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12月9日(水)
空の青さをまとったオートバイ。 新刊句集ができあがる。池田耕二さんの句詩集『青岬』である。俳誌「百鳥」(大串章主宰)同人で、古稀を記念してのはじめての句集となる。句集名は、 鳥ばかり描きし画家あり青岬 の句による。「わたしが俳句に出合ったのは、五十代もは半ばを過ぎてからと遅く、今年古稀を迎えた私には、岬の先になお大海が広がっており、そこから鳥が翼を拡げてゆくイメージが好もしく感じられたのである」とあとがきにある。跋文を「百鳥」の俳句のお仲間の上野澄江さんが書かれている。奥さまのいけだまみこさんは画家で、この句集を2点の装画で飾られている。装丁もほとんどまみこ夫人のご意向にそったものとなった。池田さんはバイク乗りがお好きらしく、「バイク駆る」という見出しの項もあるほどで、「小型バイクから、岩を越えるトライアルバイク、オフ・ロードバイクまで通算五台を乗りつぶしたそうである」と跋文にある。 バイク駆るイーハトーブや晩夏光 親しみしバイク捨てたり神無月 「日々の暮しの刻々流されてゆく中で、私にとって一句を成すことは、毎日を生きている証を形にすることであり、人生に意義をもたらす創造行為でもある。」と池田耕二さんはあとがきに書く。 サイレンの記憶トマトの日の匂ひ 河童忌のわれ定年を迎へけり 黄落や澄みゆく五体獣のごと パソコンの使へぬをとこ蛸を食ふ 妻の意を是とし銀河を仰ぎけり 初蝶や通勤の波引きし駅 「『青岬』は、平明にして含蓄の深い句が全体を覆っている。それは七十歳にして達した作者の句境のなせるものである。更に、近時ますます彼独特の思考形式で、自由に詩の翼を拡げて居られるように私は感じる」と上野澄江さんは跋文に記す。 ところで「鳥ばかり描きし画家あり青岬」の「鳥ばかり描きし画家」についてだが、きっとそういう画家は少なからずいるんじゃないかと思う。鳥ばかり描いていたわけではないが、「鳥」と画家というとわたしはすぐにルネッサンス初期の画家でフィレンツェ生まれのパオロ・ウッチェロを思いうかべる。奇想天外な行為が有名で、「遠近法の画家」とも「鳥の画家」とも呼ばれた。鳥ばかり描いていたわけではないが、動物好きでそのなかでも鳥をことのほか愛し名前の由来も「鳥(ウッチェロ)のパオロ」と綽名されたことによると、ウッチェロを好んだ渋澤龍彦がその著書のなかで記していた。ウッチェロの「遠近法」への執着は有名で、その執念は変質的ですさまじいものがあったらしい。それにまつわる逸話を知るだけでもおもしろい。 パオロ・ウッチェロ 今日はお客さまがふたり見えられる。 数年前にふらんす堂から句集『木が歩きくる』を刊行された上田睦子さんとそのご友人の東谷和代さんである。 句集を刊行されたいという東谷さんをご紹介かたがた上田さんがご一緒くださったのだ。 東谷和代さんと上田睦子さん。 上田睦子さんのお嬢さんはパリで生活をされて、パリの大学で日本の詩歌を教えておられるという。 日本の短歌や俳句をあちらの学生に理解してもらうのはなかなか難しいということだ。
by fragie777
| 2009-12-09 20:00
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Comments(1)
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by
letterstand at 2009-12-12 15:43
こんにちは。
「手紙」と「言葉」のギャラリーショップを 東京 表参道のこどもの城の近くではじめました。 もしご興味ありましたら、ご覧ください。 よろしくお願いいたします。 コメント欄より失礼いたしました。 (リンクをさせていただいてもよろしいでしょうか?) LETTER STAND
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