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2月15日(金)
慣れない早起きをしたせいかさすがに夕方になると眠くなった。 わたしは足元にある魔法の引き出しをあけて、「京都西京極・小川珈琲店・有機珈琲」と書かれたドリップ式コーヒーを一袋取り出したのだった。 ウォーターサーバーから熱湯を注ぎ込み、舌が火傷をしそうなほど熱いコーヒーを淹れた。 そして引き出しよりチョコミントを一つ取り出した。 (眠気よ去れ!)とおまじないをしてから、 ソイツを口の中に放りこみ、コーヒーを飲んだ。 すると、 あれほど眠かった私であるが、コーヒーを飲み終える頃には眠気はすっかり消え去っていた。 仕事に追われて居眠りなどしていられないのである。 訃報を知った。 2007年にふらんす堂から第四句集『亥子餅』を刊行された美柑みつはるさんが2月10日に亡くなったことを藤本美和子さんの電話で知る。 美柑さんは、昭和9年(1934年)のお生まれだから享年79歳だ。 俳誌「鶴」を経て俳誌「泉」の創刊の時に入会、それより一筋に「泉」で俳句を作られて来た方だ。鳥取県の大山(だいせん)に生まれ、生涯その地を離れることなく、大山の裾野で田畑を耕しながらその地に果てた。俳句に詠まれた景もこの地によるものであると「あとがき」にも書かれている。 第四句集『亥子餅』は、その年の俳人協会賞の最終選考に残ったが惜しくも受賞は逃した。15年間の句業から選んだ347句だった。評判がよく句集を再版されたのだが、再版の時にこちらにミスがありお叱りを受けた。誇り高く気骨のある俳人だった。 地の底に足が吸ひつく田草取 野萱草夕日の母の祈りをり 休み田に怒りの野火を投げ込めり 鬼灯を裂けば夕日のころがりぬ 村の田に水ゆきわたる粽かな 大山のひんがしに棲み盆の月 膝折つて牛の爪剪る春隣 衣ずれのやうな音して稲熟るる 牛膝足いたはればこぼれけり 句集『亥子餅』より。 師の綾部仁喜主宰はさっそくに追悼句を詠まれた。「泉」三月号にこれから載るものであるが、副主宰の藤本美和子さんに特別に教えていただいたものだ。 悼 大いなる山が迎へぬ春の雪 仁喜 その地大山(だいせん)を詠みこんだ心に迫る追悼句だ。 「創刊同人の最後のおひとりだったと思う……」と電話の向うで藤本さんがポツリとつぶやいた。 ご冥福をこころよりお祈り申し上げたい。
by fragie777
| 2013-02-15 19:35
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