愛しい恋人よ お前からこの二つを まひるの空の星のようになくそう! そしてボクから お腹が一ぱいになり 夕影が濃くなりはじめる 森にも薄墨が流れだす さっきお前が祈ったことを 僕は知っている 僕も祈ったからー この詩集は、俳人の横澤放川さんを通してふらんす堂に持ち込まれたものである。著者の柴田絵津さんがすべてを横澤さんにお任せするというご意向だった。 従って横澤さんのとりはからいによって活版印刷のフランス装の瀟洒な詩集となった。 出来上がってみるとタイトルの「光ったこころで」と装画がひびきあっていてすごくいい。金の箔押しと黒色のみというのもこの詩集を上品なものに仕上げている。 装丁の和兎さんの裏技が光った出来上がりになったのではないだろうか。 初々しい相聞詩集である。 こういうかたちのご夫婦の思い出を持っていることが何より素晴らしい。 佐藤文香さんはいまふらんす堂の「俳句日記」に連載をしている。 そのへんのことを中心に今日はインタビューをさせてもらった。 その記事については、「ふらんす堂通信129」に掲載予定である。 文香さん、「俳句日記」については非常に意欲的に取り組んでいることが今日のインタビューでもよく分かった。「俳句日記」を始めるにあたり、彼女はいくつか決めたことがある、ということだ。 その「いくつか」がどう実践されているか、 それをまた「ふらんす堂通信」で確認していただき、佐藤文香の「俳句日記」を読んでみるというのも面白いのではないか…… 話の途中、 「文香さんってさ、けっこう自己分析するよね」って私が言うと、 文香さん、にんまりと我が意を得たりのごとく笑って、 「そう、わたしって自己分析、大得意なんですよお。今日も道歩きながら自己分析をしてきました…」 そして、 「歯磨きよりも自己分析って感じかな……」 「あははッはッは…、それっていいわねえ、」 思わず笑い合ってしまった。 スタッフのPさんは文香さんと歳が近いせいか、文香さんが自身について語るのを聞きながら、 「わたし、その感じよく分かります!」 ってすこし昂奮しながら聞き入っていた。 自分自身のこと、俳句のこと、これからのこと、などなど沢山話してもらったが、どのくらいそれを記事にできるか、楽しみにしていただきたいと思う。 ![]() ![]()
by fragie777
| 2011-06-03 19:04
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