11月10日(金)
写真は矢川緑地の芒と草紅葉。
今日の午後は校了のためのゲラを読んで過ごす。ゆっくり仕事机に向かうことができた久しぶりの時間である。本阿弥秀雄氏の第二歌集『スローな日夜』のゲラである。本阿弥氏はご存じの方も多い思うけれど詩歌出版では大手の本阿弥書店の社主である。第一歌集『ワープ』(花神社刊)のあとがきに、仕事で歌人の前登志夫氏を訪ね、その話しを聞いているうちにご自身も実作の場につきすすんでみたいという思いが猛然と湧いてきた、と書かれている。それが2年程前のこと。それからは短歌形式に魅せられて、つぎつぎと作品を書き、いまこうして第二歌集をおすすめしているのだ。ゲラを読んでいるとおもわず声にだして笑ってしまう箇所がたくさんある。あら、高所恐怖症でいらしたのね、とか、まあ、喫茶店に入るのに「禁煙マーク」を持ち歩いておられるなんて…。ほのぼのとしてくるときもある。毎日出会う途上の猫の体重を気にしたり、買った牛蒡の長さに感嘆したり、切れ者経営者としての本阿弥氏のもうひとつのほほ笑ましい生活者の顔がみえる。そこが楽しい。大笑いした短歌二首。「今昔の我を比ぶ」という見出しのところ、これは経営者の顔がチラリ。「笛吹きの役あたへられハンメルの町連れ出ししねずみ役あまた」つづいて「出版社員へんくつなのが多くゐてわが笛ふけどとんと付き来ず」これには思わずスタッフの中井愛に読んできかせてふたりで大笑い。もう一首「館・書館・書房・書院に社・舎ときて書店忘るな本編むところ」あ、あの「堂」も忘れてほしくないのですが…
じつは、明日の夕方はふらんす堂スタッフ達がほぼ全員で「京懐石」を食べに行くことになっている。句集をおつくりしたある方から、御礼として過分なものを頂戴してしまったので、そうだ、みんなで美味しいものを食べにいこうということになった。このブログにも書いたが、すこし前に俳人の鷹羽狩行氏に私と中井愛と加藤泰子が、労をねぎらっていただき、ご馳走になったそのお店のおいしさが忘れられない。そこでそのお店にと決め、予約。一室を借りきることができた。「みんなでおしゃれして行きましょうよ」って私が言ったもんだから、渡邊真紀はそのまえに美容院へいくらしい、加藤泰子は今日の夕方にはそわそわしだして、「ひとりじゃ行けないよう。誰か一緒に行ってえ」と中井愛にエスコートをたのみ、「何着ていこうかな」「ジーパンでもいいですか?、よそいきっていったら子供の入学式に着たのしかないんです!」と加藤。「ジーパンでいいいわよ!楽しく食事をすることがたいせつ」と小学生の子供に言うがごとく。川口はテニスをしてそのままお店にむかうということ。その店は澁谷のランドマークタワーにある。さてさて、明日はどんな食事会になるか、いまから楽しみ。