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3月23日(木) 彼岸明け 旧暦2月26日
こういう小流れがあると、決まって覗いてみる。 今の季節は蝌蚪の紐やらあるいは蜷の道を見つけることが出来るのだ。 この日はまるでナスカの地上絵のように蜷の道が広がっていた。 ほら、 わかるでしょ! 「蜷の道ってさ、なかなか蜷を見つけられないんだよね」と言ったその直後、 「あら、いるわよっ、そこに」と友人が指さす。 あらまあ、 いるじゃない。かなりたくさん。 この写真でもわかるかしら。 見つめていると微かだが動いている。 その後に道がしっかりと出来ている。 こうして 極めて静かに蜷は地球上に自身の生の刻印をきざみつけているのである。(大したもんだわ) 蜷の行く手に幸いあれ! ブログを書くのが遅くなってしまった。 新刊紹介をしなくてはいけないのだが、読み合わせで一日が終わってしまった。 ちょっと今日はできそうもない。 新聞記事を紹介したい。 23日付けの讀賣新聞の長谷川櫂さんによる「四季」は、石原日月句集『翔ぶ母』より。 墓の蓋開けてみんなで桜狩 石原日月 同じ花見でも桜狩りは、あちらの山、こちらの土手とさまよう感じがある。それは生者だけの楽しみではない。死者たちも花時ばかりは墓を出て花に興じる。心が浮き立って、おとなしくて寝ていられないというのだ。句集『翔ぶ母』から。 そして京都新聞は、南うみをさんによって二冊の句集が紹介されている。一冊はふらんす堂刊行の書籍である。 この京都新聞も読み手が限定されてしまうので、全文を紹介したい。 『ジタン・カポラル』(ふらんす堂)は岸孝信の第一句集で、平成十二年からこれまでの句をおさめる。平成十二年「鷹」に入会し、藤田湘子に師事、湘子没後小川軽舟に師事し、「鷹」の同人として現在に至る。 最澄の幼名広野つくづくし 螢烏賊くわうくわうと喉過ぎゆくか 雪間草呪禁のごとく湖鳴れり ねんねこや鈍間色なる佐渡の海 コルベ忌や涼蔭に置く麺麭と水 「最澄」は坂本の人、「広野」から比叡山を望む畦の土筆を連想した。また「くわうくわう」からは「螢烏賊」のひかりと叫びが伝わる。湖の荒れを「呪禁(じゅごん)」と聴き春の胎動を知らせ、「鈍間(のろま)色)で佐渡の暗い海と狂言を伝える。そしてアウシュビッツで身代わりに餓死、殉教した「コルベ」の忌日に「麺麭と水」を取り合わせる。作者は核になる言葉のイメージ喚起力を駆使して新たな表現世界を作りあげる。 嚔してまがほ平たき女かな 蛇苺狎れし乳首のごと抓む 穀象虫母の胸乳を垣間見し 長火鉢祖母の莨と死のにほひ 春雷やほのぼの尖る尾骶骨 「嚔」が「まがほ平たき」と、女性の素顔を露わにするのを見逃さない。また、「蛇苺」の形状と触感を「狎れし乳首」に喩え、俗を恐れない。次も若き母の「胸乳」の記憶を米櫃の「穀象虫」で回帰する。祖母の形見の「長火鉢」はその死の匂いも染みついたものであり、「春雷」に猿の名残の「尾骶骨」がかすかに反応する。ここでは近親を含めての独特の肉体への感覚が表出されている。昭和二十三年生まれ。大津市在住。 『紅葉晴』(角川書店)は甲斐遊糸の第五句集で、平成二十三年から二十七年までの句をおさめる。昭和四十八年に「濱」に入会し、大野林火に師事の後、平成六年に大串章主宰の「百鳥」創刊に参加し、編集長を務める。平成十九年には「湧」を創刊し主宰として現在に至る。 宇野千代の湯呑大ぶり新樹光 立子忌の海のひかりのやはらかき 船で来し龍馬のくにの天の川 酒の牧水旅の牧水秋に入る お風入れ木喰上人背負籠 まず、宇野千代を彷彿とさせる大ぶりの「湯呑」を登場させ、「立子忌」では「ひかりのやはらかき」でその平明で柔軟な句風を想起させる。また「龍馬のくに」では「船で来し」で、「海援隊」を重ね、「酒の牧水」では旅と酒に適う秋の季語が牧水を包む。そして「お風入れ」では日本中に木彫仏を残した木喰上人を「背負籠」で象徴する。ここには人物と素材の不即不離の世界が展開されている。 摘草や縄文びとの血を継ぎて 三月や力を抜いて富士座る 源は富士涼風も湧く水も 雲の峰にも山育ち海育ち 甲斐の柿置けば駿河の蟻来る 「摘草」の行為に縄文人の採取文化を重ね、「三月や」と「源は」の句は常に富士を仰ぎ、身近に感じていればこその世界である。また、「山育ち海育ち」の「雲の峰」の発見、「甲斐」と「駿河」の取り合わせも絶妙である。昭和十五年生まれ。富士宮市在住。 お腹が空いてしまったので、冷蔵庫をあさっていたら、ややっ、なんと美味しそうなチーズ風味濃厚プリンが一個あるではないか。 これはね、大人の女に似合うプリンなのである。 大人の女といえば、仕事場を見渡したところ、わたししかいないじゃない! で、わたしが頂くことにしたのである。 (だってみんな帰ってしまったんだもの…) 明日出社しても知らんぷりをしていよう。 蜷の道のように、跡を残してはいかんわ。 生の刻印はできるだけぬぐい去るようにしよう。 内緒だよ。
by fragie777
| 2017-03-23 20:33
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