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5月8日(木)
朝、出かけるときに門扉のところに白い小さな花がこぼれている。 あっと思って上を見ると、えごの花が咲いていた。 ああ、もう夏なんだ……。 ちょうど、昨日送っていただいた俳誌「珊」夏号に深見けん二氏が「えごの花」という文章を寄せておられた。 「日ざしが少し暑くなって来る頃、道にぼたぼたと白い落花が重なり、見上げるとえごの花が真白に咲き重なっている。」 短文ながらみごとにえごの花の咲いている様子をよくとらえている。 写生の目が文章にも生かされた簡潔な一文だ。 わたしの家にはえごの木が三本あるのだが、昨年(2006)、一昨年(2007)とどの木もあまり花をつけなかった。 見上げてはがっかりした記憶がある。 田中裕明さんが亡くなった翌年(2005)には、これまでにないほどの沢山の花をつけ、それはおどろくほどだった。 ちょうどその頃、田中さんの親友で俳人の四ッ谷龍さんが、「裕明はえごの花が好きだった…」と言ってえごの花の咲く季節にともに吟行をしたときのことを話してくださったことがある。 その句は、『先生から手紙』に収録されている。 えごの花誰もゐぬとき怒りけり 田中裕明 それ以来、えごの花をみあげると、田中さんのことをおもう。 家をかこむようにして三本の木のえごの花が咲きそろうと、家中がえごの花の香りに充たされる。窓を開けはなった夜など、明りをつけずにひっそりといるとその香りはいっそう濃厚だ。 「『えごの花』は、武蔵野に多くあり、印象的な夏の花なのである。」 と深見けん二氏の文章は結んでいる。
by fragie777
| 2008-05-08 19:16
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