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8月5日(水) 土用二の丑 旧暦6月21日
今日は草田男忌である。 2000年12月に刊行した田中裕明・森賀まり著『癒しの一句』(品切れ)の8月5日は草田男の一句を田中裕明さんが鑑賞しておられる。 本著より紹介したい。 厚餡割ればシクと音して雲の峰 中村草田男 八月五日は草田男忌。明治三四年(1902)中国アモイに生まれ。昭和五八年、八一歳で没した。 「毒消し飲むやわが詩多産の夏来る」という作品もあるくらい夏という季語が好きで、たくさんの句を作った。もちろんほかの季節にも多くの佳品があるが。 掲出句は昭和二五年作、句集『銀河依然』所収。さて、戦後、まだ甘い菓子が日常のものに戻ってきてはなかったのではないか。めずらしい饅頭をいただいた。餡もたっぷり入っている。ふたつに割れば、餡を割るときなんとも言えない音がする。その音を詩人は「シク」と聞きとめた。この作品以降われわれは餡を割る音をシクとしか聞くことができなくなった。最上の詩にはそういう力がある。 雲の峰は、夏の入道雲のこと。夏の大景の中に、饅頭を食べる自分の小さな姿を点じて、一つの詩の世界に昇華させた。(田中裕明) 草田男忌を修して(こういう言い方するかな?)中村草田男句集『炎熱』(横澤方川編)より、夏の句をいくつか紹介したい。(あまりにも有名句は除きます) あかるさや蝸牛かたくかたくねむる 百日紅乙女の一身またゝく間に 晩夏光バットの凾に詩を誌す 妻恋し炎天の岩石もて撃ち 凌霄は妻恋ふ真昼のシャンデリア 伸びる肉ちゞまる肉や稼ぐ裸 永久に生きたし女の声と蟬の音と 頭(づ)を伏せし蜥蜴と聴けり日の言葉 をみな等も涼しきときは遠(をち)を見る 父母既になくて頼みし椎夏木 原爆忌いま地に接吻してはならぬ 向日葵や妻をばグイと引戻す 蝙蝠や父の洗濯ばたりばたり 終生まぶしきもの女人ぞと泉奏づ 日の丸が顔にまつはり真赤な夏 妻に倣ひて「天なる父」の名呼びて朱夏 いまさらながらであるが、草田男の、妻すなわち女性への敬愛と讃仰はまるで幼子のごとくである。 老いてなお異性をこのように賛美できるというのは、いたく素晴らしい。 が、 この逆(女性→男性)というのは滅多にいや皆無にちかく、無い、 って思うのだけど、 女性の皆さま どう 思われます?
by fragie777
| 2015-08-05 19:28
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