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11月8日(月)
月曜日の朝はとても忙しい。 しかし、そんな中でもこんな会話が飛び交った。 「馬刺しっておいしいですよねえ」 「ああ、うまいよね」 「あたし、思うんですけど馬の肉をナマでいちばん最初に食べた人って凄いと思うんですよ。もの凄い勇気がいったと思うんですね」 「ウーン、確かに…」 「でも、それを言うならナマコだって凄いんじゃない…」 「ああ、そうよね!」 「ホヤだって十分気持悪いんじゃない」 「ウン、ウン」 「あと納豆だってさ」 「あれはすごいよね」 「みんな最初に食べた人って蛮勇モンだよねえ。死を覚悟したかもね…」 「だからあ、わたし思うんですけど、そういう勇気ある人に ノーベル食べたで賞 っていうのを上げるべきだと常日頃思っているんですよ!」 「ノーベル食べたで賞って!アハハハハハ……そりゃいいわあ」 ってみんなで大笑いしたのだった。 小さな詩集を刊行した。 柏木静詩集『囲む』である。文庫サイズの40ページほどの薄い本で詩作品が6篇収録されている。 柏木静さんは若い詩人である。そのことだけをここに記して作品を一篇のみ紹介させていただく。 種と蟻 あわよくば かれとぼくのよろこばしい類似をのこしてやろう かわききってしまえば かれとぼくはこれからはじまるのだ とりはだ なんて誰にもみつからない だから しょうちんする蟻のためいきもわかるよ 汁 とかわってこぼれてしまった果実のこと もがれるから 種にかくれてしまうことだってできる 誰もかれも けっきょくは甘くていい人 (やめなさい) 芝を あらすことすらできない もう帰ってもいいんだぞ これからの地はかれればいい 誰にもいわなかったのは しかたがない そっぽをむいてわらう友達がそばで 蟻といっしょににげたかれとぼく これっぽっちも用意していない青空のもとで会いましょう 昨日の毎日新聞は石井那由太句集『雀声』が紹介されている。 てのひらを残して焚火果てにけり 第1句集。職場句会で俳句を作り始めたという著者の俳歴は20年に及ぶ。さりげない素材を自在な表現で一句にまとめる。その絶妙さが個性にまで達している。 今日の「増殖する歳時記」は清水哲男さんによって、八田木枯句集『鏡騒』(かがみざい)より。 いちにちが障子に隙間なく過ぎぬ まさに時が「隙間なく」流れていることを、障子一枚で表現したところに、この句の新鮮な味わいがある。しかも作者が、この句に何も感慨もこめていないところが、かえって刺激的だ。無為の一日を惜しむ気持ちも、逆に過ぎ去った時間を突き放すような韜晦の気持が生れているわけでもない。作者に比べれば若造でしかない私にも、老人特有のこの淡々とした心の動きはわかるような気がする。 清水さんの鑑賞の一部を紹介した。 無為の一日をただ過ごす……、今日お電話をした俳人の今井杏太郎さんもそんなことを話しておられた。 「老いるとは一人遊びが楽しめることである」 と。アメリカの作家ヘミングウェイはバニヤンの木と呼ばれる木の下で何もしないでただぼおっと過ごすことを好んだという。そういうヘミングウェイを今井杏太郎さんは好きだとおっしゃる。 「何もしないですごすことを楽しむ、老いることはそういうことだ」と。 八田木枯句集『鏡騒』(かがみざい)については、関悦史さんが、「週刊俳句」でとりあげている。 八田木枯の最新句集『鏡騒』はこの世の縁(へり)から「デロリ」を現す。 読み応えのある文章である。こちらも併せて読んでいただきたい。
by fragie777
| 2010-11-08 19:26
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