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12月19日(日)
ところでこのブログを読んでいる方はもうお夕飯を食べました? わたしはまだこれから。 今は仕事場でブログを書いているので、これを終えたら家に帰って食べるつもりである。 さっ、早く書いてしまおう。 今日の毎日新聞で、井上弘美さんが「2010年回顧・俳句」というテーマで「老若両極の活躍目立つ」と題してこの一年間の俳句の状況をその出版物をとおして回顧する文章を寄せている。 前半の部分のみ(というのは表題に対応しているので)引用したい。 「発見、若き俳人たち」。『新撰21』(邑書林)はこんな帯文を掲げて昨年末に登場、若手作家の現在に光を当てた。 この斬新な企画はそのまま俳句の可能性や未来を問い掛けることとなり、総合誌が関連した特集を組むなど、新時代の到来を予感させた。それは俳句のみならず、短詩型文芸の今後を考える契機ともなった。夏には参加者の一人、高柳克弘が句集『未踏』で第一回田中裕明賞を受賞。山口優夢の角川俳句賞受賞もあって、『新撰21』世代は存在感を増しつつある。 一方、大正生まれの作家も健在である。眞鍋呉夫が蛇笏賞、星野麦丘人が詩歌文学館賞、澁谷道が現代俳句大賞をそれぞれ受賞。今年刊行された句集では、老いや死を見据える句集『鏡騒』(ふらんす堂)、洒脱な芸と旺盛な作句力によって、老いの日常を俳諧化する『残日残照』(同)の後藤比奈夫、境涯を超えての命の実感が、言葉の温もりとなって伝わる『団扇』(角川書店)の村越化石など、大きな収穫があった。 俳句は高齢化や結社の存続、インターネットの導入による俳句活動の急激な変貌などの問題に直面して久しい。現状は困難であるが、克服する力は、結局優れた俳句作品からしか生まれないのだろう。若手作家の台頭によって、老境に入った作家の位置もまた鮮明である。両極の真摯な活動が、俳句界全体を活性化させることを期待したい。 『新撰21』については、今日の朝日新聞でも歌人の穂村弘さんが、「今年のベスト3」のひとつに挙げていた。 井上弘美さんの文章を読みながらすこし複雑な思いにとらえられてしまう。 「若い」ということ、「老い」ということ、そういうことが意味をもつのは「俳壇」という枠組みで考えたときなんだろうと思う。つまり「俳句の世界」においてこれほど「若い」人が、あるいはこんなに「お年を召した」方が頑張っている。それは俳句の世界が存続していくための、あるいは活性化していくために歓迎すべきことだ。という意味において……。あるいは一人の作家の活動の軌跡において……。 だから井上弘美さんの文意はよく分かるし、田中裕明賞のこともとり上げていただいて有難い。 わたしが複雑な思いがしてしまったのは、たぶんそれとはすこし違う位相のことなのかもしれない。 あるいはわたしはまったく次元のことなることを問題としているのかもしれない。 作品が作品として語られるとき、はたしてそこに「若さ」とか「老い」とかが問題となってくるのだろうか……。 作品の背後に年齢はかき消されていくのではないだろうか。 そのへんのところがすごくわたしには気になるのだ。 そのむかし田中裕明さんと話をしていたときに、わたしは彼に聞いたことがある。 10代のときに仲間たちと同人誌をやっていたということを聞いて、 「若者が集まって若者らしい表現をしようということでした」と田中さんは言ったので、 「それでは、田中さんも若さを意識した作品を書いたのですか?」とわたしが聞くと、にっこりと田中さんは笑って、 「いいえ、作品が作品としてよいかどうかが問題で、若くして書いたかどうかは問題ではないと思います」と答えたのだった。 まさにその通りなのではないか……、 わたしは内心驚いたのだった。 「若い」ということだけでは文学においては問題とならないのだ。 うまく言えないのだけど、あるいは当たり前のことかもしれないけど、作品が作品として語られる時、「若さ」とか「老い」とかをあまりにも前面に出して語るのはすこし違うような気がするのだ。 もちろんここに取り上げられた方たちも自分たちの表現行為と年齢というものを短絡的に関連付けてなどいないと思う…… あるいは、20代には20代の、30代には30代の作品というのがあるのだろうか……。 ああ、でもランボーの作品は10代に書かれていて凄いな、それがゆえに凄いのだろうか、いや、そうではなくてやっぱり凄いのだ。じゃ、歳をくったらああいう作品はきっと書けないかもしれない。しかし、彼が見つめていたのは「若さ」じゃなくて「永遠」だ。 ちょっとわたし、しっちゃかめっちゃかかしらん。 わたしは変なことを言っているのだろうか……。 なんだかいちゃもんみたいになってしまっていたらごめんなさい。 でもここのところがすごく気になってしまって……。 しかしながら、井上弘美さんがとり上げておられるように、高柳克弘句集『未踏』も八田木枯句集『鏡騒』も後藤比奈夫句集『残日残照』が素晴らしい句集であることは間違いないことである、とふらんす堂刊行書籍の宣伝をして今日のブログを終りにします。 って、yamaokaはなんと節操のないことよ……。
by fragie777
| 2010-12-19 22:43
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