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5月15日(木) 竹笋生
五月の光がもどってきた。 仙川商店街を気持のよい風が吹き抜けていく。 「あら、まあお利口ねえ…」と通りすがりの人たちが、犬に明るい声をかけていく。 なんだかみんなホッとした顏をしている。 石崎浄(きよ)さんの句集『白日傘』が出来上がってくる。俳誌「風土」(神蔵器主宰)の同人のかただ。盛岡市におすまいで、今回は同じ岩手県におすまいの俳人・小林輝子さんの懇切なるおすすめがあって、ふらんす堂から句集を刊行させていただいた。主宰の神蔵器氏が序文を、小林輝子さんは跋文を寄せておられる。集中に、 「元日の青邨の墓に詣でけり」 という句があるが、石崎さんのご実家は山口青邨夫妻がねむる盛岡・東禅寺である。お兄さまがそのご住職にあたられるという。「青邨はみちのくを主題とした作品が多く、どこか文人的清純高雅な作風である。同じ故郷の大先輩に浄さんが憧憬の心をいだかなかったはずはない。浄俳句に流れる清らかなロマンは青邨ゆずりのように思えてならない」とは神蔵氏の序文の一節である。 「大寺に吸ひ込まれゆく白日傘」。集名となった作品である。 今日の増殖する歳時記は、須田保子さんの句集『方寸』より。 「孔雀来て羽ひろげたる緑雨かな」 鑑賞は三宅やよいさん。「『緑雨』と孔雀の取り合わせがエキゾチックな雰囲気を醸しだしている」と。絢爛な孔雀の羽を思い描くとたしかに贅沢な光景だ。 ところで、三宅さんはなんども動物園にかよったらしいが、いまだに孔雀が羽をひろげたところを見たことがないという。 わたしは、あるかな…。仙川のつぎの駅はつつじヶ丘というのだが、その近くにお寺があってどういわけか孔雀を飼っていた。 そこでたまたま孔雀が羽をひろげた…。おおっ、と目を瞠った…。 しかし、……………、ボロッチイ羽だった…。 切なかった…。 もっと感激しなくっちゃいけないのかもしれないけど、孔雀さん、ごめん…、 って思った。 疲れた孔雀だったんだって思う。きっと…。 もう、何千回って開きつづけてきた羽だったんだと思う。 息絶えるまでその羽をひろげつづける孔雀。 それもまた、哀れである…。
by fragie777
| 2008-05-15 19:43
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