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11月2日(月)
ふらんす堂の台所がすばらしい混沌のさまを呈していた。そこでスタッフの千恵さんがものすごい勢いで整理をしてくれた。千恵さんはやることがなかなかダイナミック、九州出身である。 九州の女は「火の国の女」である。だからわたしは決して喧嘩をしないことにしている。 喧嘩をしたらこちらがきっと火傷をしてしまうだろうから……。 新刊句集が一冊。三嶋八千穂さんの句集『花野』である。三嶋八千穂さんは、山口誓子に俳句を習い誓子亡きあと、俳誌「狩」(鷹羽狩行主宰)で俳句をつづけてこられた方だ。喜寿の記念として第二句集『花野』を出版された。 八方へ道は通じて花野かな 狩行 鷹羽狩行主宰よりの序句である。 白鳥の湖となりけり一羽着き 空蝉の爪の先まで全しや 等身の芒野となり怖くなる 20年間誓子の元にいた三嶋さんを、鷹羽狩行氏は、「誓子に学んだ筋金入りの作者である」と帯に書いている。あたたかな跋文を西宮舞さんが寄せている。そこにおもしろいエピソードがある。三嶋さんは、晩年の誓子の吟行にいつもご一緒したらしい。誓子を車にのせて運転するのは三嶋八千代さん。それを見た三嶋さんの開業医のご主人が、「誓子先生に怪我をさせてはいけない」と奥さまの八千代さんに頑丈なベンツを買ってその同行に協力したという。不況の風がふく今とはちがったものの豊かな時代の話である。 蟷螂の斧振りかざし脇を見す 奈落より渾名で呼ばれ昼寝覚め 家事といふ賽の河原や久女の忌 大泣きのぴたりと止まるさくらんぼ 影までも片付けられて夏座敷 八千代さんは喜寿をむかえたいまも、医院の仕事を手伝いながら、週に何度かはプールに通い、一キロメートルは泳ぐという。だからこんな句もつくってしまう若々しさがある。 秋の蚊を祈りさ中にしとめたり 「平成六年に『狩』に入会しました。美しい日本語を使って抒情をのべる教えに深く惹かれてゆきましたが、何より他から移り来た弟子にも主宰の分けへだてない、作品本意のご丁寧な指導に心おだやかに続けて参りました」とあとがきにある。 今日の朝日新聞の「風信」は、杉田さだ子句集『朝顔』より。 朝顔に萎む力のありにけり 夫の歳越えてしまひぬ鵙高音 「闘病との夫との日々、孫の誕生、夫永眠。時々に思いを織り込んだ句が惻即々と響く。」と。
by fragie777
| 2009-11-02 19:10
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