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5月7日(金)
![]() 今日は風のよく吹く一日となった。 地水火風の四元素で今の季節をたとえるならば、それは「風」だ。 風を動物で象徴させると、それは「カメレオン」となるらしい。 カメレオンは誇り高き性質の動物である。なぜなら彼は地上の何物をも飲み食いせず、もっぱら空気(風)のみを吸って生きているからだ。 ブルネット・ラティーニ なぜこんなことを唐突に書くかといえば、いまわたしにもっとも欠落しているものが、カメレオンの持っている「誇り」なのである。わたしはいったいどうしてしまったのだろう……、「誇り」をどこかに置いてきてしまったらしい。「風」を食らうどころか、「風」にぼろぼろに翻弄されているという感じだ。 と言ったところで何がなんだかわからないでしょう。 いいのです、それで。 yamaokaは、すこしばかり弱気になっているのです。 でも、一晩寝てしまえばまたおとぼけの、「誇り」などと言うことばを自らに問おうとはしないおめでたいおばはんが復活するのです。 明日まで待たれよ……。 若い俳人の新刊句集が出来上がった。 杉原祐之(ゆうし)句集『先つぽへ』だ。1979年生まれとあるから、31歳ということになる。俳誌「山茶花」(三村純也主宰)と「夏潮」(本井英主宰)に所属、若い俳句仲間との交流を楽しみながら熱心に俳句を作っておられる。俳句歴は「慶大俳句」からというからほぼ10年あまりということである。本井英氏が序文を、三村純也氏が栞を寄せている。 蜻蛉の目覚めの翅の重さかな 「闇雲に『新しさ』を追い求めるのではなく、心の深いところから自ずと滲み出るような新しさを大切にしながら、花鳥諷詠も真髄へと突き進もうとする」と本井氏はその序文に書かれているがまさにその言葉とおりであると思う。 西日濃いし慣れぬ喪服の上着脱ぐ 社員証掛けたるままにビール飲む 「目の前にあること、起こったことを、すぐ俳句にできる瞬発力が備わっている」とは三村氏の栞のことばだ。 杉原さんは忙しい仕事に追われるながらも寸暇を惜しんで俳句づくりにその日常をささげていることがこの句集を読むとよくわかる。 なによりも俳句がお好きらしい。 時雨忌の世界の天気予報かな 初任給貰ひ鶯餅喰うらふ 電気街からも神輿を担ぎ来る パソコンに呟いてゐる夜業かな 出張の帰りの植田明かりかな 残業の裏口を出て夜の秋 叱られに会社へ戻る秋の暮 杉原さんにあっては、日々の仕事の日常も俳句をつくるための格好の材料となってしまうかのようだ。どんなところにも俳句はひそんでいる。しかし、それを俳句にするには鍛錬と力量が入るのだ。 「祐之さんは落ち着いて自分自身を見つめ、自分を偽らずに表現し、等身大の自分をそのまま句に詠んで憚らない」と本井氏は書く。 長き夜へ夜行列車の発車せる ガードレールに囲まれてゐる稲田かな 菜の花のもつと濃い色だつたはず 「ある人は、句の傾向がばらばらだという印象を持つかもしれない。が、それは底の浅い詠み方である。祐之君の素材の見つけ方は非常に懐が深いのであって、その基底にあるのが、今の彼の生活そのものだと気がつかなくてはならないのである。」と三村純也氏。 タイトルの「先つぽへ」は、「岬へ行くことが好きだ」という杉原さんが、「そのような岬に立った大きな気分から名付けた」と「あとがき」にある。さらに、「『花鳥諷詠』の道を、類句類想の沼に苦しみもがきつつ、例え一握でもその沼の先に新しい砂を積んでゆくことが出来ればと思っている」と。 いわし雲いつも海より来たりけり
by fragie777
| 2010-05-07 20:33
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