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10月25日(火) 旧暦9月25日
下高井戸と三軒茶屋をむすぶ2両編成の路面電車である。 全区間を走っても所要時間は17,8分、距離にしてわずか5.6キロメートルであるとのこと。 住宅街をのどかに走る。 今日は用事があってこれに乗った。 この電車にはいろいろと思い出がある。 上町(かみまち)には詩人の安東次男が住んでいた。原稿を貰いに、あるいは呼ばれて何度か伺った。 最後はすでに病床に臥しておられたときである。 そこには飴山實氏がいて、しばらくお話をしたことを覚えている。 一緒に安東先生にいとまごいをして世田谷線に乗って、飴山氏は山下で小田急線に乗りかえるために下車された。飴山實氏ともこの時が最後となってしまった。 この世田谷線には、松蔭神社前という駅がある。吉田松陰が祀られている神社だ。松陰の墓もあり、一度行ってみたいと思いながらまだ行ったことがない。今年は萩にある吉田松陰ワールドを訪ねたが、こんな身近にある松蔭神社はまだ行ったことがない。そんなものかもしれない。 この駅を通過するときは、吉田松陰のことを決まって思う。(なぜか心惹かれるお方なのね) これが毎日この電車で出勤していたらそんなことはないだろうと思うから、人を思うということには遠さが必要なのかもしれない。 ここには下高井戸キネマという映画館があり、面白い映画を上映していた。 むかしはよく行って映画をみたものだ。 客はまばらで、陰気くさかった。 まだあるのかしらと思っていたら、ポスターがあって、バイト募集をしている。 (ああ、まだ頑張ってるんだ……) 仕事をしていなかったらこんなところでバイトをするのもいいなあ、と眺めていたら、 30歳までとありダメじゃん。 そりゃそうよね。 昼には戻って仕事。 「俳句」11月号がとどく。 書評はふらんす堂刊行の句集二冊。 池田澄子句集『思ってます』を相子智恵さん、本井英句集『開落去来』を井越芳子さんが評している。 すこしだけ紹介したい。 「個でいる矜持と、不確かさと」相子智恵さんによる『思ってます』評である。 〈わが晩年などと気取りてあぁ暑し〉と詠む池田が八十歳であることに驚く。〈此処あったかいよとコンビニエンスストアの灯〉〈ファーストキッスのあと立てなかった遠花火〉〈アマリリスあしたあたしは雨でも行く〉。後輩の想像を軽々と超えてゆくこの人に、年齢は不要。ああ何と嬉しい句集だろう。 「虚子を追う心」井越芳子さんによる『開落去来』評。 〈ぶつかつてばかりのそいつ蟻の道〉(略)あはれを感じる心こそが詩歌の根幹であると本井は思う。「蟻」をモチーフに、現代的感覚で「蟻」のあはれを具体的に詠んでいる。本井は、十代から星野立子、高木晴子の指導をうけ、慶應義塾高校在学中より清崎敏郎門となる。昭和四十八年、鎌倉の虚子庵が人手に渡る時、虚子蔵書目録を二か月で作る仕事を引き受ける。以来、精力的な本井の虚子研究が始まった。 午後にはお客さまがお一人。 石原明さん。 いま句集をおすすめしている。 今日はどんな造本になさるか、相談に見えられた。 実は石原明さんは、ふらんす堂から2014年に第1詩集『雪になりそうだから』を上梓されている。 今回は句集である。 俳句も詩もうかがえば短歌もよくするということ。 学生時代から川柳などの一行詩を書かれていて、俳句は35歳のときに見識ある飲み屋の親爺さんに出会ったことにより、始めるようになった。 それ以来ずっと俳句を作り続けている。基本的には一人で作るというスタンスを貫いて来られた。 すでに句集は刊行されているが、今回の句集は「母」をテーマにしたもの。 愛すべき今は亡きお母さまを偲ぶための「母に捧げる」句集である。 句集名が素晴らしい。 「翔ぶ母」 どんな母親像が展開していくのか、 楽しみである。 一人吟行もよくなさるということで、武者小路実篤公園をおすすめしてみたのだけど、行かれたかしら。。。
by fragie777
| 2016-10-25 19:01
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