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1月28日(火)
これもそのひとつ。 「はまゆうの実よ」って誰かが言った。 (へえ、そうなんだ……) わたしは教えてもらうことばかり。 さて、昨日の公開句会「東京マッハ」であるが、このブログを読んでいる方はご存じだろうか。 池田澄子さんはもちろんよくご存じでしょ。 だって過去にゲストで何度か呼ばれておられるんですから。 公開句会「東京マッハ」は2011年夏、男4人で渋谷にて顔見世。以後、池田澄子、川上弘美、藤野可織、佐藤文香、柴崎友香をゲストに阿佐ヶ谷・新宿・京都百万遍・五反田・札幌琴似で興行し、柴崎友香を迎えて谷中で開いた「ジョジョ句会」は荒木飛呂彦監修のSPURムック『JOJOmenon』に収録された。今回は2年半ぶりに生誕の地・渋谷に帰還する とある。 男4人とは、俳人の堀本裕樹さん、ゲーム作家の米光一成さん、小説家の長嶋有さん、文筆家の千野帽子さん。 昨夜はこの四人にゲストに装釘家の名久井直子さんが加わっての五人による公開句会だった。 会場にはいったい何人くらいあつまったのかしら、70~80人くらいだったかな、圧倒的に若い人が多い。大きい声じゃ言えないけど、多分わたしが一番人生を長く生きてきちゃった人間かもしれない。すましていたけど…入口で選句用紙をわたされてそれを全員が選句するという寸法だ。集まって来る人たちがみな楽しそうだ。しかしみな熱心に選句している。わたしももちろんした。 30句に対して、六句選でほかに特選を一句、そして逆選と言って文句をつけたい句に×をつけるというもの。これはなかなかおもしろい趣向である。 やがて5人が壇上というか前の方に揃ってそれぞれの選句結果を忌憚なく語り合うことになる。 その選評がおもしろいのである。結構言いたい放題なのだが、的がはずれておらずきっちりとした選評だ。できるだけ平易なことばで俳句特有のことばにはかならずわかりやすいように誰かがコメントをする。会場の参加者の選句結果もまじえながらの選評である。参加者はとてもリラックスして楽しそうだ。わたしも楽しい。 参加者まじえての選句の結果が発表された。一番多く点が入り(49点)、そのうち9点の特選をとった句が、これ。 声冴ゆるふらんす堂のパラフィン紙 この句を見た時正直びっくりした。 ふらんす堂が詠まれている…… ふらんす堂ってそんなに知られているのかしらん? こんど長嶋有さんの句集を名久井直子さんの装丁によって刊行させていただく。だからこれは、長嶋さんか名久井さんが作ったのだとおもったのだ。 ところがである。 なんと作者は、米光一成さん。びっくりした。 だってわたしは、このお方をよく知らなかったんだもの。 今日ふらんす堂のスタッフに聞くと、みんなよく知っていて、 「あの、『ぷよぷよ』のゲームをつくった人ですよ」って皆が口をそろえて、そのゲームをみんなやったことあるという。わたしゃ知らなかった…… ともかくもこの句が話題になり、 「ふらんす堂ってあの新宿の紀伊国屋さんの詩歌のコーナーに並んでいるきれいな本をつくっているところでしょ」とか、「ああ瀟洒な本ですよね」とか、千野さんなどは、ふらんす堂文庫の三橋敏雄句集『海』を持ってきておられ、そこでみんなに紹介してくださったりしたのだった。これってふらんす堂の宣伝をしてくださってるんじゃない。有難い!! 実はわたしも選句をしているときに、(もちろん「ふらんす堂のパラフィン紙」は特選でね)わたしの横にいる人たちの会話が聞こえて来た。 「このふらんす堂ってお菓子やさん?」 「ううん、違うよ。きれいな本をつくる出版社らしいよ。ネットで検索して調べたんだ」 「フーン」 それを聞いてわたしは心の中で(おお、よしよし)ってひそかにほくそえんでいたのだった。 それでは昨日の五人のかたたちの俳句を一句ずつ紹介します。 そうそう、約束事がありました。六句投句のうち、「冬」という語を一句の中にいれてつくること、そしてもうひとつは「少女漫画しばり」ということです。 マフラーをわたしそびれて次号かな 名久井直子 少年の心臓鳴るや雪明り 堀本裕樹 声冴ゆるふらんす堂のパラフィン紙 米光一成 風花や大事なことだから黙る 長嶋 有 いい奴が振られる奴で冬の空 千野帽子 その会場でふらんす堂から名久井直子さんの装丁で長嶋有句集『春のお辞儀』が刊行されることをメンバーの人たちが何度も言ってくださったのは有難い。 参加者のなかに存じ上げている方がおられるかなって、あたりを見回したところ、おっ、おられました。朝日新聞の文芸担当者の宇佐美貴子さんだ。詩歌だけでなく、文芸全般の担当になれたとのことでお忙しいご様子。そうだ、宇佐美さんの感想をうかがいそびれてしまった。 家にたどりついた時は11時近くで、かなり疲れたけれど愉しい時間だった。 今日の「増殖する歳時記」は、土肥あき子さんによって、野口る理句集『しやりり』より。 襟巻となりて獣のまた集ふ 日頃動物好きを肯定しながら、あらためて振り返るとアンゴラやらダウンやら、結構な数の動物たちがクローゼットに潜んでいる。幼い時分には、尾をくわえた狐の襟巻きなどもよく見かけたものだが、最近は動物愛護の観点から生前の姿そのまま、というかたちは少なくなったようだ。たしかに今見ればグロテスクと思わせるそれであるが、はたして殺生をしたうえでこのぬくもりがあるのだとはっきり自覚することも大切なのではないかとふと思う。食品も衣料も、今やなにからできているのかさだかではない時代にあって、まごうことなき狐が集う光景は、豪華というより真っ正直な感じがしていっそ心地良いように思われるのだ。『しやりり』(2014)所収。 毎日新聞の坪内稔典さんによる「季語刻々」も、野口る理句集『しやりり』より。 河豚洗ふために水また水また水 「水」の反復が快い。ざぶざぶ洗って、フグの毒は十分に除去された感じがする。作者は1986年徳島県生まれ。大学生時代のる理と句会をしたことがあるが、それから9年たって句集『しやりり』が届いた。「跳びあがることなくスケート終へてお茶」「コロッケのがしやと置かるる雪催」など、なんだか楽しい。 今日は、高崎のホテルメトロポリタンで、俳誌「ひろそ火」(木暮陶句郎主宰)の創刊三周年のお祝の会があり、Pさんが出席。 さきほど帰ってきたところである。 明日のブログでその様子をお伝えしたい。
by fragie777
| 2014-01-28 19:43
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