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5月25日(月)
勢いよく降っていた雨も午後にはやんで、このブログを書いている夕暮れどきのいまは、初夏の気持ちの良い風が吹きこんできている。 それにしても、足の踏み場もない仕事場だ。 整理能力のないわたしは、ロッカーの扉をあけるたびに(ああ…)と言っては絶望し、うしろの山積みにされた本が2日に1回はなだれ落ちるのをみては再び絶望し、返事を書けないままになっているたくさんの送ってもらった本を見ては、また絶望する。 今日も絶望が仕事場を闊歩している…。 24日(土)の毎日新聞の「俳句月評」で、句集『蝶に会ふ』が紹介されている。評者は俳人の井上弘美さん。 「深見氏は十九歳で高濱虚子に師事。〈銀漢や胸に生涯師の一語〉の句が示すように、虚子一筋に生きてきた。銀河の輝きは宇宙の神秘とそもに、人が人と出会うことの不思議をも思わせる。『蝶に会ふ』は、花鳥諷詠・客観写生に徹してきた著者の、豊穣な到達点を示している」と。 午後深見けん二氏よりお電話をいただく。お話をしていていつも思うことは、氏の「俳句」という詩形に対する謙虚な姿勢だ。これは、いつもそうなのだ。変わることがない。 そのことがすごいと思う。 いつのことだったか、氏が縁側より外を眺めながら俳句をつくられている姿をかいまみることがあった。 じっと一点に目をこらして身じろぎもしない。その姿にはある気迫があり、わたしはとても声をかけられなかった。厳しいまなざしだった。静かにわたしはその場を離れたのだった。 そういう俳人の方の作品にふれ、その人となりにふれ、その句集を世に出すお手伝いをさせてもらうことができる、これは編集者冥利につきる、というものだ。 ほんのわずかな時間であるけれど、お電話でお話できることも、絶望的な仕事場の淵から豊な水をたたえた泉にこころを潤わされたような、そう、 わたしはとても元気になるのだ。
by fragie777
| 2009-05-25 19:52
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