10月18日(木)
海風が吹いてくるところに咲いていた秋薊。おおきな蜂がとまっている…。見える?
大学時代の女ともだちが、「みんなで食べて…」と言って、なにか送ってくれた。ていねいに包装されたそれを開ければ、なかには彼女みずからが焼いたパンやクッキー、時間をかけてつくったジャムなどが入っていた。お昼にさっそくスタッフがご賞味…。「とっても美味しい…」わたしはパンを切ってもらってバッグにいれて家にもちかえっていただくつもり。甲府で大学の先生と結婚し、女の子をひとり育てながらゆったりとすごしている友人のことに思いをはせる。てのひらにのせたパンのしっとりした重さを感じ、彼女がすごしてきた豊かな時間を思う。木々のそよぎ、水の音、人間のぬくもり、季節の香り、それらがこの送られた玉手箱のなかからたちのぼってくるようだ。
さて、今日は印刷屋さんに原稿をふたつ入稿、編集ノートに「10月18日光スタジオに入稿」と書いて、「あらっ」って思った。そして大きな声でスタッフたちにこうさけんだ。「今日って、ふらんす堂の創立記念日よ!」「わあ、そうなんですかあ…」「21年目ということよ」「そうですねえ…」「じゃあ、今日はおやつにケーキを買ってお祝いしましょ」ということになり、わたし、ケーキを買って参りました。装幀のために来社する君嶋真理子さんの分もいれて全部で七個。チーズケーキや季節限定のモンブランなどなど。ヤマジマ君においしいお茶を淹れてもらってケーキをほおばりながら、「頑張ろうね」と忙しいさなか励ましあうわたしたちなのでした。
今日の
増殖する歳時記は、少し前の刊行の塩見恵介さんの句集『泉こぽ』より。「柿を見て柿の話を父と祖父」。三宅やよいさんが柿の実の向こう側にいる家族の物語をあたたかく語りながら解説。