2月13日(火)
写真は横浜の元町あたりだったろうかしゃれた煙草ショップの店頭を飾っていたチェ・ゲバラの写真。葉巻を吸う姿のなんと決まっていることか! 葉巻をくわえ、この精悍にして若き革命家はなにを見ているんだろう? あたかも海から生れた裸身のヴィーナスを眺めているようなやや放心したセクシーな眼差し。しばし茫然とたちつくして見入ってしまった。葉巻とかパイプとか煙草をすうにはある骨格が要求されるのだろうか…。
煙草を吸う姿の美しさはフランスの女優が圧倒的に素晴しいとわたしは思う。映画のタイトルを忘れてしまったが、フランソワーズ・アルヌールという50年代の女優がいたのであるが、彼女の煙草を吸う姿はほんとうに美しかった。つんとした鼻からはきだされた煙は、すこしはすっぱで憂鬱な表情にいっそうの翳りをあたえ、その細い指の華麗なうごきとやや虚ろな表情がなんともエロティックだった。わたしもかつて煙草を吸うまね事をしたことがあったけれど、どうしても似合わないということがわかり、あっさり止めました。は、鼻の高さがね…。
いよいよ『能村登四郎全句集』の刊行にむけての作業にとりかかる。今年の5月で七回忌をむかえらるということである。全句集の作品のデータが打ち上がってきている。これからレイアウトをして印刷屋さんに入れる予定である。
柴野八洲子さんの句集『鐘』が出来上がってくる。柴野さんは俳誌「貂」に所属する方であり、星野恒彦氏が帯文を寄せておられる。亡くなったご主人が明治大学ラグビー部にかつて所属しておられたということで、そのラグビー部のシンボルである紫紺にペガサスを配した装丁となった。
もう一冊、中村未有さんの句集『人買ひ』。集名を聞くと驚いてしまうのであるけれど、「美しき人買ひに雛買はれゆき」というきれいな作品に拠る集名である。中村さんは俳誌「幡』同人で「未有(みう)」という俳号はどうやら猫好きかららしい。見返しには猫の挿画をあしらっている。