5月23日(火)
今回のイタリア旅行では、観光した各都市にある本屋には必ず行こうという計画を立てていた。装幀、造本などで本造りの参考となるものは買い求めてこようとも。ブックデザイナーの君嶋真理子さんにも、カット集で面白いのがあったら買って来てほしいといも言われていた。ミラノでは面白い本屋もいくつかあり、そこで参考になる本などを大分買うことができたのであるが、次のヴェネツィアは本屋を1軒も見ることが出来なかった。そもそも本屋というものがあるんだろうか? ヴェネツィアは東京などにくらべて大変小さな都市である(と思う)が、小さな本屋さえも見つけることが出来なかった。もっとも数日間の滞在なので、きっとどこかにあっても出合わなかったというべきなのであろうが、しかし1,2軒くらいあったってよさそうなもの。でも、ないのである。そう、ヴェネツィアは観光のために存在する町なのである。生産的な思考をするためではなくひとときのアヴァンチュールのための町なのかもしれない。ヴェネツィアに本屋は似合わない、と思った。あるいはヴィスコンティの映画「ヴェニスに死す」(トーマス・マン原作)の舞台となったリド島の高級避暑地まで足をのばせば、貴族やインテリのための書店といったものがかつてあり今もそれがあるのか、今回残念ながらリド島には行けずそのことはわからない。
写真はヴェネツィア・サン・マルコ広場の青い空。
きょうは代送が二つ。両角津也子さんの句集『花散るや』と横山悠子さんの句集『海の骨片』。そうして取次ぎ店4社への品出し。午後は装幀のために君嶋さん来社。装幀を二つ仕上げて、そのあとは「飲み会」があるとイソイソと帰っていく。「飲みすぎないように」などと無駄な声はかけないの。
明日から中井愛は休暇に入る。聞けばダンナを置いて一人で京都旅行を楽しむらしい。「嵯峨野あたりでまったりしてきまーす」と笑顔で帰って行く。そうよね、私の旅行期間中だいぶ迷惑かけちゃったから、ゆっくりしてきてね。明日は川口もお休み。アメリカ留学をしている長女さんが一年ぶりで帰国。そのお迎えに成田まで行くということである。(山岡喜美子・記)