7月5日(木)
皆吉司さんが第七句集『石の翼』を刊行したのを記念に、杉並区の西荻にある「赤レンガ」というカフェギャラリーで絵画の個展を開催されている。今月の1日からすでにはじまっていて、皆吉さんは、絵画だけでなくオブジェなどもつくられる方であるが、今回はドローイングとアクリル画であるという。お祖父さまは俳人の皆吉爽雨、お父さまは画家の皆吉志郎氏という環境で、俳句をつくったり絵を描いたりしてきた。一時体調をくずされたが、ずいぶんと元気になって今回の個展に意欲的なとりくみをされている。西荻はわたしんところからもご近所(自転車でたぶん40分くらい?!)なので近々行ってみようと思っている。今回の句集について、坪内稔典氏が「船団」のホームページで紹介をしておられる。開催は今月15日まで。
「船団」ホームページ「今日の一句」
田中裕明さんの奥さまで俳人の森賀まりさんとお電話で話をする機会をもつことができた。このたびの全句集の刊行に際してはお写真やら色紙やらご本やらをお借りしてひとかたならずお世話になった。なによりも、この全句集のふらんす堂での刊行をのぞんで下さった方であり、田中さんの生前の句集だけでなく、まりさんの第一句集『ねむる手』もふらんす堂でおつくりさせていただいているという、いいつくせないご縁のある方だ。もう何年前になるのかしら…。まりさんが仙川まではるばるいらして下さってふたりでおいしいクリームあんみつを食べたっけ。そのときは田中さんのことをもっぱら話題にしたのでした…。『ねむる手』のなかに「夕立に腹ふつくらと寝てありぬ」という句があって、「これは田中さんのこと?それともお子さんのこと?」なんて笑いながらたずねたりして。いまふたたび『ねむる手』を開く。この句集のむこう側にかつての田中さんの笑顔がある。「囀に二人ですはる椅子ひとつ」これはご夫婦で囀りを聴いているのかしら? この句集はおだやかな日常のまなざしの中に清爽とした詩情があり、俳人としての明確な方法意識のもとに書かれたいい句集だ。
お電話で、まりさんより、今回の全句集を田中裕明さんのお父さまもずいぶん喜んで(こういう言い方がゆるされるなら)くださったということを伺って、わたしはしみじみと全句集を刊行させていただいて良かったと思ったのだった。